ベンチャーへの出資や協業を行うJR東日本スタートアップはこのほど、JR東日本沿線の湧水を活用したわさび栽培の実証実験を行うと発表した。
国産のわさびは世界的な和食ブームによって世界的に需要が高まっており、サプリメントなど加工品としても高値で取引されているという。一方、気候温暖化に伴うわさび田の水温上昇や干ばつ傾向の深刻化などで生育環境が年々悪化し、収量はここ10年ほど右肩下がりが続いている。
こうした状況を踏まえ、湧水資源を活用したわさび栽培の事業化を進めるグリーンインパクトとJR東日本スタートアップが手を組み、JR東日本の沿線で豊富に湧き出す湧水を活用し、わさび栽培を手がけることととなった。
実証実験は新潟県と千葉県で実施。新潟県ではGALA湯沢駐車場内で、同スキー場の下を走る上越新幹線のトンネル湧水を活用して本わさびを栽培する。トンネル湧水はミネラル分が豊富で、年間を通じて水温が低いため、わさび栽培に適しているという。育成が成功したわさびはスキー場内のレストランで提供し、将来的には「GALAブランドわさび」として6次産業化をめざす。
おもなわさび産地に比べ、わさび生育に適した湧水量や水温に恵まれていないとされる千葉県では、県内有数の湧水量を誇る君津市久留里地区で本わさびと西洋わさびを栽培する実証実験を行う。同地区は多数の自噴井戸が点在しており、今回は圓覚寺境内にある自噴井戸から湧き出る水を使って栽培する。わさびの生育が成功した場合は、JR東日本直営「ホテルファミリーオ館山内」のレストラン「BUONO(ボーノ)」にて、限定メニューとして2021年3月に提供するという。