冷蔵庫は、常に稼働したままの家電です。いくら電気代を節約しようと思っても、冷蔵庫の電源を落とすことはほとんどないでしょう。しかし、いつでも当たり前に使っている物だからこそ、電気代の節約を意識することは大切です。
ここでは、冷蔵庫の電気代に影響する消費電力の見方や電気代の節約術のほか、おすすめの冷蔵庫の選び方をご紹介します。
冷蔵庫の消費電力とは?
まずは、冷蔵庫の電気代を知るために、家電を動かすときに必要な電気の量を指す、消費電力について見ていきましょう。冷蔵庫は、消費者が購入の際に適切な情報を得られるよう、家庭用品品質表示法にもとづき、消費電力の表示義務があります(※1)。
家電の消費電力の書き方には、「消費電力」「定格消費電力」「年間消費電力」といった3つの種類があります。
消費電力は、強弱を切り替えられるような、電気の消費量が一定でない家電に使われる表示で、◯~◯W(ワット)と幅を持たせて表示してあるのが一般的です。
定格消費電力は、その家電を使った場合に安全に出力できる最大の電力量のことです。実際に家電を使った場合の消費電力は、安全に使える定格消費電力を超えないように、定格消費電力のおよそ90% になるように設定されています。
そして、年間消費電力は、家電を1年間使用した際にかかる消費電力量のことです。年間消費電力が表示される家電は、1年を通して、電気の消費電力量が季節などによって変わる物です。 例えば、冷蔵庫の場合、夏場と冬場の外気の温度差によって、庫内を冷やす消費電力量が異なるため、冷蔵庫には年間消費電力が記載されています。
まずは、電気代のポイントになる、冷蔵庫の年間消費電力量について見ていきましょう。
一般的な冷蔵庫の消費電力
まずは、省エネ性能が高くない一般的な冷蔵庫で、容量別にいくつかピックアップして、年間消費電力量を見ていきましょう。
<一般的な冷蔵庫の年間消費電力量>
- 140L以下 : 370kWh前後
- 141~200L : 330kWh前後
- 201~300L : 400kWh弱
- 301~350L : 420kWh前後
- 351~400L : 420kWh前後
- 401~450L : 330kWh前後
参考 :
経済産業省・資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ 電子版」(2020年10月)」
上記を見ると、必ずしも容量が小さい冷蔵庫の年間消費電力量が、少ないとはいえないことがわかります。
参考までに、年間消費電力量が400kWhの冷蔵庫の場合、電気代の単価を1kWhあたり27円とすると、年間の電気代の目安は400kWh×27円=1万800円になります(※)。1カ月あたりにすると約900円、1日あたり約30円ですから、それほど電気代が高いというわけではないでしょう。
※年間電気代目安=年間消費電力×契約している1kWhあたりの電力量単価
省エネ性能のある冷蔵庫の消費電力
続いては、省エネ性能の高い冷蔵庫も容量別にピックアップして、年間消費電力量を見ていきましょう。
<省エネ性能のある冷蔵庫の年間消費電力量>
- 140L以下 : 300kWh前後
- 141~200L : 300kWh前後
- 201~300L : 300kWh前後
- 301~350L : 350kWh前後
- 351~400L : 350kWh前後
- 401~450L : 270kWh前後
参考 :
経済産業省・資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ 電子版」(2020年10月)」
省エネ性能の高い冷蔵庫は、すべての容量において、一般の冷蔵庫よりも年間消費電力量が約16~18% 少ないことがわかります。参考までに、省エネ性能の高い冷蔵庫の年間の電気代は、年間消費電力量が300kWh、電気代の単価を1kWhあたり27円とすると、300kWh×27円=8,100円です。一般的な冷蔵庫よりも年間で約2,700円分お得になります。
このように、消費電力は電気代に直結するものですので、電気代を抑えるには大事なポイントといえるでしょう。
冷蔵庫の消費電力が年々減っている?
冷蔵庫に限らず、多くの家電の消費電力量は年々減少傾向にあります。
経済産業省・資源エネルギー庁のウェブサイト(※2)によると、401~450Lの冷蔵庫の場合、2007年時点では、1年間に実際に使用した場合の電力量を試算した期間消費電力量は、570~670kWh/年でした。これが、2017年の最新機種の場合、期間消費電力量は290~320kWh/年になり、約10年で半減しています。
消費電力量が減ると、それだけ電気代は節約できます。古い冷蔵庫を使っている場合は、省エネ性能が高い冷蔵庫に買い替えをすることで電気代を節約できるといえるでしょう。
簡単にできる冷蔵庫の節約術は?
