女優・のん主演の映画『私をくいとめて』(12月18日公開)の場面写真が21日に公開された。
同作は作家・綿矢りさによる同名小説の実写化作で、ロングランを記録した『勝手にふるえてろ』の大九明子監督が監督・脚本を務める。30歳を越え、おひとりさまもすっかり板についてきた黒田みつ子(のん)は、脳内の相談役「A」と一緒に平和なおひとりさまライフを過ごしていたが、ある日年下の営業マン・多田くん(林)に恋をしてしまう。きっと多田くんと自分は両思いだと信じて、ひとりの生活に慣れきってしまったみつ子は20代の頃のように勇敢になれない自分に戸惑いながらも、一歩前へ踏み出すことにする。
公開されたのは、“ソロ活”を楽しむみつ子の姿をとらえた場面写真。買い物やランチの1人焼肉を始め、ぶらり温泉旅へと出かけたり、気になっていた“食品サンプル体験会”に飛び込んでみたりと、徐々に“おひとりさま”の幅を広げ、休日を満喫するみつ子の姿がうかがえる。1人では行きにくいと感じるような場所でも興味の赴くままに“おひとりさま”を楽しむみつ子だが、監督の中でみつ子の年齢を「最低でも31歳にしたかった」と強いこだわりが当初からあったという。
「“おひとりさま”がテーマの映画でもあったので、年齢は大事だろうなと。私自身29歳から30歳になるときは、ものすごい焦りと恐怖があって、大暴れしたんです(笑)」と語る監督は、自身の30代を次のように振り返る。「“何かしらにならねばならないのに、何も成し遂げていない! 私はこのまま朽ち果てていってしまうのか!”というアワアワした気持ちから、1カ月くらい海外を一人旅して安いユースホテルでダニに刺されてブツブツになった足を見ながら30歳の誕生日を迎えたり……。いざ30歳になってみると何も変わらなかったんですが。その“目に見えない”恐怖を乗り越えて、一旦落ち着いたみつ子というキャラクターを作ってみたかったので、30代という設定は必須でした」と明かした。
30代で経験した葛藤や想いを、みつ子を通して描いてみたかったという監督の狙い通り、ひとりの生活に慣れ切ってしまったがゆえに、相手との距離の縮め方がわからない、一歩恋に踏み出せないという、“あるある”も随所にちりばめられている。ちなみに劇中では、30代を前に“バックパッカー”として海外を旅していた監督のエピソードも盛り込まれている。