パナソニックのコードレススティック掃除機で最上位モデルとなる「パワーコードレス MC-SBU840K」です。2020年に発表された新モデルとして、新たに「からまないブラシ」を採用。ロングヘア家族がいる家庭の悩みだった「ブラシに髪の毛が巻き付く」問題を解消しています。吸引仕事率が200Wと、キャニスター掃除機なみの強力な吸引力も見逃せません。
家電の専門家が使い倒す「注目のコードレス掃除機」10台チェック | ||
---|---|---|
テスト紹介 | アイリスオーヤマ SBD-E4P |
エレクトロラックス Pure Q9 |
シャークニンジャ CS401 |
シャープ EC-AR5 |
ダイソン Dyson Digital SLIM |
東芝ライフスタイル VC-CL1700 |
パナソニック MC-SBU840K |
バルミューダ BALMUDA THE CLEANER |
日立GLS PV-BH900H |
三菱電機 HC-JD2X |
「からまないブラシ」の秘密は、中央に向かうほど細くなるブラシ形状と、ブラシ中央に設けたすき間。ブラシが巻き取った髪の毛は、ブラシの回転とともに細い径に引き寄せられて中央に移動します。そして中央のすき間でブラシから外れ、そのまま本体に吸い込まれる仕組みです。
コードレススティック掃除機は、吸引仕事率が最大パワーでも最大20W~120Wくらいが多いのですが、MC-SBU840Kはなんと200W。ヘッド形状や回転ブラシの効率といった要素もあるため、「吸引仕事率が高いほうが掃除性能が高い」とは言えないのですが、それでも吸引力が高いのは心強いですね。ただし、本体の重さはスティック時で約2.6kgと重めです。
- 本体サイズ(スティック時):幅253×奥行き218×高さ1,150mm
- 本体重量:約2.6kg
- 連続使用時間:強約6分、自動約18~約30分、ロング約40分(ノズルブラシ回転オフ時は約90分)
- 集じん容積:0.2L
- 実勢価格(2020年12月下旬):80,000円前後(税込)
「自動・強・ロング」ボタンで掃除スタート。ボタンを押すたびに「自動」「強」「ロング」モードが切り替わります。テストは強モードを使用しました。
掃除力は?
フローリング
仮想ゴミ:猫砂(直径約5mmサイズ)、重曹、人毛(40cm~45cm程度、1回につき20本)
フローリング吸引テスト(ヘッド往路後)
パワフルな吸引力のおかげで、一回ヘッドが通過しただけで重曹の細かなゴミは溝の奥まで掃除できました。ただし、ヘッド構造が理由なのか、左側の溝には重曹が取れていないところも。また、大きな猫砂は弾いて飛び散らす結果となりました。ブラシの回転パワーが強すぎるのかもしれません。
フローリング吸引テスト(壁ぎわ2秒吸引後)
壁ぎわのゴミは基本的に一度でしっかり吸引します。写真でもわかるように、ヘッド左側3cmほどのゴミが残ってしまうので、壁ぎわはヘッドをずらしながら掃除する必要があります。
フローリング吸引テスト(ヘッド往復後)
壁ぎわ左端3cm部の取り残しは気になるものの、ヘッドを1往復させたフローリングはかなりキレイ。溝の奥の重曹までしっかり取り除けています。溝に入ったゴミの吸引力は、今回テストした10製品のなかでも上位グループ。猫砂のような大きなゴミが2~3個、ヘッドに弾かれて残ったしまったのが残念です。
カーペット吸引テスト(ヘッド往復後)
仮想ゴミ:猫砂(直径約5mmサイズ)、重曹、人毛(40cm~45cm程度、1回につき20本)
カーペットでヘッドを一往復させたあと。カーペット中央のゴミは比較的よく吸引されていました。左右2cm幅ほど、うっすらと重曹の細かなゴミが残りました。また、ヘッドに弾かれて割れた猫砂の欠けらのようなゴミも残っていました。カーペットの掃除力にも高いものがありますが、ヘッド一往復で完璧とはいきませんでした。
吸引テスト総評
