欧州時間の11月16日、スーパーコンピュータの性能ランキングである「TOP500」の2020年11月版が発表され、日本の理化学研究所と富士通が開発したスパコン「富岳」が1位を獲得した。富岳が世界一となるのは前回6月版に続く2期連続で、国産スパコンが連続で1位を獲得するのは、2011年6月版と11月版で達成した「京」以来となる。
56回目となる今回のTOP500で富岳は、スパコンの演算性能を評価するTOP500標準のLINPACKベンチマークで、442.01PFlops(1秒間に約44.2京回の計算性能に相当)の性能を示し、2位の約3倍という高い計算性能を記録して1位となった。前回6月の時点と比べ、プロセッサコア数を7,299,072コアから7,630,848コアへと増やし、計算性能を415.53PFlopsから442.01PFlopsへと伸ばした。
富岳は2021年度からの本格稼働を目指して開発・整備が続けられているが、緊急的に、新型コロナウイルスによる被害の軽減に貢献すべく、ウイルス飛沫に関する検証シミュレーションや、治療薬候補の探索など、関連研究への計算資源の優先供出に取り組んでいる。
今回のTOP500の2位は前回同様に米国の「Summit」でLINPACK性能は148.6PFlops。3位も前回と変わらず米国の「Sierra」でLINPACK性能は94.64PFlops。4位も変わらず中国の「Sunway TaihuLight(神威・太湖之光)」でLINPACK性能は93.014PFlops。5位には前回から順位を上げた米国の「Selene」でLINPACK性能は63.46PFlops。新たに5位に入ったSeleneは、AMD EPYCとNVIDIA A100(AmpereベースGPU)を使ったシステムで、前回から規模を倍増して性能を大きく伸ばした。
世界的なスパコンランキングであるTOP500は年2回、ともにスーパーコンピューティングの国際会議で、6月に欧州で開催されるInternational Supercomputing Conference(ISC)と、11月に米国で開催されるSupercomputing Conference(SC)に合わせて発表されている。