光岡自動車は同社初のSUV「バディ」(Buddy)を発売する。11月26日から先行予約の受付が始まっており、価格は税込みで469.7万円~589.93万円。1970~80年代のアメリカンSUVをテーマとし、気取らず、自然体で、さらりと乗りこなせるSUVを目指したという。

  • 光岡自動車の「バディ」

    先行予約の受け付けが始まった光岡自動車の新型SUV「バディ」。発売は2021年6月を予定している。生産台数は2020年6~12月が50台、2021年以降は年間150台

なぜ今、初のSUVを発売するのか

バディはトヨタ自動車「RAV4」をベースとする光岡自動車初のSUVだ。自動車業界では「SUVブーム」といわれて久しいが、なぜ今まで、光岡自動車はSUVを出さなかったのか。光岡自動車で営業企画本部担当の執行役員を務める渡部稔さんは「過去に企画がなかったわけではなく、社内でも機能性や利便性の面でSUVに期待する声は多かった」としつつ、「SUVには四角く、ずんぐりむっくりしているという形の特性があるため、デザインを起こすのが意外に難しかった」と事情を説明した。また、光岡自動車としてのデザインを施すことができそうなベース車を見つけることも難しかったという。

  • 左が光岡自動車「バディ」、右がトヨタ「RAV4」

    左が「バディ」、右がベースとなった「RAV4」。2.5L、ハイブリッド、4輪駆動(E-Four)のグレードで比べると、バディの「HYBRID DX」はボディサイズが全長4,730mm、全幅1,865mm、全高1,685mm、車両総重量が2,025キロ、RAV4の「HYBRID G」は同4,600mm、1,855mm、1,685mm、1,965キロ。RAV4の価格帯は274.3万円~402.9万円だ

ではなぜ、このタイミングでSUVを発売するのか。ベースとなるSUV(RAV4)が2019年3月に北米で発売になったことも大きいが、渡部さんとしては、輸入車SUV市場では出会えないタイプのSUVを作ればユーザーに喜んでもらえるだろうし、自分としてもそういったクルマが欲しいとの思いがあったそう。渡部さんの考えはこうだ。

「特に輸入車ブランドでは、SUVをフラッグシップモデルとして登場させるところも多いですが、各社がブランドイメージを重要視しているため、ラグジュアリー一辺倒といいますか、どうしても、高級路線から逸脱できていないというのが、私のSUVに対する感想です。例えばきれいな洋服を着て、パーティー会場に行くような、とてもフォーマルな印象をSUV市場から受けていて、若干、堅苦しくて、少し疲れてしまうとも感じています。そんな中で、Tシャツにジーンズで、気取らず、自然体で、さらりと乗りこなせるSUVがあれば、皆さまにも喜んでもらえるのではないかと考えました」

  • 光岡自動車の「バディ」

    「バディ」にはガソリンエンジン搭載車とハイブリッド(HV)車があり、駆動方式は2輪駆動と4輪駆動から選べる。ボディカラーは全18色。写真は「フューリーイエロー」と「ホワイト」の2トーン、水色のクルマは「ノースカロライナブルー」と「ホワイト」の2トーンだ

「Tシャツにジーンズ」といえばアメリカン。そんな発想から、アメリカンビンテージを体現するSUVの投入を企画したのだという。輸入車SUVのトレンドに理由あっての反抗を企てる、ジェームズ・ディーンのようなSUV。バディを見ていてそんなことを思った。

  • 光岡自動車の「バディ」

    印象的な角目のヘッドライトは、上がロービーム、下がハイビームの役割を果たす。ヘッドライトの下の方にある横長の灯体がウインカーだ

10月29日にバディの先行告知を行って以来、光岡自動車には「かつて経験したこともないほどの」(渡部さん)問い合わせが入っており、HPのアクセス数も急増しているとのこと。バディは台数限定のクルマではないので、注文すれば必ず手に入れることができるはずだが、逡巡していればいるほど、納車までの時間は伸びるかもしれない。

  • 光岡自動車のSUV「バディ」
  • 光岡自動車のSUV「バディ」
  • 光岡自動車のSUV「バディ」
  • 光岡自動車のSUV「バディ」
  • 光岡自動車のSUV「バディ」
  • 光岡自動車のSUV「バディ」