いくら電気代を節約したくても、冷蔵庫のコンセントを抜くわけにはいきません。冷蔵庫の電気代を節約したいときは、使い方を工夫するように心掛けましょう。
続いては、簡単にできる冷蔵庫の節約術をご紹介します。
冷蔵庫内に物を詰め込みすぎない
冷蔵庫内にたくさんの物を詰め込むと、冷気がうまく循環しなくなってしまいます。すると、効率良く内部を冷やせなくなり、余計に電力が消費されます。 冷蔵庫内の物を減らして、冷気の通り道を作ってあげれば、効率良く庫内が冷えて、消費電力量も抑えられます。
冷蔵庫内の物を減らしておけば、冷蔵庫内の探し物の時間を減らすこともできるでしょう。冷蔵庫の扉を開けたままにしていると、どんどん冷気が外へ逃げてしまいます。素早く冷蔵庫内の物を見つけられるようにしておくという点でも、冷蔵庫に物を詰め込みすぎないことは大切です。
ただし、冷凍庫は、物を詰め込んだほうが効率良く冷たさをキープすることができます。冷蔵庫と冷凍庫では、節約術が違いますので注意しましょう。
冷蔵庫内の温度を弱設定にする
多くの冷蔵庫は、設定温度が調整できるようになっています。設定温度を弱設定にする(庫内の温度を高めにする)ことでも、電気代の節約をすることができます。 特に冬場は外気が低いため、それほど強い出力で冷やす必要はないでしょう。
温かい物は冷ましてから入れる
冷蔵庫に温かい物を入れると、庫内の温度が上がってしまいます。上がった温度を下げるためには、多くの電力を消費します。
そもそも、要冷蔵の物ばかりが入っている冷蔵庫の中を温かくしてしまうというのは好ましくありません。温かい料理は冷ましてから冷蔵庫に入れるようにしましょう。
冷蔵庫の冷気吹き出し口をふさがない
冷蔵庫の中には、冷気を庫内に送り込む吹き出し口があります。
背の高い物や大きな鍋などで吹き出し口をふさいでしまうと、冷蔵庫の中を十分に冷やすことができなくなってしまいます。冷蔵庫に物を入れるときは、吹き出し口をふさがないよう、配置に気をつけましょう。
おすすめの冷蔵庫の選び方
冷蔵庫を買い替えるときは、価格やデザインのほかにも重視したいポイントがあります。頻繁に買い替える物ではないからこそ、慎重に選ぶことが大切です。 最後に、冷蔵庫を選ぶ際のポイントをご紹介しましょう。
冷蔵庫の消費電力量で選ぶ
家庭用品品質表示法にもとづき、冷蔵庫には消費電力が表示されています(※3)。消費電力量の少ない冷蔵庫を選べば、それだけで電気代を節約することができるでしょう。
消費電力量をいちいち見比べるのは面倒という場合は、「統一省エネラベル」を参考にするのがおすすめです。 統一省エネラベルは、家電の省エネ性能を5段階の星マークで表示しており、省エネ家電についています。星マークの数が多い製品ほど、消費電力は少なくなります。
なお、前述した省エネ性能が高い冷蔵庫の年間消費電力量は、星マーク5つがついた製品を参考にしています。
冷蔵庫の容量や重さで選ぶ
冷蔵庫は、ファミリータイプの大きい物から一人暮らし用の小さい物まで、さまざまな容量があります。ライフスタイルによって適したサイズは違いますが、目安として、自炊派の一人暮らしなら200L程度、2人暮らしなら400L程度、子供のいるファミリー世帯では400~500L程度がおすすめです。
冷蔵庫は容量が大きくなるほど重くなります。もし、一人暮らしで、自力で引っ越しをする可能性がある場合は、100~150L程度の冷蔵庫(重さ30kg前後)を選ぶといいかもしれません。
冷蔵庫の特徴や機能といった付加価値で選ぶ
食材の鮮度を保つ冷凍方法や野菜室が充実しているなど、冷蔵庫にはそれぞれの特徴があります。
扉の開け方ひとつとっても、片開きの物や観音開きの物といった違いがありますから、自分にとって使い勝手のいい冷蔵庫を選びましょう。
冷蔵庫の電気代を安く抑えるなら、省エネ家電がおすすめ
冷蔵庫の電気代を抑えたいなら、省エネ性能の高い冷蔵庫に買い替えることが効果的です。とはいえ、冷蔵庫は高価な家電ですから、頻繁に買い替えるわけにはいきません。まだ買い替えには早いというときは、冷蔵庫内の設定温度や日々の使い方などを工夫して、節電を心掛けましょう。
あわせて読みたい : 「冷蔵庫の電気代は毎月いくら? 計算方法を紹介」
参照 :
(※1)消費者庁「家庭用品品質表示法」
(※2)経済産業省・資源エネルギー庁「家庭向け省エネ関連情報」
(※3)消費者庁「電気冷蔵庫」「電気機械器具一覧表」