東京商工リサーチは11月11日、2020年1~10月の「飲食業」の倒産件数が前年度比9.2%増の730件に達したと発表した。現在のペースで推移すると、通年最多だった2011年の800件を11月にも上回り、年間件数を大幅に更新する可能性が高いという。

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「専門料理店」の倒産が最多

業種別の倒産件数をみると、最も多いのは日本料理店やラーメン店などの「専門料理店」で前年同期比6.6%増の177件。次いで「食堂、レストラン」が同11.9%減の169件、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」が同31.5%増の150件と続いた。

前年度からの増加率では、「そば・うどん店」が最も高く前年同期比60.0%増(10件→16件)。増加率が30%以上の業種は、前述の「そば・うどん店」、「すし店」(前年同期比47.0%増、25件)、「酒場、ビヤホール(居酒屋)」、「宅配飲食サービス業」(同47.8%増、34件)で、これら4業種は既に2019年の年間件数を上回っている。

  • 飲食業の倒産 年次推移(出典:東京商工リサーチWebサイト)

原因別では、「販売不振」が同10.8%増の621件でトップ。以下、「既往のシワ寄せ(赤字累積)」が同47.6%増の31件、「事業上の失敗」が同3.4%減の28件と続き、「不況型倒産」(既往のシワ寄せ+販売不振+売掛金等回収難)が計652件と、9割近い89.3%を占めた。

規模的には、負債1億円未満が661件(構成比90.5%)、資本金1,000万円未満が651件(同89.1%)と、小・零細規模が約9割に達し、「体力が脆弱な企業の行き詰まり」(東京商工リサーチ)が目立つ結果となった。

同調査では、「コロナ禍前の売上に回復するには時間を要し、資金力に乏しい飲食店が『新しい生活様式』に向けたビジネスモデルへの転換は容易でない。今後は倒産だけでなく、厳しい先行きを懸念し、余裕のあるうちに休廃業する企業・商店も増えてくる可能性が高まっている」と懸念している。