光岡自動車は同社初のSUV「バディ」(Buddy)を発売する。11月26日から先行予約の受付が始まっており、価格は税込みで469.7万円~589.93万円。1970~80年代のアメリカンSUVをテーマとし、気取らず、自然体で、さらりと乗りこなせるSUVを目指したという。
なぜ今、初のSUVを発売するのか
バディはトヨタ自動車「RAV4」をベースとする光岡自動車初のSUVだ。自動車業界では「SUVブーム」といわれて久しいが、なぜ今まで、光岡自動車はSUVを出さなかったのか。光岡自動車で営業企画本部担当の執行役員を務める渡部稔さんは「過去に企画がなかったわけではなく、社内でも機能性や利便性の面でSUVに期待する声は多かった」としつつ、「SUVには四角く、ずんぐりむっくりしているという形の特性があるため、デザインを起こすのが意外に難しかった」と事情を説明した。また、光岡自動車としてのデザインを施すことができそうなベース車を見つけることも難しかったという。
ではなぜ、このタイミングでSUVを発売するのか。ベースとなるSUV(RAV4)が2019年3月に北米で発売になったことも大きいが、渡部さんとしては、輸入車SUV市場では出会えないタイプのSUVを作ればユーザーに喜んでもらえるだろうし、自分としてもそういったクルマが欲しいとの思いがあったそう。渡部さんの考えはこうだ。
「特に輸入車ブランドでは、SUVをフラッグシップモデルとして登場させるところも多いですが、各社がブランドイメージを重要視しているため、ラグジュアリー一辺倒といいますか、どうしても、高級路線から逸脱できていないというのが、私のSUVに対する感想です。例えばきれいな洋服を着て、パーティー会場に行くような、とてもフォーマルな印象をSUV市場から受けていて、若干、堅苦しくて、少し疲れてしまうとも感じています。そんな中で、Tシャツにジーンズで、気取らず、自然体で、さらりと乗りこなせるSUVがあれば、皆さまにも喜んでもらえるのではないかと考えました」
「Tシャツにジーンズ」といえばアメリカン。そんな発想から、アメリカンビンテージを体現するSUVの投入を企画したのだという。輸入車SUVのトレンドに理由あっての反抗を企てる、ジェームズ・ディーンのようなSUV。バディを見ていてそんなことを思った。
10月29日にバディの先行告知を行って以来、光岡自動車には「かつて経験したこともないほどの」(渡部さん)問い合わせが入っており、HPのアクセス数も急増しているとのこと。バディは台数限定のクルマではないので、注文すれば必ず手に入れることができるはずだが、逡巡していればいるほど、納車までの時間は伸びるかもしれない。