1999年より放送され、当時の子供たちから圧倒的な支持を得ていた「おジャ魔女どれみ」シリーズ。現在、同作のTVアニメ放送開始20年を記念した新作アニメーション映画『魔女見習いをさがして』が公開されている。オリジナルスタッフの佐藤順一監督や脚本の栗山緑氏、総作画監督の馬越嘉彦氏らが再集結して描くのは、大人のための新たな“魔法”の物語となった。

愛知県出身の大学4年生・長瀬ソラ(声:森川葵)、東京で一流貿易商社に勤めているキャリアウーマン・吉川ミレ(声:松井玲奈)、広島県出身の20歳のフリーター・川谷レイカ(声:百田夏菜子)……年齢も住んでいる場所も違う彼女たちは「おジャ魔女どれみ」が大好き、という点でつながり、「おジャ魔女どれみ」ゆかりの地を巡る旅へ出かける。さらに、電車旅の道中で出逢ったおんぷ推しの大学生・大宮竜一(声:三浦翔平)など、彼女たちをとりまくキャラクターも。今回は森川、松井、百田、三浦にインタビューし、「おジャ魔女どれみ」の魅力、そして『魔女見習いをさがして』の魅力について話を聞いた。

  • 映画『魔女見習いをさがして』で声優を務める三浦翔平、松井玲奈、森川葵、百田夏菜子

    左から三浦翔平、松井玲奈、森川葵、百田夏菜子 撮影:宮田浩史

■「おジャ魔女どれみ」が大好きな4人がそろった

――最初に、この作品の声優のオファーが来た時の印象を教えてください。

森川:小さい頃から観ていた「おジャ魔女どれみ」のクリエイターの方が集結している作品に出られるなんて、本当に嬉しかったです。情報は先に出ていたので「観に行きたいな」と思っていたら、まさか自分のところに話が来るなんて考えてもいなかったです。

松井:私自身も「おジャ魔女どれみ」が大好きだったので、話をいただいた時は飛び上がるくらい嬉しかったです。しかも今回はどれみちゃんたちじゃない、新たな主人公で、どういうお話になるのかも楽しみでした。

百田:私も情報が出た時に、友達と「絶対観に行こうね」という話をしていたので、決まった時はまず友達に何て言おう……というところがありました(笑)。でも、友達もすごく喜んでくれて、「観に行くね」と言ってくれて、嬉しかったです。

三浦:僕も情報を見た時に「ああ、懐かしいな」と思って、個人的にSNSに「楽しみだな」なんて書いていたら、ある日マネージャーさんから出演オファーが来ていると聞いて……。

一同:(笑)

三浦:「え、出れるの!? それはもうぜひ!」いうお話になりました。本当に楽しみでした。

――じゃあ、本当にみなさん元々「おジャ魔女どれみ」が好きで嬉しかったんですね。

一同:はい!

――みなさんそれぞれ、「おジャ魔女どれみ」との出会いはいつだったんですか? ぜひ好きなキャラクターも一緒に教えてください。

森川:どのタイミングから好きなのか、覚えているわけではないんですけど、幼い頃に友達がみんな観ていて、当たり前のように観ていました。おんぷちゃんが好きでした!

松井:私は無印(「おジャ魔女どれみ」)の時にリアルタイムで最初から観ていました。日曜の朝は習慣的にずっと見ていたので、自然な流れで毎週楽しみにしていました。あいこちゃんが好きでした。

百田:幼稚園の時に好きでした。私もいつから好きになったのかは覚えてなくて、物心ついた時から好きという感じです。第1話の印象がすごく強いので、たぶんそこから観ていたんだとおもうんですけど……。幼稚園でどれみちゃんごっこしたり、セリフをまねしてたり、みんなで「今日は誰々役ね」と順番で遊んでいた記憶があります。私ははづきちゃんがすごい好きだったので、けっこう、はづきちゃん役を狙いにいってました(笑)。

三浦:僕も松井さんと一緒で、日曜日は6時半くらいから10時半くらいまでずっとテレビを観ていたので、その流れからですね。男の子も、結構「おジャ魔女どれみ」観てましたよ! 大体日曜日は朝テレビを見て昼ごはんを食べて、午後は友達とサッカーして……という感じでした。自然と習慣になってました。

――三浦さんはおんぷちゃんがお好きだったそうですが……。

三浦:全員好きですよ! 好きですけど、中でも誰かと言われたら。男の子はおんぷちゃんが好きなんじゃないかな(笑)。

■どれみちゃんたちは、テレビの中にいるお友達

――今回出演されるにあたって「おジャ魔女どれみ」の作品を見返したりもされたそうですが、大人になって改めて気づいた魅力はありましたか?

