両者リーグ成績は5勝1敗。渡辺明王将への挑戦権はどちらの手に!?
第70期王将戦挑戦者決定リーグ(主催:スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社)のプレーオフ、▲豊島将之竜王-△永瀬拓矢王座戦が11月30日に東京・将棋会館で行われています。5勝1敗で並んだ両者が、渡辺明王将への挑戦権を懸けて対決する本局の戦型は、永瀬王座の雁木になりました。
参加者全員がタイトル獲得経験者というハイレベルなリーグとなった今期の王将リーグ。最終成績は以下の通りとなりました。下位3人が降級となるため、順位の差で藤井聡太二冠がリーグから陥落するほどの熾烈さでした。(カッコ内数字はリーグ順位)
5勝1敗:豊島将之竜王(2)永瀬拓矢王座(5)
4勝2敗:羽生善治九段(3)
3勝3敗:広瀬章人八段(1)藤井聡太二冠(5)
1勝5敗:佐藤天彦九段(5)
0勝6敗:木村一基九段(5)
このリーグを5勝1敗という好成績で駆け抜けたのが豊島竜王と永瀬王座です。豊島竜王は永瀬王座との直接対決に敗れたものの、残りの対局をすべて勝利。永瀬王座は全勝で迎えた最終局、勝てば挑戦の一局で、広瀬八段に敗れてプレーオフとなってしまいました。
豊島竜王と永瀬王座の対戦成績は7勝7敗2持将棋の五分。そのうちの11戦が今年度のものと、対戦が急増しています。番勝負史上初の第9局まで戦った、第5期叡王戦七番勝負が対戦数が多くなった最大の要因ですが、そのほかの対戦も重要なところでのものです。
叡王戦以外の2局のうち、1局が11月17日に行われた王将リーグでの全勝対決。ここでは永瀬王座が勝利しています。しかし、22日には第41回将棋日本シリーズJTプロ公式戦の決勝という大舞台で、豊島竜王が勝利。通算3度目の棋戦優勝を果たしました。
10時に始まったプレーオフは、振り駒の結果豊島竜王が先手番となりました。両者の対戦では先手番が12勝2敗と大きく勝ち越しています。後手が勝ったのは叡王戦第4局が最後であり、そこから先手が7連勝中です。
本局は角換わりの将棋になりそうな出だしから、永瀬王座が10手目に△4四歩と突いて角道を止め、雁木に組みました。対する豊島竜王は腰掛け銀+右四間飛車の布陣で対抗します。
永瀬王座は雁木に組んだものの、玉を移動させません。9筋の端歩を伸ばして位を取り、△7三桂~△6四銀と攻めの形を構築していきます。豊島竜王の飛車が4筋にいるため、玉をその射程に入れられるのを嫌ってのものでしょう。
一方の豊島竜王は玉を7九に移動させ、守りは万全。11時40分、飛車の位置を調整した後、ついに37手目に豊島竜王が▲4五歩と永瀬陣に対する仕掛けを決行しました。
現在の将棋界は渡辺名人(棋王・王将)、豊島竜王(叡王)、藤井二冠、永瀬王座の4強と言われています。プレーオフを制し、渡辺王将との4強対決へ名乗りを上げるのは、果たしてどちらになるでしょうか。