歴史的番勝負となった叡王戦を戦った両者は王将リーグでともに4勝0敗。挑戦権獲得へぐっと近づくのはどちらだ!?
渡辺明王将(名人・棋王)への挑戦権を争う、第70期王将戦挑戦者決定リーグ(主催:スポーツニッポン新聞社・毎日新聞社)の6回戦、▲永瀬拓矢王座(4勝0敗)-△豊島将之竜王(4勝0敗)が11月17日に東京・将棋会館で行われます。ここまで全勝の豊島竜王と永瀬王座との一戦。勝った方が挑戦に大きく近づく大一番です。
豊島竜王はここまで木村一基九段、藤井聡太二冠、広瀬章人八段、佐藤天彦九段を破って4連勝。永瀬王座も佐藤九段、木村九段、藤井二冠、羽生善治九段に勝利しています。永瀬王座と羽生九段の対局は、ともに3連勝同士の戦い。それを永瀬王座が制して、豊島竜王との全勝者対決に臨むことになりました。
今期の王将リーグで挑戦の可能性があるのは、豊島竜王、永瀬王座、羽生九段の3人に絞られています。永瀬王座に敗れ、3勝1敗となった羽生九段ですが、最終局の7回戦で豊島竜王との直接対決を残しているためです。3者それぞれの挑戦権獲得条件を見てみましょう。
順位2位の豊島竜王は、永瀬王座、羽生九段に連勝すれば無条件で挑戦。永瀬王座に勝利すれば、最終戦で羽生九段に敗れてもプレーオフ進出です。永瀬王座に負けてしまった場合は、自身が最終戦に勝利した上で、永瀬王座が広瀬八段に敗れるとプレーオフとなります。
永瀬王座は予選を勝ち進んでリーグ入りしたため、順位が5位。豊島竜王、広瀬八段に連勝すれば無条件挑戦。豊島竜王に勝利して広瀬八段に敗れた場合は、最低でもプレーオフ進出、最高で挑戦権獲得です(羽生九段が6回戦で敗れた上で、7回戦で豊島竜王を破った場合)。
一方、豊島竜王に敗れると順位の悪さが響きかねません。もし最終的に5勝1敗で豊島竜王、羽生九段、永瀬王座が並んだ場合は、順位2位の豊島竜王と順位3位の羽生九段とでプレーオフが行われ、永瀬王座は頭ハネとなってしまいます。
最後に順位3位の羽生九段は6回戦の木村九段戦、7回戦の豊島竜王戦の連勝が絶対条件。木村九段に勝利した上で、豊島竜王-永瀬王座戦で豊島竜王が勝利すればプレーオフへの自力ですが、永瀬王座が勝つとキャンセル待ちとなります。
挑戦者争いの大一番を戦う豊島竜王と永瀬王座の過去の対戦成績は、6勝6敗2持将棋と全くの互角。両者の対決といえば、今年の夏の叡王戦が印象深いでしょう。
第5期叡王戦七番勝負は第1局でいきなり千日手で指しなおし。さらに第2、3局は連続して持将棋となりました。そしてその後も両者譲らずに3勝3敗2持将棋で第9局までもつれこんだのです。番勝負で第9局が行われるのは史上初のこと。最後は豊島竜王が勝利して叡王を奪取したのでした。
それ以来の対決となる明日の対局はどのような将棋になるでしょうか。ちなみに今回は番勝負ではないため、持将棋や千日手になっても即日指しなおしとなります。