LGはカバーを取り付けると2つのディスプレイが利用できるスマートフォンを次々と送り出しています。日本でも「G8X ThinQ」「V60 ThinQ」そして「VELVET」と3機種を投入しました。LGといえば2画面、というイメージを世界中の消費者に印象付けようとしているのでしょう。

その2画面スマートフォンの新しい形としてLGが投入した製品が「WING」です。日本ではまだ販売されていませんが、アメリカや韓国、台湾などでは発売済み。2つのディスプレイを上下に重ねた形状になっており、5Gにも対応しています。普段は通常のスマートフォンとして使え、上のディスプレイを90度回転させると「T」の字型に変形するのが大きな特徴です。

  • 2画面がT字に変形するLGのWING

T字型への変形は動画を横向きに見たいときに便利でしょう。普通のスマートフォンなら本体を横向きにすればいいのですが、長方形のスマートフォンを横向きにすると親指が画面を覆いがちだったりと、安定して持つことができません。一方WINGならばT字にして下側の縦長の画面部分を手にすればいいので安定して保持できます。電車の中で立ったまま長時間動画を見る時などに重宝しそうです。

  • T字スタイルで下部をしっかり保持できる。立ちながらの長時間動画視聴にもよいスタイルだ

なおWINGのフロントカメラはポップアップ式。そのためディスプレイにフロントカメラの穴などが無く、6.8インチのディスプレイすべてを表示領域として使えます。動画を見る時の没入感が高まるわけです。なおT字にした場合の下側のディスプレイサイズは3.9インチとなります。

  • フロントカメラが無いためディスプレイは全画面表示が可能だ

T字型にするとカメラが自動的にジンバルモードになるのも面白い機能です。6軸の手振れ補正でWINGをアクションカメラのように握って使用できるわけです。このときに下側の3.9インチのサブディスプレイはジンバルのコントローラーが表示されます。動画や写真表示の時もサブディスプレイにはサムネイルが表示されますが、WINGは1つのアプリを「メイン表示」と「サブ表示」の2つに分けて使うことができるわけです。

  • スマートフォンなのにジンバル内蔵のアクションカムとして使える

また普通の写真を撮る時もT字スタイルなら片手で本体をしっかり保持して撮影できます。常に写真を撮り続ける、なんて場合も普通のスマートフォンのように横向きにしてホールドするよりも手が疲れないと感じました。さらにLGのスマートフォンの上位機種はフロントとリアのカメラを同時に使った撮影ができますが、その際もT字モードが使いやすいです。WINGはカメラフォンとしても使いやすそうです。

  • T字スタイルで写真撮影。前後カメラの同時撮影も楽にできる

さて2つのディスプレイは別々のアプリを起動することも可能です。一番便利だと思ったのが地図との併用です。メインディスプレイで検索しながらサブディスプレイでお店の位置を地図で表示したり、逆にメイン側で地図を表示してサブで電話アプリを呼び出して通話する、という使い方は車に乗っている時にスマートフォンをナビ代わりにするのに向いています。なお本体を「├」の字状態にして、メインの地図を縦表示、サブの電話を本体の右側に飛び出す格好にもできます。スマートフォンホルダーを使うときはこの向きが良いかもしれません。

  • 地図と電話を2つの画面に表示。このまま上下左右に90度回転させても2アプリ表示ができる

WINGのスペックはチップセットがSnapdragon 765Gを採用、ミッドハイレンジクラスの製品です。カメラは6,400万画素と高画質で、1,200万画素の超広角、さらにジンバルモード用に6軸手振れ補正の1,300万画素カメラを搭載。ポップアップ式のフロントカメラも3,200万画素でセルフィーも美しく撮影できます。価格は999.99ドル(約10万4,000円)。CPUスペックを考えると若干高いものの、2画面が活用できる高性能カメラ搭載スマートフォンと考えると悪くない価格でしょうか。

  • カメラは高画質。なお本体カラーは記事中のIllusion SkyとこのAurora Grayの2色

WINGを実際に使ってみての感想は、2つのディプレイがあるとアプリの利用が便利なだけではなく、カメラも使いやすいというものでした。回転アクションで気をひこうとするキワモノ的な製品と当初は思いましたが、この設計はスマートフォンの使い勝手を高めるという点で合理的だとも感じました。大昔のガラケーにもT字変形する製品がありましたが、写真を見る時に便利だったことを思い出します。日本でもぜひ発売してほしいと思います。

  • T字型はネタではなく実際にかなり使いやすい