壁ぎわ掃除で左側3cm部分に出る取り残し以外は、おおむね満足の結果です。カーペット掃除も両脇にうっすらと重曹が残りましたが、どちらの問題もヘッドをずらしながら掃除することで解決できます。フローリングもカーペットも一往復で完璧な掃除にはなりませんでしたが、高い吸引力のため全体的な掃除力は優秀です。苦手とするポイントがわかっていれば、しっかり掃除したいというユーザーにオススメできる内容でした。
掃除時短の重要ポイント、メンテナンスのしやすさ
ヘッドのメンテナンス
「からまないブラシ」という名前の通り、40本吸わせた人毛がブラシにまったく絡まっていません。髪が絡まない安心感は、コードレススティック掃除機を購入するときの大きなポイントです。写真右上にある小さな黒い車輪にもゴミが絡まることなく、ヘッドのメンテナンスはほぼ必要ないと感じました。
ゴミ捨て方法
1)本体の取り外しボタンを下げながらダストボックスを取り外す
2)ゴミ捨てボタンを押してゴミを落とす
ゴミ捨ては本体からダストボックスを外す必要があるので、掃除の途中に何度もゴミを捨てる場合は面倒に感じます。ダストボックスを分解すると、内部の金属メッシュフィルター部分に髪の毛が巻き付いていました。
購入の決め手? 使い勝手
MC-SBU840Kの使い勝手のよさは、何度も書いている「からまないブラシ」の存在でしょう。筆者はロングヘアなので、髪が絡まるブラシの掃除機だと何度も掃除の手を止めてブラシに巻き付いた髪をカットする必要がありました。この作業をサボると、途中でブラシの回転が止まってしまうのです。ロングヘアの家族がいる家庭では、「からまないブラシ」は購入の決め手になってもおかしくありません。
細かな使い勝手では「親子のノズル」も便利。足でペダルを踏むことで、ヘッドをブラシノズルに替えられる機能です。家具のすき間やテレビの裏など、通常の床用ヘッドでは掃除できない場所は家中にあります。親子のノズルなら、ヘッドを交換するためにしゃがんだりヘッドを持ち上げたりする手間がありません。ちょっとした機能ですが、掃除中に力を発揮してくれます。
このほか、クリーンセンサーでゴミがきちんと掃除できたかチェックできるなど、しっかり掃除したいユーザーにうれしい機能をたくさん搭載しています。
充電台
充電台は、掃除機本体を少し持ち上げて引っかける方式。また、充電台にはロングホースやふとん用ヘッドなど、MC-SBU840Kの付属品をすべて収納できるようになっています。
付属品
付属するノズルやブラシは、写真左からロングホース、すき間用ノズル、ペタすき間ノズル、ふとん清潔ノズル。
ロングヘアの筆者にとって、髪の毛がヘッドブラシに絡まないというのはとっても大きなメリット。これまで使ってきた掃除機のなかには、掃除の途中で髪の毛が絡まりすぎてブラシの回転が止まってしまう製品ももあったのですが、MC-SBU840Kは家中掃除しても髪が絡まりません。吸引もパワフルで、ペットの毛が貼り付いたファブリックもしっかり掃除してくれます。パワーがあるぶん本体がそこそこ重く、階段や高い位置にある家具の掃除が重なると腕に負担がかかるので、掃除する場所の順序を工夫するなどして使い方でカバーするとよいでしょう。
長い髪の毛も絡まないという独自のヘッドは、実際に使ってみると本当に絡むことがなく、お手入れがカンタンでした。ペットを飼っているご家庭、髪の毛が長い家族がいるご家庭では重宝するでしょう。足でレバーを踏んでヘッドを取り外し、小ノズルとして狭い場所を掃除するアイデアもすばらしいです。吸引力もよく、大小のゴミをよく吸い取るので、掃除面では満足度が高い製品でした。ただ、本体は重めで、ズシッと手首に負担がきます。また、キッチンなどでうっかり液体などの上を掃除してしまったときに、ヘッドのブラシを外して洗えないのは、やはり気になるところです。
パワーコードレスというだけあって、やはりパワフル。床をしっかりとらえ、フローリングのゴミもカーペットのゴミもぐんぐん吸い取ります。ゴミセンサーが付いていたり、かがまずにヘッドを外して先端が細い「子ノズル」にしてすき間掃除ができたり、使いやすさに抜かりがない点も、さすがはパナソニック。「からまないブラシ」も本当に絡みません。パワフルなぶん重さももあるので、メイン機としてガッツリ掃除したい人におすすめです。