東京商工リサーチは12月23日、2020年1月~12月22日現在の「飲食業の倒産動向」調査(速報)を発表した。それによると、飲食業倒産(負債1,000万円以上)は累計810件(前年比1.3%増)となり、年間でこれまで最も多かった2011年の800件を上回り、過去最多を更新した。

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体力のない企業の淘汰が進む可能性も

業種別にみると、「食堂、レストラン」と「バー、キャバレー、ナイトクラブ」の2業種を除く8業種で前年超えに。特に感染抑制のために休業や時短営業を要請された「酒場、ビヤホール(居酒屋)」は168件と、過去最多だった2012年(141件)を大幅に上回った。

  • 飲食業の倒産 年次推移(出典:東京商工リサーチWebサイト)

資本金別では、倒産した810件すべてが資本金1億円未満の中小・零細企業だった。形態別では、破産が767件(構成比94.6%)と大多数を占め、「再建が難しいことを示している」(同調査)。

原因別では、「販売不振」が前年比3.1%増の688件で最多。以下、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が同28.5%増の36件、「事業上の失敗」が同21.0%減の30件と続いた。「不況型倒産(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)は計724件となり、構成比は89.3%に達した。

同調査では、「感染状況の悪化による自治体などの時短営業要請に加え、忘年会の自粛などもあり、年末年始にかけて体力のない企業の淘汰がさらに進む可能性もある」と指摘している。