女優の柴咲コウが主演する日本テレビ系ドラマ『35歳の少女』(毎週土曜22:00~)の音楽を手掛ける平井真美子氏が、劇伴制作の裏側を語った。
劇中にかかる曲が極端に少ないことでも話題のドラマだが、ここぞという時に意味のあるタイミングで曲を使用することに徹底してこだわったドラマを盛り上げるのが、平井氏が手掛ける劇伴だ。
大平太プロデューサーは「『偽装の夫婦』で初めてご一緒して以来、『過保護のカホコ』『同期のサクラ』と遊川和彦作品には欠かせない存在のメロディーメーカー。美しい旋律と、女性ならではのやさしいメロディーが特徴で、いつもそっと作品に寄り添ってくれた」と語る。
初回の打ち合わせはリモートで行われたが、遊川氏からのオーダーは、「メロディーのない音楽」「神からの恵み」「祈り」という音楽家にとってはかなり酷な内容だったという。最初は戸惑っていた平井氏も、次第に遊川氏をはじめとした制作チームが目指そうとしていることを理解し、「やってみます」と目を輝かせた。
そしてでき上がってきた曲は、まさに「神からの啓示」とも「母の祈り」とも取れる崇高な女性ボーカルの美しい旋律。劇中でも、望美(柴咲)や家族が「救われた瞬間」にかかり、神から赦されたような気持ちを演出している。
25年前の家族が楽しく幸せだった頃にかかる明るい音楽は、平井氏自身が10歳の頃に作曲した曲。物語で望美が事故に遭った時と同じ年齢である10歳の時の曲をモチーフに生まれた曲が、このドラマで世に出たという不思議な巡り合わせも明かされた。
平井氏は「10歳で作った曲のモチーフがこの物語で生かされるとは、あの頃の自分には想像もできない未来でした。音楽を担当できたことの感謝と共に、望美の幸せとこのドラマが一人一人に強く残ることを、音楽を作った場所から祈っています」と話している。
きょう21日放送の第7話では、ケンカ別れしてしまった家族のことが内心気になりつつも、これからは結人(坂口健太郎)のために生きようと決意した望美だったが…というストーリーが描かれる。