ソニーAIは、「ガストロノミー」(食と文化や科学などの関係を考察する学問)を軸に研究開発を行う「ガストロノミー・フラグシップ プロジェクト」を本格始動したと発表した。
具体的には、シェフの創造力や調理能力向上に貢献する「レシピ創作支援AIアプリ」および「調理支援ロボティクス」の研究開発、そして研究開発の基盤となる「コミュニティによる共創活動」を推進する。
ソニーAIは、ソニーの既存事業領域である「ゲーム」と「イメージング&センシング」に加え、新規探索領域として「ガストロノミー」を、AI技術の研究・開発におけるフラグシップテーマに設定している。
ゲームや音楽、映画と同様、ガストロノミーもシェフ(クリエイター)と人を結ぶ、グローバルなクリエイティブエンタテインメントの領域と位置づけ、研究開発と各種パートナーシップを推し進める。
このプロジェクトで行われる具体的な活動については以下の通り。
「レシピ創作支援AIアプリ」の開発
食のレシピや食材に関する多様なデータ(味や香り、風味、分子構造、栄養素など)を元に、独自の解析アルゴリズムを追求。世界トップクラスのシェフも納得する食材のペアリングや、レシピ・メニューの創作を支援するアプリを開発する。
ソニーAIは、料理の味がおいしいことに加え、人の健康に寄与し、環境のサステナビリティにも貢献するレシピ提案ができるアプリを目指す。世界トップクラスのシェフとの対話から得られる知見や、食材に関するデータの提供を受けるパートナーとの協力関係を築きながら開発していく。
「調理支援ロボティクス」の開発
世界トップクラスのシェフの右腕になりうる、また、ある場面においてはシェフの技能をもしのぐ、高度かつ精密な調理支援ロボットの研究開発を行う。
形状や特性の異なる食材の下準備や、さまざまなツールを用いた調理作業、その後の盛り付け(プレイティング)など、調理には複雑な工程が複数ある。世界トップクラスのシェフとのコラボレーションを通じ、センシングやAIを活用して、シェフの技術をロボットに学習させる。それにより、調理から盛り付けまでの全工程で、シェフを支援することを目指す。
リモートの技術を用いた、遠隔でのロボット操作も研究開発の対象となっている。例えば、遠隔地に対してシェフの料理を提供することも視野に入れている。
コミュニティによる共創活動
ガストロノミーコミュニティの長期的な持続可能性に貢献することを目的に、ソニーAIは世界各地のシェフのコミュニティとの関係強化を図ると同時に、これらの領域において最先端の研究を行う大学や研究機関、企業とともに、多方面から研究開発を行っていく。
シェフとの関係を構築する活動の第1弾として、「シェフ・インタビュー・シリーズ」をソニーAIサイトにて公開。総勢18名のシェフや食の専門家へのインタビューをリモートで行い、新規メニュー開発の発想の原点やプロセス、テクノロジーの活用に加え、サステナビリティなど今後の食を考える上で欠かせないトレンドに関するヒアリングを実施。今後も、食に携わる幅広いジャンルのクリエイターや見識者との対話を続け、そこから創出される知見をAIアプリおよびロボットの開発に役立てる。