現在、MicrosoftはWindows 10のUI刷新を目指すプロジェクト「Sun Valley」を推進している。開発に影響を及ぼすといわれていたWindows 10Xは、2020年内にRTM(製造工程版)を迎える可能性が高い。Sun Valleyの適用が2021年春の21H1なのか、2021年秋の21H2なのかは分からないが、その一端が少しずつ見えてきた。
米国時間2020年12月10日にリリースしたWindows 10 Insider Preview ビルド21277は、ARM64デバイス用x64エミュレーター機能に注目が集まる一方で、新たに加わった変更点の1つに「アニメーション」がある。スタートメニューやプルダウンメニュー、ドロップダウンリストなどを描画するとき、スルッと描くアニメーションだ。
たとえば現在のWindows 10 バージョン20H2で「ファイル名を指定して実行」を起動すると(Windowsキー+Rキー)、パッと現れる。だが、Windows 10 Insider Preview ビルド21277では、ダイアログの中心部分を最初に描き、その後は周りを少しずつ描くアニメーション効果が加わった。Microsoftは公式ブログで「移り変わりがスムーズになる」と説明しているが、筆者は「画面の奥からすり出てくる」ような印象を受ける。
このアニメーション効果、Sun Valleyの結果というよりは、Fluent Designの一部をWindows 10のUIに適用したと紹介するほうが適切だろう。ただ、UI刷新を目標としているSun Valleyは新たなFluent Designを取り込み、従来とは異なるUX(ユーザー体験)の提供を目指している。その成果がバージョン10.2012へと更新した「アラーム&クロック」だ。
Windows 10 バージョン20H2のアラーム&クロックと見比べると一目瞭然だが、サイドバーに並ぶ機能の順番や各部品を入れ替え、異なるアプリのように見えてくる。アラーム&クロックが最初に登場したのは、初代Windows 10。当時はWindows 10 Mobileでの操作性を維持するため、マウスでは操作しにくいUIを採用していたが、Windows 10 Mobileの提供終了後もそのままだった。この5年間を振り返ると、ダークモード対応以外の機能的な変更は加わっていない。
Sun ValleyがWindows 10のUIにとどまらず、アラーム&クロックのように既存アプリの古いUIを見直し、改善を加えていくことは確実のようだ。どのように変化するかは不明だが、Sun ValleyによるUIの見直しは、スタートメニューやアクションセンター、そしてタスクバー、エクスプローラーが含まれる。抜本的にはWindows 95時代からUIが変わらず、UWP版も中断したままのエクスプローラーに加わる変更は興味深い。