森川:キャラクターを、子供扱いしないんですよね。(『おジャ魔女どれみ♯』で)ハナちゃんが来てからも、みんなで育てたりとか、人生の経験をさせてあげる。子供を「子供だ」と扱うのは簡単だけど、1人の人間として扱うのは、結構難しいと思うんです。しかも、それぞれの家族や人生の描き方もリアルで、大人になってもすごく胸に響く、刺さるものがあるアニメだなと思いました。

松井:悪役を倒すような話じゃないので、どれみちゃんたちは、テレビの中にいるお友達だったんだなと思いました。友達と喧嘩したり、学校に行きたくなかったり、「おジャ魔女どれみ」を観て一緒に悩むことで、「ひとりぼっちじゃないんだ」「同じ悩みを抱えてる子がいるんだ」と、共有することができてたのかなと思います。クラスメイト全員に名前があって、それぞれ1人の人間として扱っているのもとても素敵で、もし自分に子供ができても観せたいです。

百田:「かわいいものってずっとかわいいんだなあ」と思いました。もちろん当時も衣装や小物への憧れはあったんですけど、今見ても、憧れちゃう。大人になってから見ると「なんで好きだったんだろう」と思うものあるけど、今見ても「そりゃ、好きだよなあ」と思います。あとは、このアニメをさらりと観ていたちっちゃいときの自分が恐ろしいというくらい、今わかることもたくさんあるので、大人になればなるほど、より勉強になるところがたくさんあるアニメです。

三浦:これはぜひ小学校低学年の道徳の授業で流すべきだと思います。それくらい素敵な作品です。僕の周りに小学校、中学校世代の親御さんがけっこういるんですけど、いじめとかの話を聞くと、つらいなと思うんです。ちゃんと人と向き合うということを、「おジャ魔女どれみ」を見て勉強してほしいです。

――実際に今回の『魔女見習いをさがして』をご覧になった感想はいかがでしたか?

森川:声優をガッツリやらせていただくのが初めてだったので、自分のやったものがうまくいってるのか、そっちばかりに気を取られちゃいました……。でも、自分たちがアフレコをしていた時は静止画や鉛筆で描かれていた状態が多かったので、映像になっている作品を観て、すごく感動しました。「おジャ魔女どれみ」を感じる絵柄だったり、効果音だったりといった要素もいっぱい入っていたので、「おジャ魔女どれみ」の世界に入り込んでる! と思いました。

三浦:僕は、女子3人が魔法玉を出し合ってるシーンがすごく愛らしくて好きでしたし、あの時観ていた人たちが大人になって楽しめる映画だと思いました。僕が演じた大宮というキャラクターがおんぷちゃん推しなのは、当て書きなのか、最初からあったのか(笑)。そこはちょっと通ずるところがありました。

百田:どれみちゃんが「大人になったら何になりたいの?」と問いかけるシーンで、自分の小さい時のこともすごく思い出しました。「私もあんな夢があったなあ」とか、重なって。幼稚園の時は、ケーキ屋さんになりたかったんです(笑)。そういう気持ちを思い出せる、懐かしさがありました。

松井:私は作品を観ながら、アフレコしていた時のことも思い出してました。大宮さんが合流して、4人になったシーンがすごく賑やかでセリフも動きもあるので、楽しかったなと。それまではキャッキャしながらも3人のテンポ感もあるんだけど、大宮さんという新しい人物が入ることによって、アドリブもあったり、慌ただしかった思い出があります(笑)。あとは、馬越さんのデザインも好きなので、自分の声が馬越さんのキャラクターから出てくるなんて夢みたいでした。

――「おジャ魔女どれみ」の魅力で、今作にも受け継がれてると思うのはどういうところですか?

