「共働きしているのに、一向にお金が貯まらない」「夫婦そろって働いても、家計はいつも火の車」……。共働き家庭が増えてきていますが、それでも生活に余裕がないという家庭もあるはずです。となれば、自分たちの貯金は他の共働き夫婦に比べて多いのか、それとも少ないのかが気になるところでしょう。

もともとの収入が全く違うという家庭もあるかもしれませんし、同じような仕事や収入でも節約などの工夫することで貯金を生み出しているのかもしれません。そこでこの記事では、共働きの家庭でも無理なく貯金できる方法をご紹介します。

  • 【年代別】共働き家庭の平均貯金額

    平均貯蓄額は年齢によって変わります

【年代別】家庭の平均貯金額

そもそも、共働き家庭の平均的な貯金額はいくらくらいになるのでしょうか。年代別に収入も異なるので、平均貯金額も変わってくるはずです。そこで、金融広報中央委員会の家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和元年)」をもとに、年代別に共働き家庭の平均貯金額をまとめました。

こちらの調査によると、共働き世帯(世帯主及び配偶者が就業している場合)預貯金額の平均は380万円です。また、投資信託や株式、財形貯蓄を含んだ総資産の平均は965万円。より実態に近い中央値は485万円です。

この調査に参加した共働き世帯の84%が投資信託などの金融資産を保有していると回答しています。ただ単に得た収入を貯金するのではなく、資産運用などに使って先々のために投資しているという家庭も多いようです。

では、次に世代別の貯金額をみてみましょう。

世帯主が20代の家庭の平均貯金額

金融広報委員会の調査によると、20代が世帯主の預貯金残高の平均は79万円です。働きはじめの20代はまだ収入が低いうえ、結婚して子どもがいる家庭では挙式や子育てなど、多くの費用がかかることからこのような結果が見えてきます。

世帯主が30代・40代の家庭の平均貯金額

同調査によると、30代が世帯主の預貯金残高の平均は266万円です。また、40代が世帯主の平均貯金額は293万円です。20代に比べおよそ200万円も貯金額が増えています。一般的に「働き盛り」と呼ばれる年代なので収入が20代の頃よりも増えたことに伴い、意識的に貯金をするようになったという家庭も多いでしょう。

またこの調査では世帯主とその配偶者のみ就業している(共働き)と答えた割合が30代61.6%、40代62.5%と他の世帯に比べて高い傾向にありました。義務教育や高校、大学など子どもの学費がかかる年代でもあるため、その費用を確保するため夫婦ともに働くといった姿がみてとれます。

世帯主が50代の家庭の平均貯金額

同調査によると50代が世帯主の平均預金残高は445万円です。30代から40代にかけての貯金額よりもさらに150万円ほど増えています。

50代では子どもも成長し、仕事やアルバイトをして生計を立て始めるということがほとんどです。大学などの費用がかかる場合もありますが、20代・30代の頃に比べて全体的な負担は少なくなっていることがうかがえます。

さらに50代は40代同様、比較的高水準の収入を維持できているでしょうから、夫婦それぞれが就業していれば、これまで以上に貯金額を増やすことができると考えられそうです。

無理なく貯金をするために適正額を知ろう

共働き家庭でもいざというときの貯金はつくっておきたいものですが、貯金にばかり目を向けて現在の生活が苦しくなってしまっては本末転倒です。ここでは共働き家庭でも無理なく貯金できる方法をご紹介します。

一般的な適正貯金額は

一般的には、共働き家庭での適正貯金額は収入の20%程度と言われているため、共働き家庭での適正貯金額がいくらと明言することはできません。夫婦できちんと話し合い、自分たちの収入に合わせた貯金プランをつくってみましょう。

将来のプランを設計する

共働き家庭で適正貯金額を設定するためには、将来のプランを設計することが重要です。基本的に収入の20%程度を貯蓄するのが適正ですが、将来的に子どもを産むことを想定した場合と、住宅を購入することを想定した場合とでは、必要な費用も変わってきます。

定期的に貯蓄計画を見直す

共働き家庭で無理なく貯金するには、定期的に貯蓄計画を見直す必要があります。数年先までのライフプランを考えて貯蓄を続けていたとしても、不慮の事故で急に出費がかさむことがないとも言いきれません。

急な出費があったのにもかかわらず当初の予定と同じように貯金を続けていれば、目の前の生活が苦しくなってしまうでしょう。また、当初予定したプランでは現在の生活が苦しく、自分たちの決めた金額を貯めることができていなかったというケースもあるかもしれません。

その場合はそのまま同じ貯蓄計画で続けていても一向に貯金できなくなってしまいます。定期的に貯蓄計画を見直し、方向性が合っているかどうか計画通りに進められているか、うまくいっていなければ軌道修正するなどしてみましょう。

  • 無理なく貯金をするために適正額を知ろう

    定期的にプランの見直しを

将来必要な費用の目安

具体的な将来設計が決まったら、逆算して毎月の貯金額を決めるために、実際にどれくらいの費用が必要なのかを知っておきましょう。

出産費用

公益社団法人国民健康保険中央会の調査によると、出産にかかる費用の平均値は、正常分娩の場合50万円程度。自然分娩の場合は公的医療保険の3割負担が適用されませんが、代わりに出産一時金として42万円程度が支給され、実際の自己負担は8万円程度となります。

ただし、これはあくまで正常分娩の場合です。異常分娩となれば公的医療保険が適用されるものの、入院期間が延びたり手術の内容によっては10~30万円余計にかかったりすることも想定されます。

