今年は新型コロナウイルスの影響で、例年以上にボーナスの支給状況に大きな注目が集まっています。そんな中、公務員にも冬のボーナス(期末手当、勤勉手当)が支給されました。公務員のボーナスは、どのくらいの金額だったのでしょうか。2020年夏のボーナスや過去のボーナス、また、民間企業と比較しながら、公務員のボーナスについて考察していきます。

  • 2020年冬、公務員ボーナスの平均は?

2020年公務員の冬のボーナスはいくら?

2020年冬の国家公務員のボーナス支給額は、平均65万3,600円となりました(平均年齢34.6歳、管理職を除く一般行政職)。前年の冬のボーナスと比較すると5.0%、金額にして3万4,100円のマイナスです。

これは、職員の平均年齢が低くなり、それに伴い基本給の平均も下がっていること、そして、民間企業との格差解消のため、支給月数が0.05か月引き下げられたことが要因です。

なお、地方公務員のボーナスは国家公務員の支給状況に合わせるところがほとんどであるため、地方公務員の冬のボーナスも同様に、前年比マイナスになるとみられます。

では、今年の夏のボーナスはいくらだったのでしょうか。2020年夏の国家公務員のボーナス支給額は、平均68万100円、前年比0.1%増でした。国家公務員のこの夏のボーナスは、民間企業の前年給与の支払い水準を参考にして決められているため、コロナ禍の影響を受けていません。

なお、夏のボーナス支給月数は0.025か月増の2.22か月分、今年の夏と冬のボーナスを比べると、冬のボーナスは夏より3万円弱少なくなっています。

ちなみに、国家公務員のボーナスについては、内閣の所轄の下に置かれる「人事院」が大きな役割を担っています。人事院は、国家公務員と民間の4月分の給与を調査・比較し、得られた格差を埋めるよう勧告を行います。

また、民間企業のボーナスの直近1年間(前年8月から当年7月まで)の支給実績を調査し、民間の年間支給割合を求め、これに国家公務員の期末手当・勤勉手当の年間支給月数を合わせることを勧告しているのです。

この「人事院勧告」をもとに、内閣は国会に法案を提出。国会で改正給与法が可決されると、給与が改定する仕組みとなっています。

過去のボーナス支給額と比較

次に、過去のボーナスと今年のボーナスを比較してみましょう。今年2020年と2019年~2016年までの夏と冬のボーナスの平均支給額を下記にまとめてみました(国家公務員 管理職および非常勤を除く一般行政職)。

<夏のボーナス※1>
2020年 68万100円 前年比0.1%増
2019年 67万9,100円 前年比3.9%増
2018年 65万2,600円 前年比2.1%増
2017年 64万2,100円 前年比1.6%増
2016年 63万100円 前年比1.6%増

<冬のボーナス※2>
2020年 65万3,600円 前年比5.0%減
2019年 68万7,700円 前年比3.1%減
2018年 71万円 前年比0.6%減
2017年 71万4,400円 前年比1.4%増
2016年 70万4,800円 前年比1.7%増

なお、2017年冬のボーナスは68万1,500円、前年比3.3%減でしたが、その後の改正給与法成立により、最終的な平均支給額は71万4,400円となりました。

夏のボーナスと冬のボーナスをそれぞれ見ていくと、夏のボーナスは支給額が年々上がっているのに対し、冬のボーナスは年々下降傾向であることがわかります。ただし、多少の変動はあるものの、各年の夏と冬のボーナスを足してみると、そう大きくは増減なく安定して支給されています。

民間企業では、景気や業績がボーナス支給額に大きく影響し、コロナ禍でボーナス激減やゼロという会社もたくさんあります。それを考えると、今年もしっかりボーナスが支給される公務員はやはりうらやましいですね。

※1前年比率は著者にて計算
※2内閣官房内閣人事局 報道資料より

民間企業との差は?

最後に、民間企業のボーナス支給額を見てみましょう。「一般財団法人 労務行政研究所」によると、2020年冬のボーナスの妥結額は、全業種で平均74万3,968円となりました(東証1部上場企業のうち205社から回答を得た集計結果)。対前年同期比では、3.2%減です。

では、上場企業以外の民間企業を含むボーナス支給額はどうでしょうか。みずほ総研の「2020年冬季ボーナス予測」によると、民間企業の1人あたりのボーナス支給額は36万189円の予想、前年比では7.5%減です。

民間企業の平均支給額が約36万円とすると、国家公務員のボーナス約65万円と比べて30万円もの差があります。民間企業は大幅減となる冬のボーナスですが、国家公務員やそれに準じて支給される地方公務員のボーナスは微減にとどまっています。

ただし、国家公務員のボーナスは、民間企業の動向より少し遅れて決まるため、来年のボーナス支給額は減少する可能性があります。

ボーナスに頼り過ぎず支出のコントロールを

今年は、誰もが知る大手企業や有名企業から「年収3割減」や「冬のボーナスゼロ」など衝撃的な発表が相次ぎました。さらに、観光や飲食業のみならず、多岐にわたる業種で倒産や失業が増加しています。それらと比べると、ボーナスが安定して支給され、基本的に失業の恐れのない公務員は、魅力的に見えますね。

ボーナス支給額は自分では決められませんが、もらった給与をどのように使うかは自分次第です。来年もしばらくは続くと予想されるコロナ禍。いざという時に困らないよう、ボーナスには頼り過ぎないこと、そして、毎月の支出をコントロールして家計を守りましょう。