三浦:ちょっと先ほどと重複する部分があるかもしれないですね。効果音とか、キャラクターの表情とか……。

森川:(笑)

三浦:あとは任せます(笑)。

松井:丸投げだ(笑)。

百田:じゃあ……効果音とか、表情とか(笑)。

三浦:かぶせたかぶせた(笑)。

百田:ありました! レイカちゃんはお肉が好きなキャラだったので、ステーキの話をしてる時のどれみちゃんを思い出せました。

松井:それぞれのキャラクターに、ちょっとどれみちゃんたちのかぶる部分が入ってる!

森川:「おジャ魔女どれみ」に出てたクラスメイト役の声優さんが、『魔女見習いをさがして』でも、会社員とかソラの友達役とかで出てくださってるんです。それを聞いて、「この声ってあの子だよね!?」というところもあります。

――今回は趣味でつながった背景の違う4人を演じることとなりましたが、みなさんにもそういうつながりはありますか?

百田:私は海外に行くのが好きで、1人で旅行したときに、たまたま出会った日本人のお姉さんと仲良くなりました。それ以来、私が海外に行く時は会って一緒にごはんを食べるし、お姉さんが日本に帰って来ている時はライブを見に来てくれる。旅先で出会って、年齢も上なんですけど、そういうつながりが今でもあります。この作品でも年齢が違うけど、きっかけがあって仲良くなっていきますよね。私もその方とはすごく話が盛り上がって、出会った日にごはんを食べに行ったんです。そんなこと、ふだんは絶対にないですし、出会えて良かったと思っています。

森川:私は手芸です。編み物をやってるというと「え、そうなの?」という反応をされることが多いんですけど、好きな人とはすごく意気投合できます。一緒に毛糸を買いに行ったり、鍋敷を編んだり、つながっています。

三浦:僕はサーフィンをやるんですけど、海で会うのは、基本的に名前も年齢も職業も知らない人たちなんです。行ったら誰かしらいて、「お久しぶりです、最近どう?」みたいなことは話すけど、あまり深入りしなくて、海でつながっているいい関係ですね。

松井:私は「おジャ魔女」友達がいます。歌を歌ってる子なんですが、初めて会った時にライブで「おジャ魔女」の歌を歌っていて、「ええっ、好きなの!?」とびっくりして仲良くなって、一緒に「おジャ魔女どれみ」のカフェに遊びに行ったり。今回もコラボカフェがあるので、「絶対に一緒に行こう」と計画してます。『魔女見習いをさがして』の4人と同じかもしれないです(笑)。

■森川葵
1995年6月17日生まれ。愛知県出身。2010年芸能界デビュー。以降、女優として映画、TVドラマを中心に話題作への出演が目覚ましい。近年の出演作に、『花戦さ』『恋と嘘』『先生!、、、好きになってもいいですか?』(17年)、『嘘八百』『リバーズ・エッジ』『OVER DRIVE』(18)、『映画 賭ケグルイ』『耳を腐らせるほどの愛』(19年)など。公開待機作に『天外者』(12月11日公開)がある。

■松井玲奈
1991年7月27日生まれ。愛知県出身。本年4月より放送のNHK連続テレビ小説『エール』にヒロインの姉役として出演中。役者として活躍する一方で、小説家としても2020年1月に新作小説『累々』を出版予定。春には映画『ゾッキ』が公開予定。

■百田夏菜子
1994年7月12日生まれ。静岡県出身。女性アイドルグループももいろクローバーZのリーダーとして活躍。映画には声優での出演が目覚ましい。主題歌を担当した『ドラゴンボールZ 復活のF』(15/声での出演)を皮切りに、『映画かいけつゾロリ ZZのひみつ』(17年/声での出演)、『映画クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ 〜拉麺大乱〜』(18年/声での出演)がある。昨年は『映画しまじろう しまじろうとうるるのヒーローランド』(20年/声での出演)、『最高の人生の見つけ方』(20年)に出演。

■三浦翔平
1988年6月3日生まれ。東京都出身。「第20回ジュノンスーパーボーイコンテスト」フォトジェニック賞・理想の恋人賞を受賞し、芸能界デビュー。映画『THE LAST MESSAGE 海猿』では第34回日本アカデミー賞・新人俳優賞を受賞。近年の出演作は、ドラマ『正義のセ』(18年)、『M 愛すべき人がいて』(20年)、映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(13年)、『ひるなかの流星』(17年)など。公開待機作に『天外者』(12月11日公開)がある。