養生テープは、日常的にお世話になることが多いですが、その特徴については意外と知られていない物のひとつかもしれません。本記事では、養生テープとは何か、その材質や特徴、特に混同されやすいガムテープとの違いについて解説します。
養生テープとは
養生テープとは、一時的に利用し、最終的には剥がすことを前提に作られているテープの一種です。そのため、剥がした跡が残りにくいという、他のテープ類には見られない特性があります。養生の読み方は「ようじょう」です。
養生テープは素材によって特徴が異なり用途も違う点も特徴のひとつです。素材と用途の関係と、よく似たイメージの「ガムテープ」との違いについてもう少し詳しく解説します。
クロス素材は水場や塗装のマスキングに
基材にポリエチレンが用いられているクロス素材の養生テープ。網目状の加工が施されていて、水場や塗装のマスキングに使用する養生シートを貼り付けておくために使用します。
養生シートは、水場の一部を濡れないようにカバーする、あるいは塗装をする場所で塗料が別の部分に付かないようにマスキングするシートです。養生シートはある程度重みがあるため、クロス素材の養生テープはその重みを支える程度の粘着力を有しています。
あまり長期間貼り続けていると貼った跡が残ってしまうこともあるため、できる限り早く剥がすようにして使用します。どうしても貼った跡を残したくない場合は、紙素材の養生テープを使うことも検討しましょう。
紙素材は跡を残したくない場所に使う
紙素材の養生テープは、別名「マスキングテープ」とも呼ばれます。カラフルでかわいいデザインのマスキングテープを、雑貨店や100均などで見かけたこともあるのではないでしょうか。
マスキングテープはクロス素材よりも粘着力が弱いため、貼った跡を残したくない場所に使用します。粘着力が弱くDIY初心者にも手軽に扱えるため、本来の「養生」目的だけでなく、部屋の模様替えなどにも多く利用されます。
養生テープとガムテープとの違い
形状がよく似ている養生テープとガムテープですが、その性質は正反対です。ガムテープは一度貼るとはがれないような粘着力の強さが特徴であり、しっかりと固定したい場合に利用します。例えば、段ボールに荷物を積めて送付する場合は、しっかりと固定できるガムテープの使用が適切です。もし養生テープを使って段ボールの梱包をしてしまうと、途中で底が抜けて荷物が破損することもあり得ます。
クロス素材の養生テープの利用シーン
クロス素材の養生テープの利用シーンは、主に以下の4つです。
- 仮止め
- 養生シートの固定
- ガーゼの仮止めなど医療用
- 台風対策として窓ガラスの飛散防止
それぞれの使い方について順番に説明します。
仮止め
はがしやすさと適度な粘着力をあわせ持つクロス素材の養生テープは、仮止めに向いています。例えば、電源コード類をまとめておけば、必要になったときすぐに養生テープを取り除いて使える状態です。引っ越しするとき机やタンスの引き出し部を固定する場合は、動かない程度の強度で固定できます。
養生シートの固定
養生テープのスタンダードな使い方です。汚れや水分などの付着を防ぐ目的で床や壁などを覆う養生シートをしっかりと固定するには養生テープが適しています。
ただし、固定する時間が長くなる見込みのときや、塩ビや大理石など表面が傷つきやすい素材を養生する場合は注意が必要です。養生テープでも接着面に糊が残ったり傷ついたりするリスクがありますので、事前に確認をしてから本格的に使うようにしましょう。
患部の防水など医療用
養生テープは医療用にも使われます。入院患者がシャワーを浴びる際、患部を濡らさないようにビニールなどで覆い身体に仮止めするのはその一例です。緊急的な措置として、ガーゼの固定に養生テープを使う場合もありますが、肌に与える刺激が強くなるため、あくまでも一時的な使用に留めます。
台風対策として窓ガラスの飛散防止
台風対策として、窓ガラスに「米」の字状に養生テープを貼っておくと、窓ガラスの飛散防止になります。窓ガラスが室内に飛散すると非常に危険なので、ケガをするリスクを軽減するには有効です。
ただし、窓ガラスを強化するわけではない点には気を付けましょう。基本的に窓ガラスを強化する手段はなく、雨戸を閉めるなど物理的な方法で飛来物の衝撃を避けるしかありません。
紙素材の養生テープ(マスキングテープ)の利用シーン
マスキングテープの主な利用シーンは以下の5点です。
- 細かい場所や傷つきやすい素材の養生
- ガーゼの仮止め
- ラベリング
- 缶や箱などのリメイク
- 室内の模様替え
それぞれの使い方について順番に説明します。
細かい場所や傷つきやすい素材の養生
マスキングテープは、細い形状の物もあり粘着力が非常に弱く作られています。そのため、細かい場所や傷つきやすい素材の養生に最適です。クロス素材の養生テープを使うと糊が残ってしまう心配があるときの代替として使用しましょう。
ガーゼの仮止め
医療用テープには、紙素材の養生テープが多く使われています。注射や採血をした場所にあてるガーゼの仮止めとして使われているのを見たことがある人も多いでしょう。皮膚への刺激も、養生テープに比べて弱めです。
ラベリング
マスキングテープは、非常に目立つカラーリングの製品も多く、ラベリングとしても活用されています。段ボールにマスキングテープを貼って箱の中身が何か、どの部屋に運ぶかなどを書いておくのにおすすめです。色がカラフルなので、荷物の種類ごとに色分けをするといった工夫もできます。
缶や箱などのリメイク
マスキングテープは、非常に多くのデザインが見られ、眺めているだけでも楽しくなる物も少なくありません。好きなデザインのマスキングテープを使い、趣味のハンドメイド作品として、缶や箱などに貼ってデザインをリメイクする、といった使い方をして楽しむ人もいます。
室内の模様替え
はがしても跡が残らない性質と、多彩なデザインがあることを利用して、室内の模様替えに使う人も。特に賃貸物件では、勝手に壁紙を変えたりペンキを塗ったりすることはできないため、壁に跡が残らないマスキングテープなら気軽に模様替えを楽しめます。
品切れの場合にチェックしたい養生テープの販売店
養生テープはさまざまな場所で購入できます。台風の季節になると、対策用に多くの数を購入する人が増えるため、いつも販売している場所では売り切れていることもあるでしょう。いつもの場所で養生テープが見つからなかった場合に、チェックするといい購入場所を紹介します。
- ダイソーなど100均ショップ
- ホームセンター
- スーパーマーケット
- 楽天市場などECサイト
- コンビニ
- 文房具店
- 金物店
養生テープを販売している場所として思い浮かべやすい購入場所は、安価に養生テープを入手できる100均ショップや身近なホームセンター・スーパーマーケットです。これらの店舗を回って養生テープが見つからなかった場合は、ECサイトやコンビニもチェックしてみてください。
穴場としては、町の文房具店や金物店があります。商店街にこれらの店舗がある場合は、在庫がないか確認しましょう。
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養生テープは、材質や太さ、粘着力によって用途が違ってきます。基本的には、どうしても糊の跡を残したくない場所や細かい場所には紙素材の養生テープ、仮止めであってもある程度はしっかり固定したい場合はクロス素材の養生テープが適しています。
カラフルで楽しいデザインの多いマスキングテープは、DIY素材として楽しむ人も多くみられ、養生とは別の使い方ができる種類です。養生テープの基本的な使い方や楽しみ方を知って、ぜひ生活に役立ててください。