映画、ドラマ、舞台にと新たなチャレンジを続け、女優としての実力をめきめきと発揮するだけでなく、トーク番組などで見せる朗らかな人柄も人気の上白石萌歌。ポケモン映画の最新作『劇場版ポケットモンスター ココ』では、ポケモンと人間の間で揺れ動く10歳の少年・ココ役を演じている。親子の絆を描く映画にちなみ、両親の教えを尋ねると、「いつまでも学び続けなさい」「久しぶりに誰かと会うとしたら、なにかお礼をすることがなかったかを考えなさい」という、大切にしている言葉を紹介。また、両親に感謝していることを聞いてみると「姉と“姉妹”として産み落としてくれたこと」と笑顔で即答した。
本作は、1998年の『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』から始まって今年で23作目を迎えるポケモン映画の最新作。森を舞台に、人間の少年・ココと、ココを育てたポケモン・ザルードの親子の愛と絆を描く。ポケモンに育てられた少年のココを上白石、森でココを見つけ育てた幻のポケモン・ザルードを中村勘九郎が演じている。
2000年生まれで、今年20歳となった上白石は「ドンピシャでポケモン世代」とのこと。「今回のお話をいただいて、演じる役柄について『ポケモンに育てられた人間の役です』と聞いたときに、『私のことだ』と思ったんです。子どもの頃からポケモンのアニメも観ていたし、ゲームも楽しんでいました。私にとって、初めて劇場に観に行った映画もポケモンだったんです。当時の私に夢を与えてくれたものに、今度は与える側として参加できるなんて感慨深いですし、とても光栄です」と喜びをあふれさせる。
一方で「年齢も性別も違うし、自分とはかけ離れた存在。そういう役が演じられるのもアニメーションの面白いところではありますが、やはりプレッシャーもありました」と話す。細田守監督による『未来のミライ』で4歳の男の子役を演じたこともある彼女だが、「声のお仕事はとても難しいです。一瞬、一瞬、ささいな表現がとても大事になるお仕事ですし、監督をはじめ、絵を描いてくださった方など、たくさんの方の手によってココが生まれています。必死に声を当てさせてもらいました」と情熱を注いだ。
具体的な役作りについては、「声を潰しにかかった」と驚きの告白。「10歳くらいの男の子って、毎日大きな声を出しているからなのか、よく声が枯れたりしていますよね。ココは野生的に育った子でもあるので、がなったり、声を荒げたりして、声を潰そうと思って。人生で初めてというくらいのレベルで、声を枯らしました。プロの声優さんにとっては、きっと考えられないくらいよくないことかもしれませんよね。でも私は何かを犠牲にすることくらいしか、手段がなくて…」と苦笑い。
「また音響監督の三間(雅文)さんから、『女の子は頭で怒るけれど、男の子は腹で怒る』と教えていただいて。重心をグッと下げて、お腹から声を出してみたら、本当に少年のような声が出たんです。三間さんが精神論と肉体論を同時に教えてくださって、ものすごくありがたかったです」とたくさんの学びがあったという。