営業への就職では、志望動機をどのように書くか迷っている人もいるかもしれません。志望動機がうまく書けない理由のひとつには、営業の仕事内容やどのような適性を求められるかが理解できていないことがあります。
本記事では、営業の仕事内容と求められる適性について整理した後、志望動機を書くポイントと例文について紹介します。営業で求められる適性のうち、自分はどの能力をアピールすればいいかを検討して、自分の言葉で志望動機を組み立ててください。
営業の仕事内容
営業の仕事は、大きく3種類に分類されます。基本的に自社の商品やサービスを売り込むことには変わりがありませんが、それぞれの仕事内容を確認しましょう。
既存顧客への営業
すでに取り引きがある顧客に対して行う営業は、ルート営業とも呼ばれる営業の一形態です。未経験から営業職に就いた場合、先輩から既存顧客を引き継ぎ、実戦経験を積ませる企業も多く見られます。
既存顧客への営業は、定期的に顧客先に訪問して、顧客が抱えている問題点をヒアリングすることが重要です。聞き出した問題点の中で、自社製品で解決できそうな部分があれば、自社製品を利用した課題解決の方法を提案します。
顧客との信頼関係を深めることで、新しい案件や他の企業紹介などといった別のメリットも期待できる営業方法です。
新規顧客を開拓するための営業
自社の既存顧客ではない企業に対して何らかの方法でアプローチし、新規顧客として開拓する営業です。
アプローチの方法は、直接訪問や電話、メールなどさまざまあり、相手に合わせたアプローチを取ります。まったく取り引きのない顧客から新規受注するのは、かなり難易度が高い営業方法です。
電話などによるインサイドセールス
電話やメールなど、外出せずに営業活動を行うことを「インサイドセールス」と言います。仕事内容は、新規顧客開拓に使われる手法で、相手先企業のキーマンとのアポイントを取りつけることです。アポイントを獲得する話し方について徹底的に訓練をするため、営業に必要なトーク術を磨ける仕事です。
営業で求められる適性
営業で求められる適性は、主に4点にまとめられます。志望動機を検討する上で、自分が持っている適性があれば、積極的にアピールすることを検討しましょう。
コミュニケーション能力
営業は人と接し、相手の要望を引き出しながら自社製品やサービスの強みを売り込まなければなりません。そのためコミュニケーション能力は必須です。
コミュニケーション能力にもさまざまな形があります。相手から要望を上手に聞き出す力、相手の悩みに共感して一緒に解決しようとする力、プレゼンテーション力など、自分が得意とする能力があればぜひアピールしましょう。
論理的な思考力
営業では、製品やサービスを売り込む際、論理的に説明をして相手に納得をしてもらう必要があります。企業相手に売り込む場合、相手は当然費用対効果がどれだけあるかを数値として求めてきますので、理論武装なしで納得してもらうのは難しいでしょう。
営業の進め方にも、論理的な思考力を求められます。新規顧客獲得には、自社製品の強みと弱みの把握、競合製品の状況把握、ターゲット層の選定など考えることは数多くあります。
スケジュール管理能力
社会人なら、スケジュール管理能力は必須です。ただ、営業の場合はアポイントの時間に行けないと失注につながります。営業となると1日に複数件回らなければならないケースが多く、高度なスケジュール管理が必要です。
スケジュール管理のミスで相手との約束を守れないと、失注になりかねませんし、最悪の場合会社の社会的な信用にまで悪影響を与えます。そのため、スケジュール管理力の高さは、営業職に重要視される資質です。
臨機応変な対応力
営業職は、営利だけでなく顧客のニーズに応えることを目的に活動することで、信用を得て営業成績を上げていくという特性を持ちます。そのため、単なるマニュアル的な対応では難しいこともあり、製品やサービスを提供している部署との調整力が求められます。
顧客が何を求めているかを深く汲み取り社内外の調整をしながら打開策を打ち出せる人は、顧客からも社内からも頼りになる営業として信頼されるでしょう。
英語や中国語などの語学力
外資系企業はもちろん、今後は英語圏や中国圏企業への営業も多くなることが考えられます。英語や中国語などの語学力があれば、グローバルに活躍できる営業として重宝されるでしょう。
営業の志望動機を書くときのポイント
営業の志望動機を書くときのポイントとして、以下の4点を盛り込むようにしましょう。
- 営業職を希望する理由
- 会社を選んだ理由
- 営業に活かせる自分の性格や特徴
- 営業に活かせる経験
具体的にどのような内容を書けばいいか、順番に解説します。
1.営業職を希望する理由
なぜ営業職を希望するのか、その理由をしっかり考えて自分の言葉で表現します。人と接するのが好き、明確な売上目標があるとやる気が出る、相手の要望を叶えるよう行動することに喜びを感じるなど、どんな理由でも構いません。ただし、なぜそう思うのかについて、過去の経験など一歩踏み込んだ説明を考えましょう。
2.その会社を選んだ理由
採用担当者としてはもっとも気になる部分です。なぜこの会社で営業をするのかを説明するためには、企業研究が欠かせません。
会社の公式サイトで説明されている会社概要や経営理念には必ず目を通し、同業他社と比較してその会社の強みを確認しましょう。商品やサービスを実際に使えるなら、使ってみることも重要です。
その上で、自分が共感できる部分、コミットできそうな理念など説明することで「なぜこの会社か」という部分の説得力が増します。
3.営業に活かせる自分の性格や特徴
営業に求められる適性を中心に、営業に活かせる自分の性格や特徴をアピールしましょう。どのような営業を目指し、どのような結果を出したいのか、という自身の将来像も示せればいいアピールとなります。
4.営業に活かせる経験
