お笑いタレント・ビートたけしの原点であり、師匠である深見千三郎さんと過ごした青春時代を描いたNetflix映画『浅草キッド』が、2021年冬に配信されることが23日、明らかになった。監督・脚本は劇団ひとり。深見千三郎さんは大泉洋、ビートたけしは柳楽優弥が演じる。

左上から時計回りにビートたけし、劇団ひとり、柳楽優弥、大泉洋

芸人としてだけではなく、俳優、絵画などその才能は多岐に渡り、特に映画監督・北野武としては“世界のキタノ”と呼ばれている唯一無二の天才。日本中が活気と人情にあふれていた時代を舞台に、天才誕生の知られざる秘話を描く。

舞台は昭和40年代の浅草。大学を中退し、“ストリップとお笑いの殿堂”と呼ばれていた浅草フランス座に飛び込み、伝説の芸人・深見千三郎さんに弟子入りしたたけし。当時、独特な指導で、舞台上だけでなく日常生活においても芸人たる心構えを求めた深見さんは、東八郎さん、萩本欽一といった大人気芸人を育てあげていた。その深見さんの元、たけしは芸人としての成功を夢見て“笑い”の修行に励んでいたが、テレビの普及と共に演芸場に足を運ぶ人は減る一方…。厳しさと愛情に溢れる師匠との日々、個性と才能に溢れる仲間たちとの出会い、そして芸人・ビートたけしが誕生するまでを描いた青春ドラマとなっている。

ビートたけしが作詞作曲した「浅草キッド」、そして自叙伝『浅草キッド』を原作に、芸人、作家、俳優と様々な分野で活躍する劇団ひとりが監督・脚本を務める。そして、演技派俳優として、また『水曜どうでしょう』などのバラエティ番組でも国民的人気を博す大泉洋と、カンヌ国際映画祭最優秀主演男優賞を史上最年少で獲得し、シリアスからコメディまで幅広い役柄を演じきる柳楽優弥がW主演。お茶の間を席巻した大人気芸人を数々育てながら、自身はテレビに出演することがほぼなかったことから「幻の浅草芸人」と呼ばれていた伝説の師匠・深見さんを大泉、天才・ビートたけしを柳楽が演じる。2人は初共演となる。

■大泉洋(深見千三郎役)
6年ぶりに劇団ひとり監督からもう一度声をかけていただいたのがとても光栄で、嬉しく思っております。前作『青天の霹靂』の懐かしい昭和の世界観がどうにもこうにも好きだったので、今回も同じ昭和の浅草芸人達の世界を生きられるのがとても楽しみです。しかもあのたけしさんが「笑い」を師事した幻の浅草芸人、深見千三郎さんを演じさせていただくというのは、この上ない喜びとともに重すぎる重圧を感じております。子供の頃、憧れて見ていた昭和の芸人さんの世界を柳楽優弥くんを初めとする素敵な共演者の皆様とスタッフ、ひとり監督とともに、いきいきと表現出来ればと思っております。

■柳楽優弥(ビートたけし役)
たけしさんは、僕にとってバイブルのような存在です。悩んだときは、たけしさんの本やインタビューを読み、映画を見て元気づけられてきました。ご本人役をいただき、正直「どう演じればよいのか?」と怖い気持ちもあります。単なるモノマネにしてしまって、作品が持つ力強さやメッセージ性を消してしまうわけにはいかない。「柳楽が演じる北野武」にしていかなければいけないと思っています。コロナ禍という状況の中、 自分と向き合う時間をしっかり取ったことで「数を多くこなすよりも、時間をかけて一つの作品にしっかりと向き合いたい」という想いがより一層強くなりました。そんな“デビュー”のような気持ちで迎える1本目が『浅草キッド』だということがとても嬉しいです。丁寧に取り組んでいきたいと思います。

■有重陽一プロデューサー/日活
目の前の客を笑わせる演芸場には、距離が近いからこそ伝わる笑いがある。千三郎の芸に魅せられ浅草フランス座に転がり込んだ たけしは、『バカヤロー』と怒鳴られながらも、芸人として大切なものを学び、鍛えられてゆく。そんな二人の間には、特別な師弟の絆があった。コロナ禍で人と人との距離が離れていく今、忘れ去られつつある心に沁みる人情の尊さをこの映画で感じてほしい。

■坂本和隆 (エクゼクティブ・プロデューサー/Netflix コンテンツ・アクイジション部門 ディレクター)
人と人の繋がりの「奇跡」を、この物語は再認識させてくれます。一瞬の出逢いがその人の人生を大きく変えることがあるように、「世界の北野」の誕生にも知られざる奇跡がありました。我々と変わらぬ葛藤を抱えたたけし青年がビートたけしに成長していく過程のなかで、厳しくも愛情深い師匠との出逢いは、様々な人間関係が交錯する現代社会だからこそ誰もが共感する普遍的なドラマが存在します。大泉さん、柳楽さん演じる奇跡のアンサンブルを、映画というかたちで皆さまにお届けできることをいまからとても楽しみにしています