女優の古川琴音が、23日より最終週に突入したNHK連続テレビ小説『エール』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で、主人公・古山裕一(窪田正孝)と妻・音(二階堂ふみ)の娘・華を好演。現在放送中のTBS系火曜ドラマ『この恋あたためますか』(毎週火曜22:00~)にも、主人公・井上樹木(森七菜)の親友である中国人の“スー”こと李思涵役で出演しており、注目度が高まっている。

  • 『エール』華役の古川琴音

■“笑いながら怒る”が成立する貴重な女優

『エール』では、10月20日放送の第92回で成長した華として初登場。才能ある両親と比較して悩む姿や、看護師としての奮闘、そして、ロカビリー歌手・霧島アキラ(宮沢氷魚)との出会いから結婚まで、見事に演じてきた。24日放送の第117回では結婚式が描かれ、ウエディングドレス姿を披露。SNS上では「華ちゃん、おめでとう!」「華ちゃん、アキラくん、ご結婚おめでとうございます」などと祝福の声が続出した。

脚本も手掛けたチーフ演出の吉田照幸氏は、古川の演技を「ショックを受けて笑うとか、笑いながら怒るというのは、言うは易く行うは難しで、魅力的に見えにくい。彼女はそれが成立するので、笑いを作る書き手としてはものすごくありがたかった」と称賛。「(アキラから)『お肌に悪いよ』と言われ、振り向いて『怒ってませんよ』っていうのがキュート。コケティッシュな魅力のある役者さんは日本になかなかいない」と語る。

古川を華役に起用したのも、相反するものを表現できるという魅力に惹かれたからだという。「JTのCMで、わだかまりと近づきたいという両方のことを1つの表情で表しているのを見て、この人は魅力的だなと思って起用しました。ですから、台本にも相反するものをいっぱい書き込みました」と明かす。

古川本人はコメディに苦手意識があったようで、二階堂によく相談していたそう。吉田氏は「二階堂さんに『ただセリフ言えばいいんだよ』と言われ、『救われた』と言っていました」と笑った。

■コメディに苦手意識も「彼女の中で自信になっていった」

第115回(11月20日放送)では、関内智彦(奥野瑛太)のラーメン店で華と音が会話するシーンが描かれたが、古川はこのシーンで特に迷っていたという。「悩んでいるシーンにもできるんですけど、コメディに見せたいからそこまで落ち込んだり悩んだりというのではなく、日常の親子の会話…親と2人でラーメンを食べながら他人事みたいにしゃべっているような感じにしたくて。説明するのは難しいんですけど…そのときも二階堂さんは同じことを言われていました」と振り返る。

そして、「あの掛け合いは、2人とも聞いているようで聞いてない芝居。お互いにまったく受けていない芝居はすごく新鮮でした」と解説し、「受けないというしゃべりができる」と、改めて古川の演技を称えた。

撮影を重ねるごとに「彼女の中では、苦手意識が自信になっていった」と感じている吉田氏。その集大成といえるのが、第116回・第117回(23日・24日放送)で描かれた裕一、音、華、アキラの4人芝居だという。このシーンは、裕一と音が、裕一の父・三郎(唐沢寿明)と音の母・光子(薬師丸ひろ子)に結婚を認めてもらうまでのやりとりを描いた第23回(4月29日放送)を再現したもので、SNS上でも話題を呼んだ。

吉田氏は「誰か1人がセリフを待ったり、タイミングが狂うと、芝居が全部ガタガタになってしまう。窪田さんと二階堂さんという、そもそも実力派の2人、しかもこれだけ積み重ねてきている役の中で物怖じせずにやれるのはすごいなと。正直言うと、宮沢さんも含めて心配はありました。立場は違えど、薬師丸さんと唐沢さんの役を担っているわけですから」と、このシーンをやり遂げた古川と宮沢を称賛し、「人って成長するんだなと思いました」としみじみと語った。

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