看護師として転職をする場合には、まず履歴書が必要です。資格や職務経歴はすらすら書けるのに、志望動機となると漠然として書き方がわからないという方がいるかもしれません。志望動機は、一人ひとりの人柄と熱意を志望先に伝えるための重要な項目です。また、志望動機は自分の考え方や状況、志望先に合わせて書きましょう。
本記事では看護師が志望動機を書く前に準備したいことをはじめ、志望時の状況や志望先に合わせた志望動機の例文を具体的に紹介します。
看護師の志望動機を書く前に準備したいこと
看護師の志望動機を書く際は「自身の看護観」「その病院や施設を志望する理由」「前向きな意欲」を盛り込む必要があります。
「理念に共感した」「勉強したい」などありきたりな表現だけでは人柄や志望動機がうまく伝わりづらいほか、待遇・条件の良さを挙げたりどこでもいいから就職したいという素振りが感じられたりする内容も志望動機としては不適当です。
自分の価値観や仕事選びの軸を見つめなおす
志望動機を書く際は、自分がどう思い、なぜ志望しているのかにしっかりとした筋を通さなければなりません。志望動機を書く際には、転職後に実現したい理想の姿を思い描き考えを深めましょう。
(例)
- なぜ看護師を志したか
- 転職のきっかけになったできごと
- 看護師として努力したこと
- 看護師として働くなかで楽しかったことや大変だったこと
自分自身の経験を深堀りすると、自分が希望する働き方や目標が明確になります。漠然としてしまう場合には、身の回りの人に他己分析してもらうのも一案です。
看護師として大事にしたい「自身の看護観」が明確化すると、働く際に譲れない部分や優先したい部分が導けます。
志望先の基本情報・風土を知る
自分なりの目標が見えてきた段階で、改めて病院のホームページや求人内容などを確認します。患者や地域からの口コミや実際に勤務している人の声なども参考にできます。
(例)
- 診療科目、病床数などの基本情報
- 診察に対する理念・方針
- 力を入れている領域、具体的な特徴
- 看護体制
- 看護師の教育方針
仕事選びの軸と志望先との接点を考える
志望動機は「自分の仕事に対する価値観と志望先の看護師を取り巻く環境が一致している部分」を取り上げると書きやすくなります。応募する企業や事業所を選んだ理由を明確にしてまとめましょう。
話に具体性があるほど、よく研究したうえで応募してきていると採用担当者に好印象を与えられます。募集する人材イメージに合っているかどうかの判断もしやすいです。
また、「やりたい」だけでは採用する側の納得が得られません。これまでの仕事や経験で得た知識、経験、体力、向上心、性格などを強みとして「自分の適性」をアピールしましょう。入職後に自分がどのように貢献できるかを具体的に説明して、将来の目標やキャリアビジョンを伝えると、長く働きたい気持ちが伝えられます。
志望状況別 : 看護師の志望動機の例文3選
今までの経験と応募先で働きたい理由、今後のビジョンという3つのポイントを押さえると簡潔に志望動機がまとめられます。状況別に例文を紹介します。
例文 : 一度離職してブランクがある場合
総合病院の内科で7年間勤務し、出産、育児のために離職をして5年のブランクがあります。現在は育児が落ち着いてきたため、もう一度働こうと考え始めました。
今回の求人に応募したのは、貴院に小児科が併設されていて、復職者向けの勉強会を実施していると知ったからです。育児するなかで、改めて子どもがかかりやすい病気について学べました。この経験を活かし貴院に貢献できればと思っています。
例文 : スキルアップ・キャリアアップがしたい場合
5年間内科でがん患者様の看護を担当してきました。多くの患者様と接するなかで、化学療法や緩和ケアなどがんに関わる知識や技術をもっと深めていきたいと思うようになりました。
貴院は、がん治療の専門病院として多くの症例を扱っており、がん看護の経験が積めると考えています。今後は認定看護師の資格を取得し、がん看護専門看護師としてお役に立てればと考えております。
例文 : 介護施設から病院など未経験の分野に挑戦したい
ユニット型の特養で8年勤務していました。ご高齢の方のQOLを身近で支えるやりがいのある職場ですが、入所者の介護度が高く生活機能の維持が中心だったため、予防医療が欠かせないと感じるようになりました。
