料理研究家の土井善晴氏が、27日に放送される読売テレビ・日本テレビ系旅番組『遠くへ行きたい 50周年スペシャル! ニッポンのごちそう』(6:30~7:30)に、旅する人として出演する。

「ニッポンのごちそう」をテーマに、富山で寒ブリ、宮崎で和牛や地鶏を使った郷土料理、神奈川で三浦大根と、各地で旬の食材を味わった土井氏。そのおいしさは「愛情」が込められることで出てくるものなのだと力説する――。

  • 三浦大根を持つ土井善晴氏 (C)ytv

    三浦大根を持つ土井善晴氏 (C)ytv

■美しいものに出会うと元気になれる

今回の旅で出会った料理に「それはどれもおいしいということですね」と堪能した土井氏。「単にそこにあるからうまいものができるということじゃないんです。愛情っていうものがなかったらね、やっぱりおいしさっていうのは得られるもんじゃないというのが、よく分かりますよね」と再確認したそうだ。

「どんなものでも、やっぱりいいものは地球と人間の関係が健全であるということが大事なんですよ。必要以上に農薬かけて育てるいうよりも、ほどほどにして自然のことをおもんばかること。そして、自分ばかり利益を出すことだけを考えないこと。過剰になってしまったら結局ロスになってもったいないことをしてしまいますからね。愛情かけるというのはそういう意識も含めてのことやから、生産者さんにそのバランスを取ってくれる気持ちがないとやっぱりいいものは穫れないんですよね」

今回は3つの地域を旅した。日程的に疲れもあったのではないかと想像するが、「それはねぇ、しんどかっても自分が日頃接するものよりはるかに美しいものに出会うと、気持ちが上がるから全然元気になれるんですよ。食材を見たり、景色を見たり、空気を吸ったりするとそういう気持ちになれるのを、自分でもわりと知ってるところがあるのでね」とのこと。

昨今、思いきり旅行することができなくなってしまったが、番組での土井氏の姿を見ていると、旅の気分を味わうことができる。

「お天気も良かったし、今回は自転車にも乗せてもらって。自転車なんて近所の周りしか乗らないからね、その土地で乗ったら、結構自分の足で歩いてるのと変わらない感じで、ええもんやなと思いましたね」と振り返った。

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■過剰に騒がない…レポーターの心構え

今年10月で50周年を迎えた『遠くへ行きたい』。同番組にたびたび出演する土井氏は「安心して見られる番組」と、出演者としても視聴者としても愛着を持っているという。

「私はこういう番組を望んでるけど、今は少なくなってきてるから、たぶん新しく作るってできるもんじゃないと思うんですよね。『何すんねん』って言われて『遠くへ行くねん』って、そんなもん企画通らへんて(笑)」と理解しつつ、「あの音楽も含めて、温かさみたいなみんなが持っている共通の気持ち良さに応えてくれるというのがありますよね。ウケることが番組の使命じゃないし、当たり前のものをきちんと見さしてもらえるというのがありがたい。だから、おいしかったらつい過剰に『わーおいしい!』と騒いだほうがええんかなと思うかもしれないけど、普通に受け止めるほうが“本当”が伝わるんじゃないかなと思います」と、レポーターとしての心構えを明かしてくれた。

今回の放送では、シンガーソングライター・森山直太朗による新たな番組テーマソングも発表。土井氏は「見どころは何と言っても森山直太朗さんの歌でしょうね。えぇ歌やったなあと改めて思います。番組がすごく新しくなった気がしましたので、若い人たちにもう一度番組を認識してもらえるのとちがうかなと思いますね」と太鼓判を押す。

さらに、「私は毎回、“生まれて初めてこの料理をするんや”という気持ちになって、昨日の自分に頼らないようにしてるんですよ。だから、そういうフレッシュ感は大事にしてほしいし、それがあの歌に象徴されているように思います」と、長寿番組のさらなる飛躍に期待を込めた。

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●土井善晴
1957年生まれ、大阪府出身。芦屋大学卒業後、スイス、フランス、大阪で料理修業。土井勝料理学校勤務の後、92年に独立、「おいしいもの研究所」代表。十文字女子大学特別招聘教授、甲子園大学客員教授、東京大学先端科学研究センター客員研究員などを務め、『おかずのクッキング』(テレビ朝日)、『きょうの料理』(NHK)などに出演する。著書に『土井善晴の素材のレシピ』『一汁一菜でよいという提案』『料理と利他』など。