ビジネスシーンでの親睦会というと飲み会が中心ですが、コロナウイルスの影響が気になる昨今では、実施しにくいものです。反面テレワークも導入されて、ビジネス上のコミュニケーションの機会が減っています。職場の親睦の機会をどのように持とうか頭を悩ませている人も多いのではないでしょうか。

そこでおすすめしたいのがボードゲームです。ゲームというと、子供が遊ぶものという印象が強いですが、ボードゲームは欧米ではビジネスシーンでも楽しまれています。今回ご紹介するのも、いずれも欧米で大人気のゲームばかりです。遊び方はとてもシンプルで、仕事が終わった後などに1時間ほどで楽しむことができます。そんなゲームを5つ紹介します。

  • ボードゲームはビジネスシーンにも効果あり!

    さまざまな要素が複雑にからんだボードゲームは大人の遊びにふさわしい

ボードゲームはビジネスシーンにも効果あり

近年ではボードゲームがコミュニケーションツールとして、さまざまなコミュニティで楽しまれています。日本でもボードゲームカフェなどで遊ぶ人も増えつつあるようです。そんなボードゲームを仕事終わりに、親睦やコミュニケーションを深めるために取り入れてはどうでしょうか。

ボードゲームを取り入れることで、以下のようなメリットを得られます。

  1. チームメンバーとコミュニケーションが深まる
  2. 自分自身の強みと弱みを知ることができる
  3. 「good loser(潔い敗者)」となることを学べる

この3点についてくわしく見ていきましょう。

チームメンバーとコミュニケーションが深まる

ボードゲームの枠の中だと、ふだん自分から他人に話しかけにくい人でも、抵抗なく話せます。共通の目的があるため、ジェネレーションギャップをあまり感じることなく、さまざまな年代の人と楽しめます。また、同じボードゲームでも初心者向け、上級者向けの遊び方があり、なかなか飽きません。

自分自身の強みと弱みを知ることができる

ボードゲームで見せるプレイスタイルは、意外なくらいプレイヤーの日常生活を反映しています。ボードゲームはある意味で自分自身の姿を

見せる鏡になることがあります。ボードゲームを通じて自分では気づかずにいた自身の強みと弱みを見ることができるでしょう。同様に、チームメンバーのこれまで気づかなかった面を知る機会も得られます。

「good loser(潔い敗者)」となることを学べる

「good loser」とは自分の負けを潔く受け入れ、勝者に敬意を払う人のことを指します。ゲームに夢中になればなるほど、負けると悔しさも増してきます。しかし、自分の負けを素直に受け入れ、勝者に「おめでとう。あのプレイは見事だった」と伝えることは、自身の成長につながります。仕事をする上で、自分の失敗を受け入れられなかったり、他人の成功をねたんだりする気持ちと折り合いをつけないといけないシーンが多々あります。そのような機会をボードゲームを通じて得られるのです。

  • ボードゲームはビジネスシーンにも効果あり!

    ボードゲームの醍醐味は心理戦とコミュニケーションにあり?

おすすめボードゲーム

では実際、ビジネスシーンに活用できそうなボードゲームにはどのようなものがあるのでしょうか。以下にゲームの概要、ゲームを通して得られるもの、特徴の3点をゲームごとにまとめました。興味を引かれたものがあれば、ぜひ実際に楽しんでください。

(1)パンデミック:新たなる試練

仲間と協力してワクチンを開発し、人類全体をパンデミックから救うゲームです。アメリカのゲームデザイナーであるマット・リーコックが、2003年のSARSの流行時にこのゲームの着想を得て制作しました。

概要

ルール:プレイヤーは「科学者」「衛生兵」「通信司令員」の役職をそれぞれ受け持ちます。その役職ならではの特殊能力を生かし、ウイルスの拡散を防ぎながら、4種類のウイルスの治療薬を作るというゲームです。

難易度:参加者の習熟度に応じて調整可能
プレイ人数::2~4人
プレイ時間:約45分

ゲームを通じて得られるもの

・思考力、説明能力、相手に合わせる力、臨機応変に対応する能力

「パンデミック:新たなる試練 」はルール上、他者と協力し合わなければクリア不可能なゲームです。プレイヤー同士で話し合って、ウイルスを倒すための戦略を練らなければいけません。協力を求めるために自分の状況を伝える説明能力、今、自分がどうするか、あるいは他人のために何ができるかを思考する能力、臨機応変に対応する能力などを向上させることができます。

特徴

ゲームではほとんどの場合、勝者と敗者が生まれます。ゲームを通じて不愉快な思いをすることも皆無ではありません。しかし「パンデミック:新たなる試練」で戦う相手は人間ではなくウイルスなので、「どうすれば全員が勝利することができるか」を全員で考え合わせて決めていきます。ゲームオーバーは全員の敗北を意味するため、勝利の喜びも敗北の悔しさも全員の共有が可能です。

(2)私の世界の見方

空欄に当てはまる言葉をカードを使って埋めていくゲームです。言葉遊びやだじゃれが好きな人は夢中になるはずです。

概要

ルール:単語カードを1人12枚ずつ配ります。「親(最初のプレイヤー)」が「お題カード」を1枚引いて読み上げます。その他の「子」にあたるプレイヤーは、お題カードの空欄に合うと思う単語を、自分の手札の中から選びます。親は子が選んだ複数の単語カードの中から最も気に入ったものを決定。その単語カードを出していたプレイヤーが得点を獲得するというルールです。