貴院は特定健診・特定保健指導に力を入れておられます。ご高齢の方の看護に携わってきたからこそ、若い方が将来生活習慣病や骨粗しょう症などにならないようサポートし予防に貢献できればと考えています。
志望先別看護師の志望動機の例文7選
看護師の求人は病院やクリニックの募集が中心ですが、活動の場所はさまざまです。キャリアビジョンが明確で専門知識があるほど採用に有利となるでしょう。
例文 : 病院
長年救急指定病院で勤務し外科、整形外科、脳神経外科で経験を積んできました。急性期病院では患者様の出入りが多く、かねてより患者様とじっくり向き合った医療がしたいと考えておりました。
貴院は回復期リハビリテーション病棟があり、じっくりと患者さまとコミュニケーションをとりながら向き合える点に魅力を感じました。前職も総合病院でしたので、即戦力としてお役に立てればと考えています。
例文 : クリニック
NICUで勤務するなかで、お子様を支えるさまざまなご家族を見守ってきました。NICUを出たあとも治療が継続する患者様がいることから、地域での小児科医療に興味を抱くようになりました。
貴院は、地域の子育てを支える病院として重要な役割があると承知しています。これまでの経験を活かして、子どもたちやご家族に安心していただける看護を行っていきたいです。
例文 : 高齢者介護施設
看護師としてクリニックに勤務する一方、母のリハビリにも関わっていたことから高齢者看護に興味を持ち始めました。
特別養護老人ホームである貴施設は、24時間態勢で入所者の方を支える必要があり、それだけに看護師の責任も大きいと感じています。コミュニケーションには自信があり、ケアプランをもとに他の専門職の方と連携をとりながらすすめるなかでチームの結束が高められるよう努めていきたいです。
例文 : 訪問看護サービス
総合病院で10年勤務し、その間整形外科、呼吸器科に勤務しました。一人ひとりの患者さまへ寄り添う大切さを学ぶ一方、自宅に居ながら医療を必要としている人の多さを実感しました。
貴院では訪問看護を行っており、疾患を抱えて自分らしく生きる患者さまの生活が支えられる点に魅力を感じました。後々は専門看護師の資格を取得してさらなるキャリアアップを目指せればと考えています。
例文 : 保健所・健診センター
今まで急性期病棟へ勤務しながらさまざまな症例に携わってきました。一度病気になるとさまざまな苦労が伴うため、病気を早期発見することが非常に重要だと考えるようになりました。
そこで貴所で働きながら、地域住民の健康をサポートしたいと考えています。実際の医療現場を体験していることは、新型コロナ対応における問い合わせなどでも貢献可能だと感じています。
例文 : 保育園・幼稚園
今まで総合病院で勤務していましたが、子どもを持ったことで保育にも興味をもつようになりました。貴園では園児の健康や怪我へのサポートを重視している点に魅力を感じています。
「健康管理責任者」は園で生活するお子様に欠かせない役割です。前職で学んだ感染対策教育のプログラムや病棟での経験を活かし、安全に配慮していきたいと考えています。
例文 : 企業
メンタルクリニックに勤務するなか、通信教育で臨床心理士の資格を取得しました。うつなどメンタルの不調は早い段階での対策が欠かせませんが、クリニックを受診される方は症状が深刻なことが多く、通院期間が長くなる傾向があります。
貴社は事業所内に勤務する従業員の人数が多いため、適切な健康指導が欠かせないと承知しています。一人ひとりの問題に丁寧に向き合い、健康に活躍できるように看護師、臨床心理士両方の面からサポートしていきたいです。
看護師の志望動機は専門知識と経験のアピールが重要
看護師の志望動機は、病院など医療現場に応じた経験やスキルをアピールするのがポイント。患者をサポートするために必要な資格があれば、キャリアプランとして志望動機に盛り込むのがおすすめです。
志望動機を考えるのと一緒になぜそこに応募したいのか自分の気持ちと向き合うことで、より自信をもって面接に臨めるようになります。この記事で紹介した例文を参考に、希望の転職を実現させましょう。