東京商工リサーチは11月18日、「全国主要空港ビル会社 経営動向調査(2020年3月期決算)」の結果を発表した。同調査は、同社のデータベースから主な空港ターミナルビル運営会社48社の2020年3月期決算を抽出し、まとめたもの。
半数以上が減収
48社の売上高合計は3,002億8,202万円で、前期(2019年3月期)決算より4.4%(140億7,024万円)減少。内訳は、減収が半数以上の25社(構成比52.0%)を占めた一方、増収は22社と前期(37社)比大幅減、横ばい1社となった。また、最終損益は35社(同72.9%)が減益となった。
航空業界は、インバウンド需要や国内旅行などを追い風に、好況に沸いていたが、新型コロナウイルス感染拡大により、事業環境が一変。乗降客数は40空港で前期より減少した。同調査では、「LCCの就航や訪日外国人の増加などで近年は乗降客数が伸びていたが、急ブレーキがかかり売上減の主因となった」と分析している。
その中で、売上高トップは日本空港ビルデングの1,742億円(前期比7.4%減)。2位以下を大きく引き離したものの、羽田空港の旅客数が前期比4.4%減と2010年3月期以来10年ぶりに前期を下回ったため、3年ぶりの減収となった。
売上高上位10社のうち、前期を上回ったのは那覇空港ビルディング(前期比12.8%増)、名古屋空港ビルディング(同1.8%増)、新千歳空港ターミナルビルディング(同0.7%増)の3社のみで、7社が前年割れする結果となった。
同調査では、「新型コロナによる業績へのインパクトは大きい。年間を通して影響を反映する今期(2021年3月期)は、各社とも大幅な赤字計上を避けられない状況で、全国的に広がりをみせる空港ビル会社の民営化の流れに水を差しかねない」と懸念している。