俳優の西島秀俊が主演を務めるNHKのドラマ『ノースライト』の後編が、きょう19日(21:00~)に放送される。主人公の建築士・青瀬稔を演じた西島に、北村一輝や宮沢りえとの共演の感想、さらに、女優として注目されている田中みな実の演技の魅力について話を聞いた。

  • 『ノースライト』青瀬稔役の西島秀俊(左)と津村マユミ役の田中みな実(右)

『半落ち』、『クライマーズ・ハイ』、『64(ロクヨン)』などで知られる横山秀夫氏の同名小説を原作とするこのドラマは、家族をテーマにしたミステリー。主人公の建築士・青瀬稔(西島)は、吉野陶太(伊藤淳史)から「あなた自身が住みたい家を建てて下さい」と依頼され、吉野邸(Y邸)を完成させる。吉野一家も満足そうにしていたが、その1年後、吉野一家が引っ越していないことが発覚。一家はどこへ消えたのか、青瀬は失踪の謎を追う。

豪華なキャストも本作の魅力であり、住宅の依頼人・吉野陶太役の伊藤淳史のほか、青瀬が勤める岡嶋設計事務所の所長・岡嶋昭彦役の北村一輝、青瀬の元妻・村上ゆかり役の宮沢りえらが出演している。

西島は「北村さん、宮沢さんをはじめ、本能で演技をする方たちが集まって作品を作っていて、毎日刺激的で楽しかったので、そこも見ていただきたい」とアピール。「僕も翻弄される思いで日々演技していました。みなさん脚本を読んでいるよりもはるかに生き生きされていました」と笑顔で振り返った。

岡嶋役の北村一輝とは、現場で一緒に過ごす時間が多かったという。「北村さんは本当に演技が好きな方で、空き時間はずっと本読みを一緒にやっていて、『本当に好きなんだな、この人は』と思いました。『このセリフはこう変えよう』とアイデアもお互い考え、『今回は建築士だから、刑事っぽくなるとダメだね』などと2人で言い合いながら演じていました」と明かし、「演技に対する情熱と色気にあふれた人」と北村のことを表現した。

また、「この物語は岡嶋が影の主役」だと言い、「青瀬は、自分はわかっているつもりでいるけど何もわかってなくて、岡嶋にあることが起こることで再生していく。その前から再生は始まっているんですけど、そこで決定的に自分を、そして人生を少しずつ取り戻しだす話。そのきっかけを作って青瀬を常に引っ張り、物語を引っ張っていくのは岡嶋で、役と同じように現場で常に北村さんに引っ張ってもらった印象です」と語った。

元妻・ゆかり役の宮沢についても、「不思議なんですけど、ちょっとした嫌なことを言うときに一番チャーミングで人間味があふれていて、『こうやって人間味って出るんですね。こういう風にやるんですね』って思わず話してしまうくらい、ある意味、男性が理想とするような女性をすごく人間らしく、それでいて、理想をちゃんと人間に下ろすというのが素晴らしかった」と絶賛した。

岡嶋設計事務所の事務員・津村マユミ役として田中みな実が出演することも注目されているが、西島は女優としての田中の才能を感じたという。

「田中さんは、ある感情が湧き出るシーンがあって、ものすごく時間をかけて撮るシーンだったんですけど、集中力が素晴らしくて。どこかで途切れてしまうのではないかというくらい最初から感情が出ていて、周りが心配するくらい役に入られていたんですけど、まったく途切れることなく、長時間その感情をずっと持っていらして、集中力と感受性の豊かさを感じました」と称賛。

さらに、「一緒にそのシーンを作っている1人ですが、つい引き込まれて。また、演技のやりとりの中で、いろんなものを周りの俳優に与えてくれる、すごい才能の持ち主だなと思いました」と語った。

■西島秀俊
1971年3月29日生まれ、東京都出身。1994年『居酒屋ゆうれい』で映画初出演。近年の主な出演作にドラマ『MOZU』、『きのう何食べた?』、映画『空母いぶき』、『サイレント・トーキョー』など。2021年度前期のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』に出演予定。また、公開待機作に劇場版『奥様は、取り扱い注意』(2021年3月19日公開)、『シン・ウルトラマン』(2021年初夏公開)などがある。

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