中国に帰国することが決定している神戸市立王子動物園のパンダ・タンタンと飼育員の絆を描くドキュメンタリー番組『ごろごろパンダ日記 ~タンタンと飼育員の日々~』が、NHK BSプレミアムで12日(21:00~22:29)に放送される。

  • タンタン

「この子を帰す檻が動物園を出ちゃうと、もう帰ってこないですからね。…もう帰ってこないですからね」そう、言葉を詰まらせ大粒の涙を流すのは長年、神戸市立王子動物園でタンタンを飼育してきた梅元良次さん。

阪神・淡路大震災復興のシンボルとして20年前に来日し、大勢の市民から“神戸のお嬢様”と愛されてきたタンタンがまもなく中国に帰国することになった。新型コロナの影響で休止している四川省行きの飛行機が再開すればすぐにでも神戸を去ることになる。

「悔しい。最期まで看取ってやりたかった・・・」

来日8年目でようやく誕生した赤ちゃんを生後4日目で亡くし、直後にはパートナーのコウコウも亡くしたタンタン。ショックからか、出産シーズンになるとタケノコなど餌を赤ちゃんに見立てて抱く「偽育児」をするようになった。そんなタンタンに動物園で少しでも元気で過ごしてもらいたいと、梅元さんは自ら志願し、中国でパンダの飼育方法を一から修業。当時、まだ日本では広まっていなかった健康管理法であるハズバンダリートレーニングを身に着け、タンタンと絆を深めてきた。

番組では、バックヤードにカメラを設置し、日々の飼育やタンタンが神戸で迎えた最後の誕生日など、飼育員とタンタンに密着。さらに、20年にわたりタンタンに励まされてきたファンの思いなども丁寧に取材。人間とパンダの間で生まれた絆を描く、濃密なドキュメンタリー番組となっている。

(C)NHK