また、それまで共働きだった奥さんが産休・育休に入ることで収入が一時的に低下することや、赤ちゃんを育てるために必要なグッズの購入など出費がかさむことも考慮しなければなりません。

教育費

教育費に関しては、公立と私立とで大きく金額が異なります。子どもがすべて国公立の学校に進学した場合は総額1,000万弱程度ですみますが、すべて私立の学校に進学した場合だと2,000万円を超えることになります。特に大学は私立理系に進むだけで、国立大学の2倍以上の学費がかかることも。

学費以外にも、進学先によっては子どもが1人暮らしをする資金や交通費が必要になることもあります。

住宅購入費

住宅の購入を視野に入れている場合、大抵はローンを借りることになるでしょう。住宅の購入そのものだけでなく、登記費用や火災保険加入、家具家電の購入なども必要になってきます。

そのため、頭金を多めに支払って返済期間を少しでも短くするなどの工夫や、月々にいくら返済に充てるかも計画に落とし込む必要があるでしょう。

老後費用

「老後2,000万問題」が取りざたされたことで、老後の生活にいくら必要なのか、真剣に考えるようになった人も多いのではないでしょうか。ここで具体的に試算してみましょう。

総務省の「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)」によると、高齢夫婦無職世帯の家計収支は月額で33,269円の赤字になるそうです。仮に60歳で定年退職して、85歳まで同じ水準で生活するとなると

33,269×12(カ月)×25(年)=9,980,700円

2人で約1,000万円、1人あたり4,990,350円かかる計算となります(※1)。

ここに介護費用が上乗せされることも加味しなくてはなりません。生命保険文化センターの「平成30年度生命保険に関する全国実態調査(速報版)」によると、介護期間(介護中の場合は経過期間)は平均54.5カ月(4年7カ月)にも及びます。毎月の介護費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)は1カ月当たり平均で7.8万円となっているので

78,000×54.5(カ月)=4,251,000円

1人あたり400万円以上の介護費用がかかる計算(※2)になり、夫婦ともに介護が必要となればその金額はさらに膨らむことになります。

最後に、亡くなった後の葬儀費用も考えないといけないでしょう。日本消費者協会が発表した「葬儀についてのアンケート調査報告書」(2017年)によると、葬儀の平均費用は1,957,000円(※3)になるそうです。

この(※1)~(※3)をすべて足すと、老後1人あたりにかかる総額は11,198,350円となります。

もちろん、この金額は各家庭の状況によって異なります。倹約・節約をどれぐらいしているか、年金暮らしの生活が何年続くかによって(1)の金額は大きく変わってきますし、介護が不要な人は(2)にかかる費用がぐっと減ることでしょう。

その一方で、定年までにローンが完済できていなかったり、自分たちだけでなく家族に何かあったりするとさらに出費がかさむ可能性もあります。

介護費用や葬儀費用については保険で賄うことも可能なので、それ以外に貯蓄で賄う必要がある費用は何なのか、きちんと把握しておきましょう。

  • 将来必要な費用の目安

    住宅、マイカー、それぞれいくら必要になるでしょうか

共働き家庭でもできる! 節約術4選

共働き家庭で収入はあるはずなのに、一向に貯金ができない……という人も少なくありません。相手との意思疎通をしていないために思うように節約できない、という可能性もあります。そこで、共働き家庭でも節約できる方法をまとめてみました。

(1)固定費を見直す

まずは節約の基本として、固定費を見直すことから始めてみましょう。毎月必ず支払う必要のある水道光熱費や通信費などは、契約プランを見直すだけで支出を抑えることにつながります。特に通信費は、家族で割引になるお得なプランなども用意されています。

(2)共通の口座をつくる

共働き家庭で節約するには、共通の口座をつくっておくのもオススメです。共働きだからといって各々貯金していても、2人の将来のプランに対してどれくらい貯金ができているかを知ることができません。

お互いにどれだけ貯金しているかを把握できるようにすることで、貯金に対する認識を共有できるため、節約に対する意識も統一することができるでしょう。

(3)毎月の貯金額を決める

共働きとはいえ、夫婦の収入には差があります。それぞれ収入の何割を毎月貯蓄していくのか決めておくといいでしょう。

例えば「毎月旦那さんは3万円、奥さんは2万円」と決めておいて、それを共通の口座に振り込むようにするのです。2人で5万円ならコツコツ続ければそれなりに大きな金額を貯められるでしょう。それぞれの収入にとって無理のない金額を設定することが重要です。

(4)貯蓄型保険に加入する

自分たちで貯金することが苦手という人は、貯蓄型保険に加入するのもひとつの手です。貯蓄型保険であれば毎月決まった金額を口座から自動で引き落としてくれますし、積み立てた分を途中で引き出してしまう心配もありません。

引き出すには解約する必要がありますが、戻ってくるお金が支払った金額を下回ってかえって損になるリスクがある点は覚えておきましょう。

  • 共働き家庭でもできる! 節約術4選

    自分たちに合った節約方法を試してみましょう

共働きなら協力して貯金をつくろう

共働き夫婦の平均貯蓄金額や、貯金する方法をご紹介しました。共働き家庭で貯金をするなら、夫婦のコミュニケーションが必要不可欠。2人の将来のプランを思い描き、どうやったら貯金できるか一緒に考えることが、共働き夫婦で貯金をつくることにつながります。