難易度:簡単
プレイ人数:2~9人
プレイ時間:30分(短縮することも可能)

ゲームを通じて得られるもの

・コミュニケーション能力、話を聞く力、推理力

「私の世界の見方」では、親が読み上げた単語カードの内容を聞いて、その内容を要約・推理することで的確な答えを出すスキルが求められます。日常でも必要なスキルを、ゲームで楽しみながら培うことができます。

特徴

ゲーム自体は難易度が低いため、すぐにルールやゲームでの最適解を出すコツはつかめます。それよりもむしろ不正解の言葉を選んで怪しい文章を作り、周囲を笑わせる楽しみがあります。

(3)インサイダーゲーム

会話しながら推理を楽しむゲームで、有名な「人狼」が好きな人なら夢中になるはずです。

概要

ルール:数人の「庶民」と1人の「インサイダー」、同じく1人の「ゲームマスター」に分かれます。ゲームマスターに質問をしていき、制限時間内にお題を当てるゲームです。「インサイダー」はお題を知っており、ミスリードを誘うような質問をして、バレないように質問の流れを誘導します。無事に正解が出たら、今度はインサイダーを当てるフェーズに入ります。

難易度:標準的
プレイ人数:4~8人
プレイ時間:15分

ゲームを通じて得られるもの

・洞察力、観察力、推理力

ゲームマスターが述べるヒントから共通点を把握する洞察力や、誰がインサイダーか見抜く観察力、同時に話をまとめる力などが必要になります。インサイダーになれば、どうすれば他のプレイヤーがミスリードをするか考え、相手の先を読む力を鍛えることができます。

庶民とインサイダー、どちらの役をやっても、他者のことを考えねばうまくプレイできないゲームなので、ゲーム以外でも他者のことを考えながら動くスキルの向上に役立ちます。

特徴

人狼ゲームと同様のゲームですが、嘘をついたり、だましたりする要素がないため、後に嫌な感情を残さず楽しめます。インサイダーも嘘はつきません。あくまで、紛らわしいヒントを出させて、ミスリードを誘うだけです。

(4)カタン

「現代のボードゲームブームを作った」と言われている1995年に作られたドイツ発祥のボードゲームです。

  • おすすめゲームベスト5

    カタンのプレー風景

概要

ルール:サイコロを振って、無人島で資源を手に入れながら、土地を開拓していくゲームです。基本的には対戦相手との開拓競争ですが、必要に応じて相手との資源の交換も必要になってきます。

難易度:普通
プレイ人数:3~6人まで
プレイ時間:40~80分

ゲームを通じて得られるもの

・コミュニケーション力、創造性、協調性

このゲームは毎回マップが変わるので、確固とした必勝法がほぼありません。毎回イチからゲームを組み立てていく創造性が問われます。競争形式のゲームではありますが、開拓していくうえでは資源を共有することになっています。プレイヤー同士、交渉をしながらwin-winの解決を探る場面も出てきます。戦略的な思考とコミュニケーション能力、交渉力も必要になってきます。

特徴

「習うより慣れろ」が特徴のゲームなので、まずやってみることが重要です。ひとたびゲームのコツがつかめれば、交渉力がカギを握ります。他者を説得するのが苦手な人でも、ゲームで楽しみながら、交渉力が自然にアップします。

(5)お邪魔者

金塊を目指しながら坑道をつなげていくゲームです。

  • おすすめゲームベスト5

    お邪魔者のプレー風景

概要

ルール:「金鉱掘」と「お邪魔者」に分かれて、金までたどり着けるか、食い止められるかを競います。金までたどり着ければ、金鉱堀チームの勝ち。山札、手札が尽きても、金までたどり着けなかったらお邪魔者の勝ちです。勝者で金のカードを分配します。これを3ラウンドやって、一番金カードをたくさん持っている人の勝利です。1回のゲームが10分程度と短いので、ワークショップのアイスブレイクなどにも使えます。

難易度:比較的簡単
プレイ人数:3~10人
プレイ時間:10分~15分

ゲームを通じて得られるもの

・推理力、コミュニケーション力、判断力

「お邪魔者」を探り当て、「金鉱掘」と協力するために、コミュニケーション力が問われます。また、採掘には「お邪魔者」により、アクシデントが起こることがあるため、それまで積み上げていた算段がうまく行かなくなった際のとっさの判断力も必要とされます。ビジネスシーンでも重要な能力を、ゲームで楽しみながら練り上げていきましょう。

特徴

口下手な人や人と話すのが苦手な人、人見知りの人でも、「素の自分」ではなく役柄を演じると思えばずいぶん気楽にコミュニケーションを取ることができます。「お邪魔者」を探したり、人と協力したりと、ゲームの中でのコミュニケーションを楽しむうちに、話下手な自分に悩むこともなく、楽しく会話を進めているでしょう。

ボードゲームを通じてコミュニケーションを深めよう

ボードゲームの魅力は、なんといっても「人」と行うゲームであるということです。協力したり、交渉したり、対戦したりがすべてプレイヤー同士のコミュニケーションを通じて行われます。

ゲームというと「子供が遊ぶもの」と考えがちですが、ボードゲームは大人こそプレイしてほしいものです。ビジネスシーンの合間にチームのメンバーとプレイすることを通して、コミュニケーション力を鍛え、ビジネスに役立ててください。