今年は海外旅行にも行かず、帰省もしないで自宅でおとなしく年末年始を迎えるという人がかなり多いのではないでしょうか。マンネリ化しやすいおうち時間をできるだけ充実させ、自宅にいながらもハレの日らしく楽しむのにオススメの乾杯アイテムをご紹介! 定番のシャンパンもいいけれど、年末年始くらいは日本人らしく、國酒である日本酒の本格スパークリング「awa酒」(あわさけ)で乾杯してみてはいかがでしょうか?

  • 美しい桜色が特徴の「菊泉ひとすじ ロゼ」

いま人気の乾杯酒「awa酒」とは?

「awa酒」は日本酒スパークリングの中でも、炭酸ガスを注入したものではなく、シャンパンと同じように手間をかけて“瓶内2次発酵”し、天然の泡が発生したクリアな日本酒のこと。同じスパークリング系でも、にごりの泡酒や微発泡酒などはawa酒とは呼べないようです。一般社団法人awa酒協会により、awa酒の基準を全て満たしたものだけがawa酒と認められているようです。

フランスで高級酒シャンパンが格別なオーラを放つように、日本にもちょっとリッチで本格的なawa酒が存在するということですね。値段は1本(720ml)5,000円前後のものから1万円以上のものまで様々あり、現在は国内で全27種のawa酒が認定されているようです。

awa酒の存在は年々、国内外で注目されてきています。2020年には「令和2年度天皇誕生日レセプション」において、アメリカ、オーストラリア、ギリシャ、インドなど世界6カ国の大使館や総領事館でawa酒が乾杯酒に選ばれました。

  • アメリカの日本大使館で行われた天皇誕生日レセプションで提供されたawa酒3種

アメリカの日本大使館で行われた同レセプションでは、上の写真、右から順番に「南部美人あわさけ スパークリング」(720ml・5,000円/箱有、4,500円/箱無 南部美人/岩手)・「CHIYOMUSUBI SORAH」(720ml・5,290円、360ml・2,600円、千代むすび酒造/鳥取)・「瓶内二次発酵酒 あわ 八海山」(720ml・3,000円、360ml・1,900円 いずれも箱無 八海醸造/新潟)の3種が乾杯時に提供されたようです。

世界初のロゼタイプのawa酒「菊泉ひとすじ ロゼ」

今回は世界初のロゼタイプのawa酒「菊泉ひとすじ ロゼ」(720ml・9,000円、滝澤酒造/埼玉)を購入してみました! ロゼタイプの日本酒というだけで非常に珍しいですが、瓶内2次発酵したawa酒のロゼとしては世界初とのこと! ちょっとお高いけれど、繊細な泡と華やかな見た目は注いだ時から感動の美しさで、記念日や特別な日に本当にオススメ。

香りはイチゴのようなフルーティーな香り、心地よい酸味とジュージーな味わいが広がります。アルコール度数11度と低アルコールなので、普段、日本酒をあまり飲み慣れない方にもオススメ。キンキンに冷やして、食前酒に合わせてみました!

滝澤酒造の蔵元・滝澤英之さんによると「スパークリングは蔵の出荷量全体の5%くらいだけれど、今一番力を入れているカテゴリです。ロゼ色にするために古代米(赤米)や紅麹を使うやり方もありますが、それだとクセが強かったり、色が付きにくかったりで、うちでは赤色酵母を使っています。赤色酵母は泡との相性がとても良いのです。ユニークな香りが魅力的で、酸味と甘みのバランスが良く、味の幅もあるのでいろんな料理に合わせやすいです」とのこと。

  • 「菊泉ひとすじ ロゼ」は化粧箱もオシャレでギフトにも喜ばれそう

1995年から構想し、何度も酒造りに失敗し、まずロゼではない透明なawa酒「菊泉ひとすじ」(720ml・4,500円)を2016年に発売させました。その後、2018年に「菊泉ひとすじ ロゼ」が完成。タンクで発酵させたもろみは、漉して清酒と酒粕に分けられて出荷されますが、ロゼの色素が酒粕に移行しがちで、清酒がなかなか美しい桜色に仕上がらないのが難点だそう。熟練した高度な技術と手間が求められるそうで、2019年11月には製法特許も取得されました。

イチゴのようなフルーティーな香りがするお酒なので、今回はリンゴとキウイを巻き込んだチキンロールの前菜に合わせてみました。グリル料理のフルーツの風味がお酒のふんわり優しい香りとよく合い、バルサミコ酢・赤ワイン・醤油を煮つめたソースや鶏肉のコクが、お酒の旨味と見事にマッチ。個人的にはバルサミコ酢とも相性がいいような気がしました。

「甘めのお酒なので、ビーフシチューや牛すじの煮込みのような肉料理にも合いますよ」と滝澤さん。確かに醤油とハチミツを使うような照り焼きの肉料理や、パイナップル入りの酢豚などにもフルーティーで合いそうです!

  • フルーツのチキンロール・グリルとも好相性

世界で評価される「awa酒」の魅力

awa酒は今、世界的にもかなり注目されてきており、2020年だけでも多くの世界的な酒大会で優秀な成績をおさめています。例えば「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」SAKE部門のスパークリング部門では「喜多屋スパークリング クリスタル」(720ml・10,000円、喜多屋/福岡)がトロフィーを受賞しました。

さらにフランスで毎年開催される日本酒のコンクール「Kura Master 2020」では、スパークリングサケ部門において、awa酒製造の草分け的存在である永井酒造(群馬)の「MIZUBASHO PURE」(720ml・4,500円、360ml・2,500円)が部門トップの審査員賞に選出。「七賢 杜ノ奏」(720ml・10,000円、山梨銘醸/山梨)と「瓶内二次発酵 スパークリング TOYOKUNI」(720ml・5,000円、豊國酒造/福島)はプラチナ賞に輝きました。

「International SAKE Challenge」の発泡酒部門では「出羽桜 AWA SAKE」(720ml・5,000円、出羽桜酒造/山形)が部門トップに輝き、「瓶内二次発酵 スパークリング TOKUNI」(720ml・5,000円、豊國酒造/福島)がブロンズメダルに入賞。国内では「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」にてスパークリングSAKE部門の最高金賞に「八鹿 awa sake白虹」(720ml・4,500円、八鹿酒造/大分)が選ばれました。

お正月に食べる数の子やイクラなどの魚卵には、白ワインやシャンパンは合わせにくいと一般的に言われていますが、日本酒は魚介の臭みのマスキング効果に優れているので、魚卵やクセのある珍味にも合わせやすいもの。ぜひこの機会にawa酒で乾杯し、魚卵との相性も試してみてはいかがでしょうか? おうちペアリングが楽しくなるかも。

※価格はすべて税別