全世界累計発行部数2,600万部を超える人気漫画『約束のネバーランド』(原作:白井カイウ、作画:出水ぽすか)が実写映画化され、現在公開されている。楽園のような孤児院「グレイス=フィールドハウス」で里親に引き取られる日を夢見る孤児たちだったが、エマ(浜辺美波)、レイ(城桧吏)、ノーマン(板垣李光人)の3人は、実はそこが「鬼に献上する食用児を育てる農園」だったことを知り、孤児たち全員を引き連れた脱獄計画をスタートさせる。
メインキャラクターのレイを演じたのは、第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを獲得した是枝裕和監督作『万引き家族』で注目を浴びた城桧吏。城が演じた現実主義者でクールな少年・レイは、孤児院「グレイス=フィールドハウス」の中でキーとなる存在でもある。今回は城にインタビューし、作品の魅力や撮影の様子について話を聞いた。
■原作を読んですぐにまとめ買い
――原作について元からご存知だったということですが、どこで知って好きになったんですか?
アニメ好きないとこから「『約束のネバーランド』、面白いから、絶対に読んだ方がいいよ」と言われたので、読んだら面白くて。世界観とたくさんのキャラクターに惹かれたので、すぐにまとめ買いしてしまいました。映画に出演が決まった時には、いとこからも「すげ~!」と電話がかかってきました。
――好きなキャラは誰だったんですか?
まさに、自分が演じることになったレイが好きでした。クールでかっこよくて、物静かだけどエマとノーマンのことを思っていて、優しい部分が見えてくるところが好きです。自分がレイに決まったと聞いて、最初は信じられなくて「現実なのか?」と思ったりもしました。でも難しい役なので、プレッシャーも感じました。
――エマ役の浜辺さんは20歳、ノーマン役の板垣さんは18歳、そして城さんは14歳と少し年齢に差がありますが、親友役として空気を出すのは大変なところもありましたか?
撮影当時は僕が12~13歳だったんですが、李光人くんとは撮影が始まる前に何回も一緒にリハーサルをしていたので、そこで仲良くなれました。浜辺さんは李光人くんよりも年上なので、最初はなかなか話すことができなくて、3人の関係を作るのは大変でした。
でも撮影が始まると、エマと2人のシーンもあったので、その時に話をしたりして。だんだんと慣れていって、今では自分から話しかけるのも全然平気です。監督からは「もっと食べて」と言われていたんですけど、朝が早くてごはんがお腹に入らない時など、浜辺さんが「お菓子いらない?」「これ食べなよ」と言ってくださいました。健康に気を使ってくれて、すごく優しかった。お姉ちゃんみたいな存在でした。
■『万引き家族』の時との違いは
――平川雄一朗監督は、指導で厳しくすることもあったけど、城さんが食らいついてきていた、といったことを話されていましたが、撮影ではそういう時もあったんですか?
監督には色々と教えてもらいました。悔しかったのは、リハーサルの2回目、大声を出す練習をしていたら、喉が枯れて、まったく声が出なくなってしまった時です。監督が「じゃあ、今日は終わり」と言ってくれたんですが、不甲斐なくて、ちょっと泣いてしまって。「なんでできないんだろう」と悔しい思いでした。
――『万引き家族』の是枝監督は、その場の口伝でセリフを教えてもらうスタイルだったと思いますが、今回は台本を読み込んでリハーサルをして、その違いはどのように感じましたか?
『万引き家族』の時は、長いセリフのところもその場で1回で覚えなければいけないことが大変でした。でも、(リリー・フランキーの)マジックを見るシーンとか、事前に知らなかったシーンがあって、素で驚くことができました。今回は台本があったので、撮影までに家で練習ができたことが良かったです。
――もともと芸能界にはスカウトで入られたんですよね。いつから演技のお仕事が楽しくなっていったんですか?
ほとんど覚えてないんですけど、スカウトされた後、「やってみようかな」と言ったことは覚えています。どんなものかはまったくわからなかったけど、何があるわからないから、とりあえず入ってみようかな……みたいな感じでした。
そこから、自分じゃないもう1人の人になれるのが楽しいなと思って、演技が好きになりました。その楽しさを大きく感じたのは『万引き家族』の時でした。普段できないことができるし、撮影現場が賑やかで、毎日朝早く起きて行くのがわくわくする。「今日はどんな感じの場所で、どういうことをするのかな」と考えるのが楽しかったです。
――今後はどんな作品に挑戦してみたいですか?
アクション作品に出てみたいです。『るろうに剣心』が好きで、戦ってるシーンにわくわくしました。男のロマンというか、ワイヤーを使って跳んだりするアクションに挑戦してみたいです。『るろうに剣心』の佐藤健さんと、神木隆之介さんの2人の戦闘シーンが大好きなんです。佐藤健さんが切り掛かった瞬間に、神木隆之介さんが上にジャンプして、そこから低い体勢でシュッシュッシュって攻撃するシーンがすごく好きで、何回も見ています。あんなすごい剣術をやってみたいです。
■城桧吏
2006年9月6日生まれ、東京都出身。第71回カンヌ国際映画祭でパルムドール、第42回日本アカデミー賞を受賞した映画『万引き家族』(18年)で世界中からの注目を集める。その後、NHK大河ドラマ『西郷どん』、ドラマ『グッド・ドクター』(18年)、『時効警察はじめました』『ドクターⅩ~外科医・大門未知子~』(19年)など数々の話題のドラマに出演。初主演を務める映画『都会のトム&ソーヤ』が2021年公開予定。