女優の柴咲コウが主演する日本テレビ系ドラマ『35歳の少女』(毎週土曜22:00~)で登場する印象的な場所の1つである図書館。このセットデザイナー・久渡明日香氏が、こだわりを語った。
第1話では、「目なんか覚めなきゃ良かった」とポロポロ涙をこぼす望美(柴咲)に、結人(坂口健太郎)が望美は初恋の人であることを告げ、「目覚めて良かったんだ!」「こんな世界だけど、戻ってきて良かったんだ。こうして、また会うことができたろ? 俺たち」と、望美に生きる希望を与えた場所。第4話で、結人が教え子を自殺で亡くした悲しい過去を語り、望美の前で初めて涙をみせた場所だ。
セットのモデルは、ロケの外観としても使用している1954年に建てられた「神奈川県立図書館」。久渡氏は「戦後日本の建築界をリードした前川國男さんデザインの建物で、その外観に合う内装を目指しました。時代感、デティール、外観から感じるにおいを少しでも中に入れられるように頑張りました」と語る。
脚本の遊川和彦氏からは「神聖な空気感のする場所」、監督からは「教会」というオーダーがあったそうで、「私も台本から教会をイメージしていたので、天井を高く、迫力ある空間に」。さらに、「ドラマの中では時代が変わっても唯一変わらない場所の象徴ということで、時の流れを感じない場所を意識しました。太い柱をはじめ、日本的な古さ、趣のある感じも大切に作っています」という。
そして、セットにある「ステンドグラス」にもこだわりが。「実は、誰も気づいてないと思うんですけど、ステンドグラスのデザインを『35歳の少女』の物語にちなんだ絵柄にしています(※物語で重要な意味を持つ「時計の針とカメ」、望美や家族、結人の幸せを願いって幸せの象徴として「鳩とオリーブ」、母・多恵の言う強さの象徴でもある「とんぼ」をデザイン)。高い位置に設置されているので誰も気づかないかもしれませんが、物語の最初の挿絵の1枚みたいなイメージで作りました。カメラを通したら、視聴者の方にはほとんどわからないかもしれないですけど(笑)」と、見えないところにも工夫が凝らされている。
他にも、古いまま昔のままにこだわった貸し出しプレートや、大きな石の柱など、「図書館」にはこだわりが満載。残りの放送でも重要な場面で登場する予定となっているので、注目だ。