俳優の長谷川博己が主演を務めるNHK大河ドラマ『麒麟がくる』(毎週日曜20:00~)。13日に放送された第36回「訣別」では、光秀(長谷川博己)と将軍・義昭(滝藤賢一)が決裂。義昭の信長(染谷将太)への憎悪に、光秀は挫折感を味わい、そして、「将軍か信長か」という過酷な選択を迫られ涙を見せた。
演出を担当した一色隆司氏は「第36回は、光秀目線で話が進む回。その中でも最大のポイントが、クライマックスとなる将軍義昭との決裂のシーンです。前回の駒との話の中で義昭の葛藤と闇が描かれていましたが、今回は、そんな義昭の変化を光秀が義昭との殺陣のシーンで感じ、そして、ラストで決裂となるわけです」と解説する。
これまでにもさまざまな生き物が登場している本作だが、今回は白鳥が登場。一色氏は「白鳥を和解のシンボルとして運び入れたものの、それを拒絶する義昭の信長に対する憎悪に、自分を信じて進んできた光秀は最大の挫折感を味わいます」と、白鳥の意味、そして、義昭と光秀の心情について語った。
その後、「将軍か信長か」という過酷な選択まで迫られ、涙した光秀。一色氏は「台本にある光秀の落涙をどの様に表現するのか、長谷川さんといろいろと話をしましたが、長谷川さんは渾身の演技でそれに応えてくれました。そして、その芝居を受けて、滝藤さんも谷原さんも素晴らしいリアクションとそれぞれの思いを作り上げて下さいました」と俳優陣の演技を称賛した。
撮影の中でのポイントは、「信長との敵対感を持つ義昭と三淵は、光秀のことをどう見るのか、義昭に盲目的について行くと答えられない光秀に対して何を思うのか」だったという。「台詞では、この回のモチーフとなる『鳥』というキーワードを使って、光秀への思いが語られていきますが、その一方で、滝藤さんとは、信長に対する憎悪が光秀に対する思いに影響するレベルなどを現場で議論しながら、このシーンを作り上げていきました」と明かす。
さらに、「光秀が去った後の義昭には、単に光秀へのシンパシーだけではなく、決意した信長との戦への思いも盛り込んで、戦国時代の過酷さを表現していただくことを意識しました」と説明。「涙で表現された光秀の心の叫びが、どのように本能寺に続く終わりの始まりへの暗示となっていくのか」。それぞれの考えや立場が見えた回となった。
義昭役の滝藤も、光秀との決別のシーンは印象深いシーンになったという。「長谷川さんの魂の叫びが聞こえて、俳優同士しか分からない時間が生まれたように感じました。光秀を感じているだけで感情があふれ出てくるし、何もかも受け入れられる、そういった瞬間を経験することができました」と振り返り、「互いの道がはっきりとした決定的なシーンでもあるので、最高の別れをしたという顔になっていたらいいなと思いますね」と語った。
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