製造業で就活を始める際、志望動機をどのように書くか悩む人も多いでしょう。漠然とした志望動機では、採用担当者にアピールする説得力も弱くなってしまいます。製造業で志望動機を伝える前には、製造業の仕事内容と、求められる適性について把握し、自分がなぜ製造業を、その会社を選んだのか明確にしましょう。

本記事では、製造業の就活で志望動機を書くときのポイントと例文について紹介します。ポイントを押さえて志望動機を書き、自分のアピールポイントを伝えるためにお役立てください。

  • 製造業の仕事内容

    製造業の志望動機を書く前に製造業の仕事内容を深く理解しよう

製造業の仕事内容

なぜ製造業への就職を希望しているのかを志望動機に盛り込むには、製造業の仕事内容を深く理解しておく必要があります。まずは製造業の仕事内容についておさらいしましょう。

あらゆる製品を製造する「ものづくり」の仕事

製造業とは、一般的に「メーカー」と呼ばれ、製品を製造する業種です。工業製品、衣料品、食品、玩具、自動車といった一般消費者向けの製品を製造する会社もあれば、部品や工具など、企業向けの製品を製造している会社もあります。

もう少し正確に定義すると、製造業は主として新製品の製造加工を行うとともに、製造した製品を主に卸売りする事業所を指します。新製品とは完成品だけを指すのではなく、機械を構成する部品も新製品に含まれます。

製造業の分類

一般的に製造業は以下の3種類に分類されます。

  • 基礎素材型産業
  • 加工組立型産業
  • 生活関連型産業

基礎素材型産業は、ゴム、鉄鋼、プラスチック、紙パルプなど、製品を構成する素材そのものを製造します。加工組立型産業は、電気機器具、輸送用機器具、精密機器具を、生活関連型産業は食料品、飲料、衣服、家具、出版物など、生活に関係するあらゆる製品を製造します。

職種も多彩

製造業の中でも、職種は多種多様です。製品の企画、生産(製造)のように、製造に直接かかわる職種のほか、生産工程の設計・管理、採算業務、製品の品質管理も製造業では重要な仕事です。

ものづくりに携わるイメージの強い製造業ですが、製品を売るための営業や間接部門、カスタマー対応業務もあります。

このように、製造する製品も職種も多種多様です。そのため、何の製造に携わりたいのか、どの職種を希望しているかを自分の中で絞り込んでおくことが、就活や転職では重要となります。

  • 製造業の仕事内容

    どんな製品の製造に携わりたいかを絞り込もう

製造業で求められる適性

工場ラインや製品の企画など製造にかかわる仕事で求められることの多い4つの適性について解説します。

コツコツと長く続けられる

工場勤務で製造や品質管理の仕事に就く場合、仕事のやり方を覚えた後は単純作業になることも少なくありません。単純作業でも確実にコツコツと気長に続けられることを伝えられれば、かなりのアピールポイントとなります。

コツコツと地道に努力できるエピソードがあれば、自分の地道な継続力が活かせると考えた、などという形で志望動機に適性をアピールする方向で検討しましょう。

仕事を正確に進められる

不良品を出さず高品質を保つためには、一つひとつの作業を正確に行える緻密さも歓迎される性質です。緻密に物事をやり遂げることにこだわる、ハンドメイドやプラモデル作成など緻密さが必要な趣味がある、といったエピソードがあれば積極的にアピールしましょう。

ものづくりが好き

とにかく何か新しいものを作りたい、自分が作った製品で人や社会を豊かにしたい、という前向きな気持ちのある人も製造業に適性があります。自分の作るものに誇りを持ち、よりよい製品にブラッシュアップしていくという意欲を持っていれば、志望動機にも盛り込みましょう。

新しい技術にもアンテナを張れる

昨今の製造業は日進月歩で進化を続けています。今製造している製品がずっとそのままで続くかどうかもわかりません。そのような中で、常に新しい技術に興味を持ち、積極的に取り入れることのできる好奇心の強さや新しもの好きな人も、製造業に適性があります。

  • 製造業で求められる適性

    工場で生産に携わる場合は根気強さと正確性が求められる

製造業の志望動機を書くときのポイント

製造業の志望動機を書くときのポイントは、主に次の5点です。

  1. 製造業を選んだ理由
  2. その会社を選んだ理由
  3. その職種を選んだ理由
  4. その仕事に活かせる自分の性格や特徴
  5. 経験の有無

これらのポイントを一つひとつ検討して、志望動機を作成しましょう。

1. 製造業を選んだ理由

なぜ製造業を選んだのか、その理由を盛り込みましょう。ものづくりが好き、何かをコツコツ進めていくのが好き、といった製造業に対する思いが志望動機に1文でも盛り込めれば大丈夫です。

