ユーキャンは12月1日、『「現代用語の基礎知識」選 2020ユーキャン新語・流行語大賞』を発表した。同賞は、2020年の間に発生した多種多様な「ことば」の中から、広く大衆に親しまれた新語・流行語を選出している。改めて、トップ10に入った新語・流行語を振り返ってみよう。

3密

  • 「2020ユーキャン新語・流行語大賞」年間大賞は「3密」に

「現代用語の基礎知識」選 2020ユーキャン新語・流行語大賞は、「3密」が年間大賞に輝いた。

厚生労働省などが呼びかけた新型コロナウイルスの感染防止を目的とする新概念、新習慣「3密」は当初広がりを見せなかったが、東京都の小池百合子知事が殺到する報道陣に「密です」を連呼したことをきっかけに一気に広がり、話題に。表彰式には小池都知事がリモートで出演した。

選考委員の一人、言語学者の金田一秀穂氏は、「3密」は健気な日本語であり、大切な項目をまとめる言い方(3高や3K)は日本語の得意技とした上で、「この悲劇的厄災の中にあっても、日本語はその特性を発揮して注意すべき心得をまとめて表し、予防を喚起した」と評した。

愛の不時着

「3密」のほか、以下9つの新語・流行語がトップ10にランクインしている。

まずは、韓国ドラマ「愛の不時着」。新型コロナウイルスの「巣ごもり需要」の影響で動画配信サービスの利用者が増え、韓流ブームが再燃。中でも、韓国の財閥令嬢と北朝鮮の将校とのラブストーリーを描いた『愛の不時着』は、長期にわたり視聴され続け大きな話題に。作中では、主演のヒョンビンさんが女性の生き方を支える自然体で理想的な人間性を体現。南北問題を取り上げながらも、魅力的な俳優たちの演技でその壁を乗り越えた。

「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」

続いて、任天堂のゲームソフト「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」が登場。どうぶつの森シリーズの第7作目として3月に発売されるやいなや、もともとの人気に巣ごもり需要が加わって、世界中で大ヒットとなった。

自分のオリジナルデザインで島を飾ることのできる「マイデザイン」の機能は、米大統領選や日本相撲協会でアピールする場として活用されたほか、東京消防庁や美術館とのコラボなど色々な企画が出現。何もない場所で自分の世界を一から作り上げるという、今までになかった選択の自由がもたらされ、これまでにないゲームの登場と称された。

アベノマスク

「アベノマスク」もトップ10に入賞。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が国内全世帯に2枚ずつ布マスクを配布するも、「なかなか届かない」「サイズが小さい」という声や、マスクの相次ぐ不具合が発生し、調達・検品・配送にも余分な費用がかかる事態となった。

アマビエ

続いて、江戸時代から疫病をおさめるといわれてきた妖怪「アマビエ」。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、SNSなどで注目され、「#みんなのアマビエ」「#アマビエチャレンジ」などのハッシュタグが登場。プロのイラストレーターや漫画家等も参加し、3千以上の関連グッズが制作・販売され一大ブームとなった。

オンライン○○

人が集まる活動が困難となった今年は、「オンライン○○」という言葉が多数登場。「診療」「就活」「授業」「飲み会」等、様々な分野でオンライン化が進み、会社では、連絡も会議も商談もオンラインに。学校現場では、小学校から大学まで授業がオンライン化し、大学生からは、前期は一度も登校していないので友達も出来ないとの嘆きも聞かれた。

鬼滅の刃

社会現象的な流行となった漫画・アニメ「鬼滅の刃」もランクイン。2016年2月から週刊少年ジャンプで連載が開始された同作は、アニメ化、映画化とブームが下火になる気配はなく、子どもから大人まで幅広いファンを獲得。登場人物と同じように髪の毛を染める「鬼滅カラー」も流行した。また、人気作ともなれば、連載が長期化しがちな少年漫画の世界で、物語をうまく畳んだ作者の潔さも注目された。

GoToキャンペーン

トラベル、イート、商店街、イベント、4つの分野で始まった「GoToキャンペーン」も大きな話題に。

功罪相半ばながら、消費を促進するという成果を上げた事は事実だが、開始早々、欠陥だらけで宿泊詐欺も相次いだほか、第2弾のGoToイートでは、”トリキの錬金術”という言葉が話題になる事態に。今や政府の意向と異なり、感染拡大の要因のひとつとも言える状況となっている。

ソロキャンプ

「ソロキャンプ」もトップ10入り。3密を気にしなくていいということからキャンプが再認識される中、ひとりでキャンプを楽しむ「ソロキャンプ」が注目を集め、一人だからこそ味わえる自由さや解放感、効率や便利さではなく、自然との一体感を大切にし、気持ちの満足を求める人が多かったことの表れともいえる結果に。

また、自然を満喫したいけれど、荷物も重いし、準備も後片付けも大変とキャンプに二の足を踏む人達には、グランピングという贅沢なキャンプも広がった。

フワちゃん

最後に紹介するのは、いまや、バラエティー番組をはじめとするテレビ番組に引っ張りだこのユーチューバー・芸人の「フワちゃん」。

「あたおか(頭がおかしい)」をキャッチフレーズとし、傍若無人ともいえる物怖じしないストレートな表現や自由な言動は、黒柳徹子さんや小池百合子都知事にまでタメ口なほど。個性を押し殺し、権威に忖度して顔色をうかがう人達が多い昨今、本音や本能で自分らしく生きるフワちゃんの姿は何とも痛快であり、多くの人から支持されている。