App Clip(アップ・クリップ)とは、iOS 14からサポートされた一時利用目的のミニアプリのこと。最近のアプリは大容量化が進み、100メガバイトどころかギガバイト超えも珍しくありませんが、App Clipは10メガバイト以下に制限されており、気軽にダウンロードできます。機能は限定されているものの、小さいから"お試し利用"に適しているというわけです。
App Clipは、通常のアプリと同様にAppleの審査を経たうえで公開されますが、導入にはApp Storeは必要ありません。WEBサイトに用意されたバナーをタップしたり、カメラアプリでのQRコードの読み取りなどの方法で入手できます。サイズは10メガバイト以下と小さく、ほぼ一瞬でアプリを起動し試用へ進めます。
そのApp Clipが、iOS 14.3で「App Clipコード」に対応しました。一見すると点線で描かれた同心円ですが、そこにはApp Clipの入手先アドレス(URL)が符号化されており、カメラアプリでかざすことで読み取られ特定のApp Clipがダウンロードされます。使いかたはQRコードと変わらないものの、ひと目でApp Clipとわかるデザイン性が特長です。
App Clipコードは、NFCタグの形で利用することもできます。NFCタグの読み取りに対応したiPhoneであれば、カメラアプリを起動して構えることすら必要なく、iPhoneの上部をNFCタグにかざすだけでApp Clipを入手できます。
App Clip/App Clipコードの普及はこれからですが、会員証の提示やポイントの付与といった複雑な操作を必要としない場面での活用も見込まれています。かざすだけで必要な機能が手に入るのですから、アプリの入手方法だけでなく用途まで大きく変えてしまうかもしれません。