「あの人は影響力があるな」と感じる人、身の回りにいますか? 影響力がある人は、周囲の人たちと協力して物事に取り組んだり、他人の考え方・行動を変えるキッカケを作ったりと、非常にエネルギーに満ち溢れています。
時に、ビジネスシーンでは自分を中心に人を引っ張ったり、落ち込んでいる人・戸惑っている人を奮い立たせたりする力を求められます。そういったエネルギーに満ち溢れている人は、「影響力がある」と形容されるもの。それでは、影響力がある人にはどういった特徴があるのでしょうか?
本記事では、影響力がある人の特徴や、影響力を高める方法について紹介します。
影響力とは
まずは何気なく使っているこの「影響力」という言葉の意味をしっかりと確認しておきましょう。
影響力の意味
影響力とは「他に働きかけ、考えや動きを変えさせるような力」と辞書によって定義されています。これを咀嚼して「ある人が他人に何か働きかけることによって、他人のマインドを変化させ、結果としてその行動や思考を変えさせる力」というような意味で、影響力という言葉をとらえるとよいでしょう。
影響力の言い換え表現
影響力の類語や言い換え表現には以下のようなものがあります。
- 権威
- 権勢
- 威光
- インフルエンス
- インパクト
- 勢威
- 偉力
影響力の英語表現
影響力の英語表現は「influence」です。「インフルエンサー(influencer)」といった表現を最近見聞きする機会が増えたという人もいることでしょう。このinfluenceに「~する人」という意味の「er」が付いたインフルエンサーは、読んで字のごとく「世間に対して影響を及ぼす人」という意味になります。
影響力がある人の特徴
ではどのような特徴を兼ね備えた人が「影響力がある人」と言えるのでしょうか。ここでは、影響力がある人の特徴を具体的にみていきましょう。
自信がある
影響力がある人は、自分の考えや行動に自信を持っています。それは、その人の考え方に一貫性があり、かつその考え方で多くの成功体験を生んできたことが影響しています。自分に自信があるため、人前でも堂々とふるまうことができ、周囲から敬意の眼差しを向けられます。
また、成功体験だけではなく、失敗体験も積んでいるため、自分自身の短所も正しく理解していることが多いです。そのため“自分ができないこと”にも自信を持って「できません」と言うことができます。
洞察力に優れ、迅速な意思決定ができる
影響力がある人は、洞察力と意思決定力に優れています。何かのトラブルが起こった時には、慌てるのではなく、冷静に周囲の環境を理解し、トラブルを解決するための意思決定を即座に行うことができます。危機管理能力に優れているとも言えます。
自ら行動する
影響力がある人は、重要なことを周囲の人間にさせるだけではなく、率先して実行できます。特に難しい局面に陥った時に、先頭に立って行動し対処する姿勢は、周囲に安心感を与えます。
実績と高い人間性を兼ね備えている
影響力がある人は、周囲から認められるだけの実績を出し続けています。ただし、実績があるだけでは周囲の人はついてきません。影響力がある人は、そこにさらに高い人間性を兼ね備えています。実績があっても周囲から嫌われるような人物であれば、影響力を持つことはできません。反対に、周囲から好かれていても、実績がなければ人はついてきません。
カリスマ性がある
影響力がある人は、圧倒的な存在感を放っており、カリスマ性を感じさせます。話す言葉や行動にパワー、温かみを感じることもあり、時には「オーラがある」などと比喩されることも。同世代に限らず、世代を超えて多くの人から慕われる傾向にあります。
影響力がある人ランキングとは
上記のような特徴を兼ね備えた影響力を持つ人を、ランキング形式で紹介するケースもしばしばみられます。
有名なものの一つにアメリカで発行されている経済雑誌「フォーブス」が発表している「世界で最も影響力のある女性100人」があります。その名の通り、その年・時世にパワフルで影響力がある女性100人を紹介するというものです。
ちなみに、2021年12月に発表されたランキングの上位10人は以下のようになっています。
