スズキがコンパクトハイトワゴン「ソリオ」をフルモデルチェンジして発売した。背が高く、後ろが電動スライドドアになっている実用性の高いクルマだが、試乗してみて気になったのは「Gメーター」の存在だ。走行中に乗員が感じる重力(G)を可視化する機能だが、ハイトワゴンのソリオになぜ、同機能が付いているのだろうか。
値段は高めの軽くらい?
ソリオは2000年12月に発売となったスズキのコンパクトハイトワゴンで、今回の新型が4世代目となる。もともとは「ワゴンRソリオ」として登場したクルマだが、その後は両側スライドドアやマイルドハイブリッド(MHV)など装備を充実させつつ進化を続けてきた。2019年度時点でソリオの保有台数は38.6万台弱に達しているという。
最近は軽自動車のスーパーハイトワゴンが人気で、ホンダの「N-BOX」は日本で最も売れているクルマだし、スズキの「スペーシア」も高く評価されている。ただ、軽では物足りないという人にとって、1.2Lの直列4気筒エンジンを積む新型「ソリオ」はチェックしてみるべき存在なのではないだろうか。小型で背の高い登録車という意味では、ダイハツ工業の「トール」やトヨタ自動車の「ルーミー」(トールのOEM車)などと同じカテゴリーのクルマである。
試乗してみると、新型ソリオは視界がよくて運転しやすいクルマだった。乗り込むと室内は広く感じるのに、ボディサイズはコンパクトなので扱いやすい。高速道路で加速する際などにはエンジン音が少し気になるが、フルモデルチェンジで静粛性や操縦安定性などは向上しているという。
大抵はドライバーの目の前にあるメーターはダッシュボードの中央に配置してあるが、表示が大きいので確認しづらいということはなかった。グレードによってはカラーヘッドアップディスプレイが付いているので、ここで車速を確認すれば視線移動はかなり少なくなる。
このセンターメーター内には、4.2インチカラー液晶の「マルチインフォメーションディスプレイ」が全車標準装備となっている。ステアリング左側のボタンを押せば、タコメーター、平均燃費、エネルギーフロー(MHVのバッテリーにどのくらいの電気が溜まっているか)などのさまざまな情報が確認できて便利なのだが、表示を切り替える手を止めて思わず二度見してしまったのが「Gメーター」だ。
Gメーターとは車内で感じるGを可視化してくれる装置だ。例えば減速時には上方向、右折時には左方向に赤いメーターが表示されるので、これにより、どちらの方向にどのくらいのGがかかっているのかが分かる。
こういう装置はスポーツカーなどで見たことがあるのだが、どちらかといえば、というより間違いなく、スポーティーであることより実用的であったり使い勝手がよかったりするところが魅力のソリオに、なぜGメーターが付いているのか。気になったのでスズキに聞いてみると、その答えは実に簡単。「スイフト」などと同じソフトウェアを使っているので、スイフトでも見られるGメーターは、当然ながら新型ソリオでも確認できるとのことだった。マルチインフォメーションディスプレイに表示させる情報は選択できるそうなので、Gメーターが不要だと思ったら、チェックを外しておけば出てこなくなるそうだ。
ということで、引っ張っておいた挙句、ちょっと拍子抜けするような答えとなってしまいまことに恐縮ではあるのだが、Gメーターに気を付けながら運転すれば同乗者から「運転、うまいね」とのお言葉をもらえるかもしれないので、使い方次第では役に立つ機能なのかもしれない。