finalは、自社ブランド「final」とシンガポールのオーディオブランド「DITA」が共同開発したイヤホン「SHICHIKU.KANGEN-糸竹管弦-」を、2021年2月下旬に発売する。価格は298,000円(税込)。全世界500台限定生産で、12月12日から予約受付中だ。
デザインから音作りまで、全てを共同で行ったというfinalとDITAのコラボ製品。共同開発による新ダイナミックドライバー「トゥルーベリリウムドライバー Gen.SK」を搭載し、目の前で楽器が演奏されているような美しい高域や、立ち上がりの良い音を実現。さらに広がりのある豊かな低域を目指すため、ボイスコイルからの引き出し線と振動板の接着方法に新しい設計を開発した他、内部配線やボイスコイルの線材も、付属ケーブルに最適なものを選定して採用する。なお製品名の「SHICHIKU」はDITAが、「KANGEN」はfinalが提案。いずれも楽器という意味合いの古語で、「演奏するたびに手に馴染んで愛着が深くなる楽器」という意味を込めたという。
ハウジングには、中国で生まれて日本で培われたという伝統技法「沈金」で麻の葉模様をデザイン。質の高い漆の産地で、古くから漆工芸品の産地として名高い輪島の漆職人が施工を担当する。素材表面の彫り込みに漆と金を塗り重ね、金を拭い取ることで漆に文様が沈み込むような質感を表現するという。本体は、文様をより美しく輝かせるという呂色(ろいろ)鏡面仕上げ。
製品には新開発の「OSLOケーブル Gen.SK」が付属する。DITAの「OSLOケーブル」をベースとした製品で、ゴールドとシルバーのナノ粒子をブレンドしたオイルをコーティング。表面の平滑性を高めることで、導電性も向上させるとしている。イヤホン側のコネクタはMMCXで、プラグには「AWESOMEプラグ」を採用。一般的な3.5mmステレオミニの他、2.5mm4極プラグ、4.4mm5極プラグのバランス出力も利用できる。感度は99dB/mW、インピーダンスは16Ω、重量は47gで、ケーブルの長さは1.2m。
発表会にはfinal代表 細尾氏が登壇し、DITA社とのこれまでについて説明。はじめは設計情報の共有を渋る社員もいたが、実際会ってみると意気投合。お互いを高く認め合い、尊敬することで素晴らしい製品が開発できたという。時勢を鑑みてビデオ出演したDITA社代表Danny氏からも、両社が相互に高くリスペクトしあっていることが伺えた。
発表会では試聴の機会も。筆者私物のウォークマン「ZX507」アンバランスで聴いたところでは、音量も取りやすく、プレイヤーを選ばず扱いやすそうな印象。AWESOMEプラグのアタッチメントを交換し、4.4mmバランスで聴いてみると印象が変わり、より明瞭で元気なサウンドに。必要十分な低音に、心地よい中高域が組み合わさっているように感じた。