PCやスマホのディスプレイ上で文章を読む場合、従来の紙のような制約なしに、さまざまな読み方を好みに合わせて選ぶことができる。縦横表示の切り替えや、フォントサイズの変更などはまだ序の口で、紙とは似ても似つかぬデジタルならではの表現方法の数々は、さまざまな気づきと驚きをもたらしてくれることもしばしばだ。
今回は、文章の新しい読み方について技術的な検証を行っているサイトから、ユニークな読み方を提案するインパクト重視のネタサイトまで、デジタルならではのさまざまな読み方を体験できる5つのサービスを紹介する。
階段状のレイアウトで読む速度が最大2倍に「読書アシスト」
「読書アシスト」は、独自の文章表示アルゴリズムを用い、読書中の目線の動きをスムーズに誘導し、読むスピードを最大2倍に向上させる文字レイアウト変換技術のデモサイト。文節ごとにベースラインが下がっているほか、改行のたびに行頭が1字ずつ下がるという外観は非常に特徴的。サンプルとして青空文庫から抜粋した作品が複数登録されている。
前後の行がなく読んでいる箇所に集中しやすい「一行文庫」
「一行文庫」は、縦スクロールを用い、小説全文を一行で読むことが可能な新感覚のサイト。左右の行を隠して読む読書補助具に着想を得て設計されており、読んでいる箇所に集中しやすいのが特徴。PCでも利用可能だが、縦スクロールゆえスマホとの相性が良い。サンプルとして青空文庫を出典とする作品のほか、ショートショート、オリジナル作品も登録されている。
慣れ親しんだあのインターフェイスを採用「文豪メッセンジャー」
「文豪メッセンジャー」は、「文豪とメッセンジャー友達だったら小説読むのが捗るんじゃないか」という着想で制作された、小説をLINEの会話風に読めるサイト。LINEを思わせる画面に文豪が「入室」し、作品を細切れに表示してくれる。カギ括弧がついたパートのみ、LINEの会話風に吹き出しで表示されるのがユニーク。青空文庫の作品URLを入力することで全作品に対応。
メールでスキマ時間に読むという選択肢「ブンゴウメール」
「ブンゴウメール」は、青空文庫の作品を300~400字ごとに小分けにして毎日メールで配信し、毎月1冊の本を読了することを目指す読書サポートサービス。文豪の名前でメールが届くのもユニークだ。現時点ではおまかせで毎月1冊が無料で読めるベータ版が提供されており、任意の作品は選択できない(画像は実際のメールではなくバックナンバーのブログより)。
読書よりも動体視力の鍛錬に効く? 「速読ウェブサービス」
「速読ウェブサービス」は、MARQEEタグを使い、小説を右から左へと猛スピードでスクロールさせながら読むサイト。速度調整および開始/停止のボタンはなく、ただテキストを目で追うだけだが、慣れてくるとそれなりに読めるのが面白い。読書を楽しむのとは程遠いが、動体視力を鍛えるのには役立つかもしれない。登録されているのはサンプル1作品の冒頭のみなのがやや残念。