大阪府の対象店舗から先行してサービスがスタートした「PayPayテーブルオーダー」。2020年10月30日から始まったこのサービス、大阪に出張したタイミングで試してきました。
テーブルにつき、自分のスマホから料理をオーダー
飲食店のテーブルに置かれているQRコードを、PayPayアプリで読み込んで利用する「PayPayテーブルオーダー」。自分のスマホでメニューが見られるので、不特定多数の人が触れる紙のメニューがなくても注文できます。注文や決済時に飲食店の店員さんと接触しないということからも、コロナ禍のいまに合ったサービス。オーダーするには、お客さん自身が注文などの操作を行います。
この「PayPayテーブルオーダー」のミニアプリ(PayPayアプリの中にある機能の1つ)は、サービス提供エリアに入るとPayPayアプリ上に表示されます。筆者が体験したタイミングでは、大阪・ミナミ(難波周辺)の店舗でサービスを行っていたので、難波付近で気付いた時には、「テーブル注文」というミニアプリが出現していました。
「テーブル注文」のミニアプリをタップすると、QRコードの読み取り画面になります。QRコードを読み取り、テーブル番号を入れると、メニューを表示。この後はショッピングアプリのように、食べたいメニューを選んで追加していくだけ。料理の写真がキレイでわかりやすく、ついついアレもコレもと注文してしまいました。
料理が届くまでの過程や時間もわかる
料理をカゴに追加していくごとに合計金額が表示されるので、予算を大幅に上回る心配がないのが安心。そして決済を済ませると「準備中」となり、料理が届く予定時刻や現在の状況が表示されます。こういった表示の仕方は、デリバリーサービスを頼んだ時に表示されるものに似ています。
そして全部の料理が届いたら、「受け取り完了」をタップ。注文時にはオレンジで、料理の準備中はブルー、全ての行程が終わるとグリーンの表示になり、色でも現在の状況がわかりやすかったです。
ユーザーには手軽、お店では負担になる面も
このようなオーダースタイルは、コード決済の先進国である中国では広く普及しているそうです。飲食店での人手不足は少子高齢化の日本だけでなく、一人っ子政策をしていた中国でも深刻な問題。このような問題をテクノロジーで解決できるのはとても良いことだと思います。
ただ実際に利用してみると、中国と日本では幾分、状況が違うように感じました。中国では「Alipay(アリペイ)」と「WeChat Pay(ウィチャットペイ)」の2大スマホ決済サービスが普及。両方のアプリを利用している人も多くいます。
でも日本では実にさまざまな決済サービスが利用されています。コード決済の中ではPayPayのシェアが約55%(2020年1月時点、利用金額ベース)を占めているとはいえ、飲食店のテーブルにメニューを置かず、「PayPayテーブルオーダー」のQRコードのみというスタイルは、今の段階では考えにくいでしょう。
また店舗側にとっても、アプリに料理を登録することを考えると、変動の少ないグランドメニューは掲載できるものの、場合によってはその日のおすすめメニューまでは、登録しづらいのではないかとも思いました。筆者が利用した時にはサービス開始当初だったということもあり、その日のおすすめのような黒板メニューまでは登録されておらず、アプリのメニューは(実際に置かれていたメニューと比べ)やや品数が少なかったように思います。これらは店側でタブレットやスマホを使い登録しているそうですが、操作方法はPayPayの営業担当の人がレクチャーしているとのこと。
これと同様の「テーブルオーダー」サービスは、ドコモの「d払い」でも2020年11月下旬以降、随時、提供を開始することを発表しています。今後、徐々に普及していくであろうサービスではありますが、飲食店で自分のスマホで注文と決済を行うというスタイルが一般的に馴染むまでには、もう少し時間がかかりそうな印象です。
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