1位 | マッケンジー・スコット | 慈善活動家 |
2位 | カマラ・ハリス | 政治家 |
3位 | クリスティーヌ・ラガルド | 政治家 |
4位 | メアリー・バーラ | 実業家 |
5位 | メリンダ・フレンチ・ゲイツ | 慈善活動家 |
6位 | アビゲイル・ジョンソン | 銀行家 |
7位 | アナ・ボティン | 銀行家 |
8位 | ウルスラ・フォンデアライエン | 政治家 |
9位 | 蔡英文 | 政治家 |
10位 | ジュリー・スウィート | 実業家 |
影響力を高める方法
実はこの影響力は、ちょっとしたことで身に着けたり高めたりすることができます。以下にポイントをまとめてみました。
信頼を得る行動をする
周囲の信頼を得るには、日頃の行動に疑問を持って振り返ることが大切です。何気ない行動が、信頼を失う方向に作用していることも少なくありません。反対に、小さなことでも実直に対応することで、信頼を向上させることにつながります。職場や友人との人間関係を円滑にするためにも、信頼を得られる行動を心がけましょう。
自らの意思決定による成功体験を積む
自分に自信を持つために、自分自身の意思決定による成功体験を積みましょう。自分自身で設定した目標を、自分自身の力で成し遂げる経験は、人から言われたことや、与えられた課題を成し遂げることよりも自己成長を促します。特にそれが、自分の希少性があるスキルで実現したものであり、ほかの人では成しえなかった成果であれば、なおのこと自信につながることでしょう。
ポジティブな発言を心掛ける
できるだけポジティブなメッセージを発信し続けましょう。ネガティブな発言は、人の集中力ややる気を低下させることがあります。発言の内容次第で周囲に与える影響は変わってきます。「影響力のある人」とは、捉えようによっては「周囲に悪影響を与える人」とも読み取れますが、それは目指すところではありません。
ネガティブな感情が渦巻く状況でこそ、ポジティブな情報を発信することで、周囲の人に良い影響を与えることができます。もちろん、危機管理のためにネガティブな考え方をするべきケースもありますが、特に表に出すメッセージはポジティブなものとするようにしましょう。
影響力を高められる本
影響力を身につけたり高めたりするために書籍を活用するのも一つの手段です。独学では得られることができない影響力に関するノウハウをさまざまな書籍から吸収してみましょう。
人を動かす
デール・カーネギー氏による同著は、優れた自己啓発書としても広く知られていることでしょう。本書では「人に好かれる六原則」(笑顔を忘れない、名前を覚える)や「人を説得する十二原則」(議論を避ける、間違いを指摘しない)など、対人関係において広く使える原理原則を学べます。同書では職場の同僚や家族、友人などのあらゆる他者に対して有効な普遍的な真理を知ることができるでしょう。
影響力の武器―なぜ、人は動かされるのか
本書は、実験社会心理学者である筆者、ロバート・B・チャルディー二氏がさまざまな承諾を誘導するテクニックをまとめた一冊です。承諾を誘導する各種要素(好意、希少性、返報性など)に関し、実験や考察を基に人がどのような行動を取るのかについて説明がされています。人がどのように説得され、なぜ望まれた行動をとってしまうのか、そのメカニズムが詳細に学べるため、「自身が周囲に与える影響力を変えたい」と考えている人にとっては必読の一冊と言えるでしょう。
先述のように、影響力は使い方によっては周囲に「悪影響」を与えてしまうもの。それだけに発言する言葉により注意を払わなければいけない状況があります。想像以上に影響力を持ちすぎた故に、何気ない一言で誰かの人生を変えてしまう可能性もあります。
しかし、適切に影響力を扱うことができれば、人を巻き込み、大きな成果を残せるもの。昨今ではソーシャルメディアを利用することで、普段接することのない相手にもメッセージを届けられるようになりました。そういった人たちは時に「インフルエンサー」とも呼ばれます。
ビジネスシーンで大きな成果を残すために、影響力を身につける方法を理解し、正しく使用できるようにしましょう。