レノボ・ジャパンは、全国の20~60代の会社員(男女13,158人)を対象に、現在のテレワーカーの働き方とPCの使用環境の変化について調査を行い、その結果を発表した。

ふだんの業務でパソコン(ノートパソコン、デスクトップパソコン、タブレットなどを含む)を使用している全国の会社員を対象に、新型コロナ流行前(2020年2月以前)と緊急事態宣言発令から約半年が経過した2020年10月を比較。勤務環境の変化、ならびにテレワーク環境下で求められるノートパソコンの機能などについて調べた。

新型コロナ流行後、テレワーク実施者数は2.6倍に増加

  • 1カ月あたりのテレワーク実施状況

    1カ月あたりのテレワーク実施状況

1カ月あたりのテレワーク実施状況では、新型コロナ流行前のテレワーク実施率(月1回以上)は16%。それに対し、新型コロナウイルスの感染拡大がはじまった2020年3月~10月のテレワーク実施率は42%と、大きく上昇。テレワークを行う人数で換算すると、その差は2.6倍となった。

テレワークの頻度は、「週1回程度(7%)」、「週2~3回程度(14%)」、「週4~5回以上(13%)」で、3割以上がテレワークを週1回以上実施していた。加えて、35%の人が「新型コロナ収束後もテレワークを実施するであろう(月1回以上)」と回答しており、テレワークが定着している様子がうかがえる。

  • オンライン会議の実施状況

    オンライン会議の実施状況

コロナ禍では、会社での「オンライン会議」も同様に拡大。新型コロナ流行前にオンライン会議を実施していたのは回答者のうち17%だったが、コロナ禍以降では41%と24ポイント上昇し、オンライン会議をしている人数換算では2.4倍の増加となった。

  • テレワーク実施者に「実際に会わないオンライン会議で問題ないか」「通勤は当たり前と思うか」と尋ねた結果

    テレワーク実施者に「実際に会わないオンライン会議で問題ないか」「通勤は当たり前と思うか」と尋ねた結果

また、コロナ禍でテレワークを実施した人に意識の変化について聞くと、8割以上が「実際に会わなくてもオンライン会議で問題ないと思うようになった(81%)」、「通勤が当たり前ではないと思うようになった(83%)」と回答。これらの結果から、当初は「ニューノーマル」と呼ばれたテレワークやオンライン会議などの働き方に対する意識に変化があり、定着してきていることがわかった。

テレワークやオンライン会議への設備投資、企業規模が大きいほど熱心

今回の調査対象には、スクリーニングによって導き出された経営者・役員が含まれている(500名)。その経営者・役員に対しても、今後の会社の在り方として「テレワーク環境への設備投資」について聞き取りを行った。

  • 会社経営者・役員に対する「テレワーク/オンライン会議環境に対する設備投資」の意識調査

    会社経営者・役員に対する「テレワーク/オンライン会議環境に対する設備投資」の意識調査

従業員が300名以上の会社では「(テレワークへの設備投資が)重要になる」との回答が49%だった一方、従業員が300名未満の会社では、「重要になる」という回答は、それより25ポイント低い24%だった。「オンライン会議環境への投資」ではさらに差がみられ、従業員が300名以上の会社では「重要になる」と回答した経営者・役員の割合は54%だったが、従業員が300名未満の会社ではそこから32ポイント減少し、22%となった。

在宅勤務の作業環境は「書斎などの執務室」が最多

テレワーク実施者が、在宅勤務を行うときの作業環境についても調査。場所は「書斎などの執務室(44%)」が最も多く、「ダイニングテーブル(33%)」、「リビングの椅子やソファ(29%)」が続いた。

仕事をする場所は年代によって異なり、年代が高いほど「書斎などの執務室」など、作業環境が比較的整った場所で勤務している割合が高くなった。20~30代は「ダイニングテーブル」が高い傾向が見られた。

  • 自宅でテレワークを実施する場所(左:全体、右、年代別)

    自宅でテレワークを実施する場所(左:全体、右、年代別)

業務用パソコンに求める条件、テレワークの普及で多様化

テレワークにおいて業務で利用するノートパソコンの「重視する条件」は、具体的な仕様では、「処理速度」、「必要なポートがあること」、「バッテリー駆動時間」、「堅牢性(丈夫さ)」、「画面の大きさ」、「パソコンの軽さ」などが上位となった。特に、「パソコンの軽さ」を重要ととらえる人の割合は、テレワークをしていない人と比べたとき、テレワーク実施者の方が26ポイント多くなっている。

  • ノートパソコンで重視する条件

    ノートパソコンで重視する条件

テレワーカーは、オンライン会議ツールなどのタスクを行うための高い処理速度、外出先での作業に必要なバッテリー駆動時間、堅牢性やパソコンの軽さ・薄さといった「モバイル性」を重視しているが、それと同時に必要なポートの搭載、画面の大きさといった「自宅での快適なデスク作業」に必要な性能も求めており、それらは相反する要素であることは否めない。新型コロナの影響によって多様化する働き方に対し、ひとつの業務用パソコンで異なるニーズに対応することの難しさが浮き彫りになった。

この調査では、テレワーク実施者がコロナ禍で増加してオンライン会議が広まったこと、そして企業規模によってテレワーク環境への投資意識が異なることや、作業環境の整備状況が年代によって異なると明らかになった。

業務内容によって、テレワーカーが使用するパソコンのニーズも多様化している。レノボ・ジャパンは、イギリスのウォーリック大学が2014年に公開した論文で、従業員の満足度が会社の生産性に相関性があるという結果が出ていることを例に出し、「社員に貸与する業務パソコンが社員の満足度、ひいては会社の生産性の鍵となると考えられる」と締めくくった。

調査概要

  • 調査地域:全国
  • 調査対象:20~60代の会社員(団体含む)男女13,158名(スクリーニングによって導き出した経営者・役員 500名含む)
  • 調査時期:2020年10月3日~10月5日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査機関:クロス・マーケティング
  • 調査企画:レノボ・ジャパン