体温が下がると免疫細胞が不活性化しますが、「この50年間で、日本人の平均体温が36.9℃から36.1~36.2℃ぐらいに下がった」という説があります。元気に冬を乗り越えるため、体温を上げる「温活」に取り組みましょう。

  • 冬の冷え対策は大丈夫ですか?

身体は温めるべき! まずは足から

体温を上げるための「温活」という言葉を耳にする機会が増えました。身体を温めるものを食べる、運動をして筋肉を増やすなど、「自力で体温を上げる」ことは重要ですが、「外から物理的に温める」のも有効とのこと。

医師でシンガーの木村至信氏(以下、キムシノ氏)は以下のように指摘します。

「『頭寒足熱』という言葉があります。足元を温め適度な圧をかけることで、心臓に戻ってくる血液が増え代謝が上がり、身体が温まるというのは事実です。最近、発熱する電気ひざかけや電熱ベストなどがヒットしています」。

確かに、筋肉は下半身に集中しており、ひざ掛けなどで下半身をあたためることも大事ですが、これらは脱水になりやすいので注意が必要です。私のお勧めは、少し圧のかかるタイツを履き、その上に毛糸の靴下を履くことです。

  • 「靴下サプリ まるでこたつレッグウオーマー」(税込1,980円)

こちらは、ネットで買った「靴下サプリ まるでこたつレッグウオーマー」(税込1,980円)というもので、本当に暖かいです。足首に圧が軽く圧がかかる設計で、むくみ防止に役立ちます。

カイロは進化して便利なものがたくさん

使い捨てのカイロは冬の定番品ですが、この冬は「直貼」(税別550円/Sサイズ)という温熱用具がジワ売れ中らしい。その名の通り、直に貼れば冷える部分をしっかり温めてくれます。

  • 「直貼」(税別550円/Sサイズ)

キムシノ氏「腰が痛いのですが、『湿布貼って、コルセットして、温熱用具入れる』作業がこれ一枚で完結して、モコモコせず洋服を選ばないので助かっています。あと、肌の弱い両親が使っても低温火傷をしないし、剥がす時もかぶれにくいところも気に入っています。地味ですが、見えにくい背中でも、一人で貼りやすいのもポイントかも」。

テレワーカーもオフィスワーカーも飲み物はホットで

仕事をしながら、休憩にと、ビジネスパーソンにはコーヒーがつきものですが、冬だけはその習慣を紅茶やハーブティーなどに変えてみては?

キムシノ氏「複数の医師監修のデータにより、温かいスープやコーヒーを飲んだ後のサーモグラフィーで、全世代関係なく『摂取直後から腹部・手の甲は、それぞれ温まって60分後も持続する』ことが分かっています。

飲み物は常温のものの他、温かいものを保温性の高いマグに入れるのがお勧めです。胃腸を冷やしすぎないことで、免疫力も維持できます。熱い飲み物が苦手なら、常温でもよいです。私は、お湯にカロリーオフの砂糖、ジンジャーパウダーを入れて朝やお昼や夜に飲んでいます」。

  • ルイボスティーも冬の間はホットでどうぞ

生のショウガは逆効果? 温活には乾燥・加熱を

温活となると、必ず名前が挙がる食材がショウガ。医師の目から、温活アドバイスをしてもらいました。

キムシノ氏「ショウガは、生で使うと逆効果なので要注意です。生のショウガに含まれているジンゲロールという成分は、身体の表面を温めて汗を出し体温を下げる働きがあり、乾燥や加熱をしたショウガは身体を内側から温める効果が期待できるとされています。

有効成分は、皮に多く含まれるので、きれいに洗って皮ごと乾燥させて粉にしたものが良いでしょう。使いやすいのが、ショウガパウダー。ショウガを乾燥させたものにはショウガオールという成分が含まれ、胃腸を適度に刺激して臓器の血行を改善する作用が期待できるとされています。

一般的に年齢とともに代謝は低下してくるとされているため、代謝低下が気になる方はショウガパウダーを取り入れてください。ショウガオールとともにジンゲロンという成分もでき、ショウガオールより強力な殺菌・抗酸化作用を持つ可能性があります。ただし、食べすぎはやめましょう」。

  • 「ミラクルジンジャー」(税込1,000円/70g)

ここで、ショウガの成分についてまとめます。

ジンゲロール

生のショウガの辛さのもとで、口に入れるとすぐにピリッと辛みを感じさせる成分。抗酸化作用がありアンチエイジング効果が期待でき、免疫力を高める作用や殺菌作用から胃腸の調子の改善や風邪予防にも期待が持てる。また、血管を拡張させる作用がみられることがあり、血流が良くなり手足を温め、肩こりや頭痛の改善につながると考えられる。

ショウガオール

ジンゲロールと同様の辛み成分。乾燥や加熱によってジンゲロールの一部が変化したもので、熱から作り出される。ショウガオールが効果を出すと、血行を良くし、身体の芯から温まる実感がある。冷え性予防や生理痛などへの鎮痛効果が期待できる。

ジンゲロン

ショウガオールと同様に、加熱や乾燥によりジンゲロールの一部が変化したもの。胃液の分泌を高めて消化促進したり、血行を良くしたりと、冷え性改善に期待ができる。体温とともに代謝も高まり、脂肪燃焼、便秘解消への期待も高まる。

温活にサプリや食べ物なども活用しよう

外から、中から、温めることは超重要。食事やサプリも冬は温活を意識しましょう。

キムシノ氏「日常の食事としては、ストレスを緩和する『GABA』を含む食品を食べましょう。成長ホルモンの分泌を促す効果もあるので、アンチエイジングの面からも注目です。食材では玄米、カボチャ、ジャガイモ、トマトなどに多く含まれます。GABA入りのチョコレートもいいと思います。

漬け物、納豆、味噌、キムチ、チーズなどの発酵食品は冬だけでなく年中摂取しましょう。麹を発酵させて作る甘酒はホットでどうぞ。発酵食品は、腸内環境や血流の改善を促し、身体を温める働きがあると考えられています。母がぬか漬け名人で、大根などのほかショウガをぬか漬けにしていて、おいしいですよ。

サプリだとシトルリンに注目しています。シトルリンは私たちの身体の中やウリ科植物に含まれるアミノ酸です。血管の機能維持、血行改善などの働きから『スーパーアミノ酸』ともいわれる通り、疲労回復やスポーツのスポーツ改善からEDまで、さまざまな効果が報告されています。気軽に使える『活力アミノ酸DX』(税別5,238円)など良さそうです。サプリメントで摂取する場合には目安の摂取量を守り、2週間ぐらいから試してみるといいと思います」。

取材協力:木村至信(きむら・しのぶ)

横浜市の馬車道木村耳鼻咽喉科クリニック院長・産業医・医学博士。テレビやラジオのレギュラー番組を持つタレントでもあり、「木村至信BAND」でメジャーデビューする女医シンガーの一面も。