ニコンのフルサイズミラーレスカメラの新製品「Z 7II」がいよいよ登場しました。旧モデルの「Z 7」も完成度が高かったのですが、兄弟モデル「Z 6II」と同様にさまざまな進化を果たしてより使いやすくなっていました。有効4575万画素の写りは圧巻で、ニコンZマウントのポテンシャルの高さを堪能できるカメラに仕上がっていました。

  • ニコンが12月11日に販売を開始したフルサイズミラーレスカメラ「Z 7II」。実売価格は税込み398,000円前後で、在庫は比較的潤沢。写真は、別売のパワーバッテリーパック「MB-N11」や標準ズームレンズ「NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S」を装着している

Z 7IIとは、従来よりも握りやすくなったグリップや精かんになったEVF部、「II」の文字が輝くエンブレムなどを新たに手に入れました。従来のZシリーズユーザーならば、さらにシャープになったルックスに気付くでしょう。

Z 6IIと同じように画像処理エンジン「EXPEED 6」がデュアル化されたのが目を引きます。これにより、画像処理の速度がアップして連写スピードも向上したのです。有効4575万画素という巨大なデータを約10コマ/秒で最大77コマもさばくことが可能になったので、シャッターチャンスに強くなったといえるでしょう。実際にシャッターを切ると、やや静かになったシャッター音を響かせながら「タタタタタ…」と軽快に撮影が楽しめました。このキビキビ感がたまりませんね。

オートフォーカス周りもZ 6IIと同等の改良が加えられました。瞳AF、顔検出AF、動物AFがワイドエリアAFでも使えるようになり、より便利かつ快適に撮影ができるように進化しています。動体撮影に役立つターゲット追尾AFも頼もしい存在といえます。もちろん、493点ものオートフォーカスエリアを誇る点は変わりなく、ファインダー内の広い範囲で正確にピント合わせが可能です。

既存ユーザーからの要望が高かったデュアルカードスロット化は大きなニュースでしょう。CFexpress(Type B)/XQDカードとUHS-II規格のSDカード対応となり、メディアの選択肢が増えたと同時に、2枚差しすることによって高画素のデータをより多く記録できるようになりました。順次書き込みやバックアップ書き込みなど、それぞれのカードへの記録方式も選択できます。

新たに開発されたLi-ionリチャージャブルバッテリー「EN-EL15c」を採用したこともトピックでしょう。撮影枚数の向上に加えてUSB経由の充電と給電にも対応したので、外出先での電源供給やタイムラプス、長時間撮影時にも安心して行えるようになりました。パワーバッテリーパック「MB-N11」もオプションで用意され、縦位置での撮影もストレスなくできるようになります。

EOS R5/R6などのライバル機と比較するとやや控え目なモデルチェンジに感じますが、それはもともと完成度が高かったからといえるでしょう。Z 7IIには「質実剛健」「正常進化」という言葉が似合うと感じました。カメラのことを意識せずスッと撮影に没頭でき、美しい高画素の写真を確実にキャプチャーできる「頼れるカメラ」になっているといえます。

  • 大三元の望遠ズームレンズ「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」を装着して、冠雪した高山を狙いました。岩肌にうっすらと積もった雪の様子がよく分かります。沸き立つ雲と手前の木々のリアル感は、有効4575万画素の高画素ならではですね

  • 東京23区内唯一の渓谷「等々力渓谷」を撮りました。明暗差が激しいシーンでしたが、アクティブDライティングを「より強め」にしてシャッターを切ったところ、肉眼を越える描写と再現力を見せてくれました。精細感は素晴らしいですね

  • 近ごろは紅葉シーズンがハッキリしませんね。まだ青々としているモミジを狙いましたが、葉脈さえも確実に描き出し、リアルにディスプレイ上に写し出してくれます。背景の玉ボケも美しく、出会ったシーンを正確かつ美しくキャプチャーできるフルサイズミラーレス一眼カメラといえるでしょう

  • 東京タワーを見上げてシャッターを切りました。Z 7と変わらない広くて見やすいEVFはフレーミングもしやすく、長時間の撮影でも疲れません。デュアル化された画像処理エンジン「EXPEED 6」は処理が速く、テンポのいい撮影を約束してくれます。色再現といいタワーの立体感ある描写には脱帽です

  • デュアル化されたメモリーカードスロットは、高速な書き込みスピードに定評があるCFexpress(Type B)/XQDカードと汎用性の高いUHS-II対応SDカードの2種類が使えるようになり、順次書き込みやバックアップ書き込みなどフォトグラファーのスタイルによって使い分けできます。このカットは、JPEGとRAWとで振り分け書き込みをしました

  • 有効4575万画素の写りはとても魅力的です。大口径、ショートフランジバックのニコンZマウントの実力を体感できるからです。緻密かつ伸びやかな描写は、大画面のディスプレイで見ると惚れ惚れするほど。よく効くボディ内手ブレ補正機能、正確な測光、「自然光オート」のオートホワイトバランス、アドバンストシーン認識システムにより、フォトグラファーの意図通りの撮影が楽しめることでしょう

  • ニコンZマウントのレンズはだんだんとそろってきました。D850などの高性能一眼レフを使っているフォトグラファーも、そろそろミラーレスに移行してもいいかもしれません。F2.8通しの大三元ズームレンズもラインアップされたので、日常的な撮影に困ることはほとんどないといってもいいでしょう。画面中央はもちろん、コーナーまでクリアかつシャープな写真を、より小型軽量のZ7 IIで撮れるのですから

  • 低感度のISO 64で明るいレンズを使ってのボケを活かした撮影から、ISO 25600(拡張でISO 102400相当)での低照度下の撮影まで、有効4575万画素という高解像度を存分に楽しめるカメラになっています。ニコンZマウントはとても明るいプライムレンズがそろっているので、このような夜間のシーンでも快適に撮影できます