ニコンのフルサイズミラーレスカメラの新製品「Z 7II」がいよいよ登場しました。旧モデルの「Z 7」も完成度が高かったのですが、兄弟モデル「Z 6II」と同様にさまざまな進化を果たしてより使いやすくなっていました。有効4575万画素の写りは圧巻で、ニコンZマウントのポテンシャルの高さを堪能できるカメラに仕上がっていました。
Z 7IIとは、従来よりも握りやすくなったグリップや精かんになったEVF部、「II」の文字が輝くエンブレムなどを新たに手に入れました。従来のZシリーズユーザーならば、さらにシャープになったルックスに気付くでしょう。
Z 6IIと同じように画像処理エンジン「EXPEED 6」がデュアル化されたのが目を引きます。これにより、画像処理の速度がアップして連写スピードも向上したのです。有効4575万画素という巨大なデータを約10コマ/秒で最大77コマもさばくことが可能になったので、シャッターチャンスに強くなったといえるでしょう。実際にシャッターを切ると、やや静かになったシャッター音を響かせながら「タタタタタ…」と軽快に撮影が楽しめました。このキビキビ感がたまりませんね。
オートフォーカス周りもZ 6IIと同等の改良が加えられました。瞳AF、顔検出AF、動物AFがワイドエリアAFでも使えるようになり、より便利かつ快適に撮影ができるように進化しています。動体撮影に役立つターゲット追尾AFも頼もしい存在といえます。もちろん、493点ものオートフォーカスエリアを誇る点は変わりなく、ファインダー内の広い範囲で正確にピント合わせが可能です。
既存ユーザーからの要望が高かったデュアルカードスロット化は大きなニュースでしょう。CFexpress(Type B)/XQDカードとUHS-II規格のSDカード対応となり、メディアの選択肢が増えたと同時に、2枚差しすることによって高画素のデータをより多く記録できるようになりました。順次書き込みやバックアップ書き込みなど、それぞれのカードへの記録方式も選択できます。
新たに開発されたLi-ionリチャージャブルバッテリー「EN-EL15c」を採用したこともトピックでしょう。撮影枚数の向上に加えてUSB経由の充電と給電にも対応したので、外出先での電源供給やタイムラプス、長時間撮影時にも安心して行えるようになりました。パワーバッテリーパック「MB-N11」もオプションで用意され、縦位置での撮影もストレスなくできるようになります。
EOS R5/R6などのライバル機と比較するとやや控え目なモデルチェンジに感じますが、それはもともと完成度が高かったからといえるでしょう。Z 7IIには「質実剛健」「正常進化」という言葉が似合うと感じました。カメラのことを意識せずスッと撮影に没頭でき、美しい高画素の写真を確実にキャプチャーできる「頼れるカメラ」になっているといえます。