米Micron Technologyは11月9日(現地時間)、世界初という176層の3D NANDフラッシュメモリの出荷を開始した。同社従来の96層3D NANDと比べて、読み書きレイテンシが35%以上改善されるなど高いパフォーマンス誇る。176層のTLC 3D NANDとしてシンガポール工場で量産中で、まずは限られた顧客向けの出荷となるが、2021年にはCrucialがコンシューマー向けSSDにこのNANDを採用して製品化する予定だ。

  • マイクロンの176層3D NANDフラッシュメモリの概要

    マイクロンの176層3D NANDフラッシュメモリの概要

競合が128層までの積層数に留まる中、先駆けて176層の多層化技術を実現し、出荷を開始した。今回の176層NANDは、同社の第5世代3D NANDおよび、シリコン層の代わりに伝導性の高い金属ワード線を用いる第2世代リプレースメントゲートアーキテクチャと呼ばれるゲート技術によって実現したとされる。第5世代3D NANDでは、Open NAND Flash Interface(ONFI)と呼ばれる高速バスを採用しており、最大データ転送速度は1,600MT/秒と、前世代から33%向上している。

今回の多層化には、ゲート技術やNANDセル技術のほか、CMOSアンダーアレイ(CuA)と呼ばれる技術も組み合わせることで可能にしたとされる。CuAは同社の特許技術で、チップのロジック上に多層スタックを構築することでより多くのメモリセルを詰め込めるようにした、ウェアごとの記憶容量を増やす技術とされている。

ほかこれら最先端の技術の採用は、性能向上や、高密度化とそれに伴う半導体ダイサイズ縮小による製造コストへの貢献だけでなく、耐久性の向上にも寄与するとしており、同社はこの3D NANDをモバイルやクライアントだけでなく、信頼性の求められる車載やデータセンターなども含め、様々な用途に最適なソリューションだとアピールしている。