米YouTubeは12月8日(現地時間)、YouTubeのライブストリーミングでHDR (ハイダイナミックレンジ)のサポートを開始した。メジャーなプラットフォームで初のライブHDRサポートとアピールしている。
HDRは、通常のSDR(スタンダードダイナミックレンジ)よりも広い明るさの幅を表現できる。SDR映像では黒つぶれしてしまう日陰や強い光で白飛びするような部分でもディテールや色を写しとる描写を可能にする。YouTubeは2016年11月に、アップロード配信でHDRのサポートを開始。また同じ時期に4Kライブ配信を可能にした。映像産業からは4K/8K以上にHDRのインパクトに大きな期待を寄せる声が聞こえてくる。例えば、TVBEuropeが映像専門家などを対象に「State of Play: 8K/UHD/HDR」(2019年7月) で行ったアンケート調査では、「4K/8KとHDRのどちらがより重要な技術か?」という質問で66.7%が「HDR」を選択した。
YouTubeライブHDRの配信は、ハードウェアエンコーダではHLS出力を用いて、動画コーデックをHEVC、10bitのビット深度、BT.2020の色域といったHDR設定で行う。ソフトウェアエンコーダについては、互換製品としてMirillis Action! (バージョン4.12.2以降)を挙げており、NVIDIA GeForce GTX 10シリーズ以降、AMD Radeon RX 5700以降、Intelの第10世代Core以降をグラフィックスの要件としている。
YouTubeライブHDRの視聴に対応するデバイスと環境では、ライブ配信が自動的にHDR配信になり、また視聴者のYouTubeの画質設定メニューに「HDR」が現れる。視聴の対応環境は以下の通り。
- HDRディスプレイを搭載したAndroidデバイス
- HDR表示を有効にしているHDRディスプレイ搭載のWindows PCおよびMac
- HDRテレビのYouTubeアプリ
- HDRテレビに接続されたChromecast Ultraデバイスへのキャスト
YouTubeは、対応エンコーダーやモバイルデバイスの追加、クリエイターがHDRをストリーミングするオプションの拡大など、HDRライブストリーミングをYouTubeに浸透させるための改良を継続していくとしている。