営業に活かせる経験も忘れずに説明しましょう。転職の場合は、前職の業務経験をどう活かすかの説明は必要です。前職も営業職の場合はどのような成果を出していたかを説明。前職は別職種の場合は、営業に活かせそうな業務経験を取り上げるよう検討しましょう。
営業の志望動機例文集
ここからは、営業の志望動機についての例文をいくつか紹介します。このまま流用するのではなく、応募する会社や自身の特性、業務経験などに合わせて、自分の言葉で志望動機を完成させましょう。
新卒で営業を志望する場合
新卒では、営業に関するスキルを積んでいないことも多いため、志望動機としては「なぜ営業なのか」「なぜその会社なのか」に力点を置いて説明しましょう。
その会社が扱っている製品やサービスに関連することが好きだったり、実際に製品のファンだったりする場合は、ぜひそのことを志望動機の一つとして盛り込んでください。
・例文
もともと食べることが好きで、アルバイトでは、コンビニ用の惣菜を作る工場で働いていました。
食品を扱う責任や安全管理の重要性を学ぶ一方で、自分が関わった惣菜がコンビニに並んでいるのをみるのはとてもうれしいことでした。工場内にはさまざまな年代の人がいて、休憩時間には会話を楽しめたことも自分にとっていい経験となっています。
就職を検討するにあたり、「食」に関する仕事を続けたい、自分の会社の食品を世の中に届け、食べることを楽しんでもらいたいと考え、食品メーカーの御社で営業職を志望しました。さまざまな世代とコミュニケーションをした経験と、食品の安全管理などの経験は、食品を扱う御社の営業でも役立つ経験と考えています。
御社は、経営理念に食の安全性とおいしさの両立を追及されており、私が工場勤務で経験し、重要だと感じていたことと一致しており深く共感しました。
入社した後は先輩方から教えを請いつつ、一日でも早くひとり立ちできるように努力する所存です。
接客業から営業職への転職を希望する場合
接客業は、営業職と共通する業務経験が多く見られます。特に接客スキルを掘り下げて、営業に活かせる部分を見つけ出し、その会社でも活躍できるとアピールしましょう。
・例文
前職では、ホテルのフロント業務に携わっていました。ホテルの顔としてお客様に喜んで頂くことはとてもうれしいことでした。しかし、自分はどのぐらい会社に貢献できているのかが分からない点に不満を抱いていたことも事実です。
そこでいろいろ検討した上、自分の頑張りが数字となって表れ、会社への貢献が実感できる点に魅力を感じ、御社の営業職を志望いたしました。
御社では、米国や中国などへの売上高が大きく伸びており海外への営業に力を入れていく方針とのことで、フロント業務で培った語学力の面でお役に立てると考えています。また、お客様が本当に求めているものを汲み取って提案するコミュニケーション力も、営業に活かせる業務経験だと考えます。
営業職が未経験のため、入社してすぐのタイミングでは、営業独特の業務内容についてご教示頂く場面もあるかもしれません。先輩方の活躍を参考に前向きに取り組むことで、早期に戦力となれるように努力する所存です。
製造から営業職への転職を希望する場合
製造業では、営業職で必要となる業務経験を積めているかどうかじっくりと検討する必要があります。どうして営業として働きたくなったのか、という理由をわかりやすく提示しましょう。
・例文
前職では、カメラの製造工場で働いていました。私は生産ラインで働いていましたが、たまたまカメラの修理依頼の関連でお客様と会話をする機会がありました。そのお客様はとてもカメラが好きな方で、修理の状況を説明しているときに私は「人と接するっていいな」と感じました。
その後2年ほど工場勤務を続けていましたが、今回人と接しつつ自分の頑張りが数字となり分かりやすい営業職への想いが膨らみ、御社の営業職に応募しました。
もともと趣味でプログラミングをするなどパソコンのハードにはくわしく、技術的な情報をブラッシュアップしながら自信をもって御社の製品を売り込みたいと考えています。営業は未経験ですが、一日も早く即戦力となれるよう、先輩方に教えを請いつつ積極的に取り組む所存です。
営業職の経験ありで転職する場合
営業職の経験がある場合は、「即戦力として使える」と感じてもらうことが重要です。前職でどのような成績を残していたか、どのような業務経験を積んできて、その会社の営業ではどのような形で貢献できるかを説明しましょう。
・例文
前職では、某フリーペーパーのルート営業に携わっていました。飲食業や美容院などを回り、フリーペーパーへの掲載をお願いする仕事ですが、有名なフリーペーパーだったのでお客様も理解が早く、営業としてはやりやすい環境でした。
多くの店舗に連絡してアポイントを取り、スケジューリングして商談に行く毎日でしたので、営業の基本的な業務経験は積めました。特に、多くの件数をこなす中でスケジュール管理とお客様のニーズを汲み取って提案する力は上がり、契約件数は支社内で常に上位3位と成果を出せるようになりました。
しかし、将来の展望を考えると、この仕事が長く続くかは疑問だという焦りもあり、将来性のある会社でグローバル展開にも積極的な御社の営業を志望しました。御社の商品は世界市場でも受け入れられるはずで、私も海外営業として貢献したいと考えています。
これからの営業は語学力も重要と考え、1年前より英会話教室に通ってTOEICの800点以上を目指して勉強中です。現在は750点をクリアしており目標まではあと一歩のところです。入社が叶えば即戦力としてお役に立てるよう、日々精進する所存です。
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営業職を希望する場合の志望動機は、自分の経験や特性がどのように活かせるかという点をしっかり説明しましょう。その上で、その会社をなぜ選んだのか、なぜ営業職をしたいのかという点を、自分の言葉で説明すれば、採用担当者にしっかり伝わる志望動機となります。
志望動機が書きあがったら、自分の言葉で表現できているかどうか、例文のままになっていないかを見返して、気になる部分をブラッシュアップしましょう。