パワフルな吸引力はそのままに、日本の住環境に合わせて開発されたコードレスクリーナー「Dyson Digital Slim」。本体は1.9kgとだいぶ軽くなり、「ダイソンのクリーナーは重い」という印象を覆したモデルです。

  • ダイソン「Dyson Digital Slim」

ダイソンの掃除機の中では本体が1.9kgと軽量。Fluffyクリーナーヘッドは40%小型・軽量化で小回りがよくなり、従来機「Dyson V11」シリーズ(2019年モデル)よりも25%軽く、30%小型化されています。

  • 本体サイズ(スティック時):幅250×奥行き1,100×高さ233mm
  • 本体重量:1.9kg
  • 連続使用時間:最長40分(エコモードでモーター駆動のないアタッチメント使用時)
  • 集じん容積:非公開
  • 実勢価格(2020年12月下旬):64,900円(税込)~
  • Dyson Digital Slimシリーズは、付属品の違いで4モデルを用意(ダイソン公式サイトから)

運転モードは、エコ・中・強の3種類。吸引テストはすべて「強」で行っています。赤いボタンを押すと、モードが切り替わります。

上の写真は「エコ」モードの表示。運転モードは電池のグラフィック、その下に残りの動作時間がカウントされます。この液晶表示がDyson Digital Slimの大きな特徴のひとつ。

掃除力は?

フローリング

仮想ゴミ:猫砂(直径約5mmサイズ)、重曹、人毛(40cm~45cm程度、1回につき20本)

フローリング吸引テスト(ヘッド往路後)

ヘッドの往路だけでもゴミをしっかり取れるのがダイソンクリーナーの魅力でしたが、Dyson Digital Slimの往路は、フローリングの溝に入った重曹が取り切れませんでした。Dyson V11であれば完璧に取れているところですが、やはり上位モデルと比較すると吸引力は弱いと感じます。猫砂も少し残っていました。髪の毛も、ブラシが通った部分の両端に少々残りました。

フローリング吸引テスト(壁ぎわ2秒吸引後)

ダイソンのFluffyクリーナーヘッドは、ブラシが壁ぎわまで当たる構造で、残りやすい猫砂もしっかり取れていました。ただ、壁ぎわ2cm程度のところをよく見ると、うっすら重曹が残っています。

フローリング吸引テスト(ヘッド往復後)

往路で残ったフローリングの溝に入っていた重曹は、キレイに吸引。ただ、フローリングの表面を触ってみると、ざらつき感が残っていました。猫砂は、ブラシが触れた部分の両端には少し残っています。

カーペット吸引テスト(ヘッド往復後)

仮想ゴミ:猫砂(直径約5mmサイズ)、重曹、人毛(40cm~45cm程度、1回につき20本)

猫砂はキレイに取れました。重曹の白い筋などはなく、全体的にムラなく吸引できています。ただ、カーペットに入り込んだ重曹は取り切れませんでした。よく見るとうっすらと残っていることがわかります。毛足が少し長いタイプのカーペットやラグには、あまり向いていないかもしれません。重曹については、どちらかというとフローリングのほうが全体的に取れていました。


吸引テスト総評

他社製の掃除機では猫砂をはじき飛ばすことがありましたが、Dyson Digital Slimはスルスルと大きなゴミを吸い込んでいくので、気持ちよく掃除できます。ただ、ハイパワーなDyson V11の吸引力を期待すると、もの足りなさを感じるかもしれません。ヘッドのサイドにスリットがあって、横から吸えるのは便利ですが、ヘッドがグラグラと動くので真っ直ぐに動かしにくいところがあります。


掃除時短の重要ポイント、メンテナンスのしやすさ

ヘッドのメンテナンス

  • 猫砂、重曹、40cm~45cm程度の人毛40本を吸引したあとのヘッド裏

Fluffyクリーナーヘッドのブラシには汚れが付きにくいので、メンテナンスは簡単です。今回のテストでも重曹などはほとんど付着せず、毎回メンテナンスをする必要はなさそうです。ただ、長い髪の毛は絡まり、ヘッドの両端からブランと下がっていることがありました。髪の毛が長い人やペットがいるご家庭では、メンテナンスの頻度が上がりそうです。

  • ブラシはサイドから取り出します

ゴミ捨て方法

1)クリアビンからパイプを取り外す
2)クリアビンの横にあるレバーを下方向に押す

ゴミ捨て工程は少なく、カンタンに捨てられます。ただ、パイプをいったん取り外さなければならないのは少々面倒です。クリアビンのフタが開くときにゴミが飛び散りやすいので、ゴミ袋などに先端を入れてから捨てるようにします。

  • 1)クリアビンからパイプを取り外す

  • 2)クリアビンの横にあるレバーを下方向に押す

購入の決め手? 使い勝手

充電台

収納用ブラケットと充電台(ドック)の2種類が付属しています。壁に取り付けられる収納用ブラケットは、省スペースでスタイリッシュに収納できますが、賃貸住宅などでは使えない場合もあります。充電台は置いて使用するタイプなので、どんなご家庭でも使えます。家庭の状況に合わせて選べるのは便利です。

  • 充電ドックのポール背面に沿って電源ケーブルをのばします

  • 赤枠で囲んだ部分が着脱式のバッテリー

付属品

付属品はモデルによって異なります。写真は「Dyson Digital Slim Fluffy」の付属品。左から、収納用ブラケット、ツールクリップ、コンビネーションノズル、ミニモーターヘッド、すき間ノズル。加えて、専用充電ドックが付属します。


家電プロレビュアー:石井和美
この記事のメインライター

2019年までのハイパワーなモデルと比較すると吸引力は落ちるものの、そのぶんとても軽くなり、掃除しやすくなりました。フローリングで使用し、一般的なホコリや髪の毛を吸引するのであれば十分な吸引力を維持しています。週一で掃除するというより、ゴミが気になったら、パッと使う掃除スタイルに向いています。長時間掃除をすると指が疲れるトリガー式ですが、短時間であれば直感的に吸引できて使いやすいです。中でも便利なのは手元の液晶表示。現在のモードや残り時間、トラブルがあったときの解決方法まで表示してくれるのはDyson Digital Slimだけで、とても便利です。


家電ライター:田中真紀子
 

重さ1.5kgの超軽量モデル「Dyson Micro 1.5kg」も出ましたが、Dyson Digital Slimは本体の重さが1.9kg。ハイエンドの「Dyson V11」が2.68kgであることを考えると、まさに両者の間を取ったようなモデルです。「ダイソンの掃除機が欲しいけどできれば軽く、でも吸引力も欲しい」という人におすすめ。特に「端」に強いので、壁ぎわを沿わせるように掃除すると、スッキリ・キレイに掃除できます。充電の残り時間が細かく表示されたり、すき間ノズルが光ったり、便利さにプラスして近未来のワクワク感が伝わってくるのもダイソン掃除機の魅力ですね。


家電ライター:倉本春

ダイソンのコードレス掃除機のフラッグシップモデル「Dyson V11」の流れを汲んだ軽量モデル。1.9kgと軽く、ヘッドが薄くなったことで狭いすき間も掃除しやすくなりました。軽量モデルとはいっても、1秒単位でバッテリー運転の残り時間をカウントダウンする表示など多機能です。トリガーを引いている間だけ吸引する操作性や、スクレーパーでゴミをこそげ落としながらのゴミ捨てなど、ダイソンならではの特徴的な機能も搭載しています。「ダイソンが好きだけど軽さも求めたい」という人にぴったりな製品です。