2. その会社を選んだ理由

なぜその会社を選んだのか、その理由を志望動機に必ず盛り込みましょう。その会社の製品を愛用していて自分でも製造に携わりたくなった、といったわかりやすい理由があればベストです。

ただ、なかなか「その会社を選んだ」理由を思いつかない場合もあるでしょう。その場合は、同業他社を比較してその会社の強みを考え、その強みに魅力を感じたという方向で志望理由を検討してください。

3. その職種を選んだ理由

なぜその職種を選んだのかという理由も重要です。生産ラインや品質管理の仕事なら、製造に直接かかわりたいと説明できます。営業や間接部門の仕事を希望している場合は、その製品を側方支援して好きな製品を世の中に広めたい、といった動機を検討しましょう。

4. その仕事に活かせる自分の性格や特徴

ここまでは「なぜその業種、会社、職種なのか」を説明する方向でした。ここからは、自分の特性やスキルが「どのように活かせるか」の説明になります。

自分の性格や特徴の中でその仕事に活かせることを見つけて「自分のこういった特性が御社での仕事でも活かせる」とアピールしましょう。製造業で求められる適性と自分の性格・特徴で結び付けられるものがあれば、その面を志望動機の中に盛り込むように検討してください。

5. 経験の有無

前職や学生時代のアルバイトなどで製造業の経験があれば、その点も活かせることをアピールしましょう。未経験の場合は素直にそのことを伝え、製造業全般やその会社のことを勉強していることを申し添えます。

  • 製造業の志望動機を書くときのポイント

    その会社を志望した理由をしっかりと伝えたい

製造業の志望動機例文集

製造業の志望動機の例文をいくつか紹介します。このまま利用するのではなく、内容を参考にしながら自分流にアレンジして活用してください。

高卒で製造業を志望する場合

幼少期からプラモデル、木工など工作関係に熱中し、製造の仕事に自然と興味をもちました。学校の図工では「細部まで丁寧に作れている」と評価を受けることが多く、緻密な作業は得意だという自負があります。

御社では、常に先進的な製品を多く世に出していることや、若手も活躍できる環境が整っているので、自分も学びながら積極的に挑戦できそうな点に魅力を感じて応募いたしました。

新卒で製造業を志望する場合

子供のころから電気製品の仕組みに興味があり、工具を持ち出しては分解して遊んでいて母親に怒られることもありました。小学生のころから電子工作に興味を持ち、自分で簡単な仕組みの電子機器を作って遊んでいたため、大学では工学部を選びました。

御社の主力製品である精密機器の製造にはとても興味があり、御社の新製品開発の仕事に応募しました。学生時代はアルバイトで引っ越しの作業員をしていましたが、仕事ぶりが丁寧だと褒めてもらうこともあり、やりがいを感じておりました。御社でも丁寧な対応と電子工学に関する知識を活かし、貢献したいと考えています。

転職かつ製造業の経験ありの場合

前職では、5年間精密機器工場にて製造ラインを担当していました。5年間のうち3年間は、スタッフの労務管理と生産管理も経験していますので、管理業務もこなせます。御社の主要製品は自動車の部品であるため前職とは製品の種類が違いますが、前職での業務経験を活かせる部分は多々あると考え、今回応募いたしました。

転職かつ未経験で製造業を志望する場合

前職では、IoT技術を活かした工場生産ライン制御システムの開発に携わっていました。さまざまなセンサーを工場内に配置してその情報をサーバーに吸い上げ、工場の生産ラインに問題が生じていないかを監視するシステムです。システムを開発する過程で工場の製造業務についての知識を学び、個人的に強く興味を持つようになり、御社の生産管理に関する仕事に魅力を感じました。

御社では製造ラインの管理や品質管理業務を希望しています。実務での作業は未経験ですが、前職で学んだ工場の生産に関する知識を活かし御社に貢献できると考え志望いたしました。

  • 製造業の志望動機例文集

    志望動機の中には「なぜその会社に入社したいのか」を必ず盛り込む

ポイントを押さえて製造業の志望動機を検討しよう

製造業向けの志望動機を考えるポイントと例文を紹介しました。製造業の志望動機を考えるポイントの中でも、もっとも重要視したい点は「なぜその会社を選んだか」の部分です。会社の研究をしっかりとして、志望動機に盛り込むようにしましょう。

また、自分の性格や特徴の中から、製造業で求められている適性に合致するものがあれば、志望動機に盛り込むとアピールになります。志望動機をしっかりと検討して、製造業への就職を成功させましょう。