総務省と消費者庁は11月10日、スマートフォンなどの携帯電話端末の販売店が、端末代金に上乗せしている販売手数料などを「頭金」と表示することは、「消費者の誤解を招く」として注意喚起を行った。
【携帯電話を買うときの注意点】
— 消費者庁 (@caa_shohishacho) November 10, 2020
① 携帯電話業界では他業界と異なる意味で「頭金」が用いられている場合があります!
② 「頭金0円」と広告されていても安いとは限りません!
③ 携帯電話端末の販売価格は店舗ごとに異なります!https://t.co/g8MHAOxKHh
一般的な「頭金」とは、住宅や自動車などを割賦払いで購入するとき、販売価格の一部として支払うまとまった金額のことを指す。このため、購入価格から割賦払いの支払額を差し引いた額が「頭金」と表示されるが、多くの場合、消費者は与信限度額の範囲内で割賦払いの額と頭金を決定することが一般的だ。
しかし携帯電話業界では、これとは異なる用法で「頭金」という言葉が用いられており、「消費者に誤認を与えるのではないか」との指摘が総務省の有識者会議等においてなされていた。また、各地の消費生活センター等の消費者相談の現場にもこの件に関する相談が寄せられていたという。
このため、総務省と消費者庁では「携帯電話業界独自の『頭金』という用語の用法について、利用者の立場に立った是正を求める」としたほか、消費者に対しても注意喚起を行うこととした。
「携帯に希望小売価格がなく、店ごとに販売価格が異なる事実は広く認識されていない」
総務省と消費者庁の説明によると、携帯電話業界では個々の販売代理店がスマホなどの携帯電話端末の販売価格を決定している一方で、こうした端末を割賦払い(個別信用購入あっせん契約)で販売する場合、割賦払いの上限額はこれを提供する携帯電話事業者が設定することが一般的だという。
販売現場においては、この上限額がそのまま「割賦払い額」として表示され、個々の店舗における端末の販売価格がその「割賦払い額」に何円上乗せしたものであるかを示すものとして「頭金」表示が用いられることが多い。このため、「割賦払い額に上乗せをしないことをアピールする観点から『頭金0円』を強調する店頭広告も多く見られる」とのこと。
総務省と消費者庁は、「携帯電話端末には『希望小売価格』がなく、いわゆる『頭金』を含めた販売価格が店舗ごとに異なるという事実は、必ずしも広く認識されていない」と指摘。そのため、利用者が「頭金」を支払うことで割賦払いの額が減少すると誤認したり、「頭金」の割引を「希望小売価格」からの割引であると誤認したりするほか、「0円」が強調された携帯電話端末が安価に販売されていると誤認するといったトラブルにつながる事例が発生しているという。
こうしたトラブルを避けるため、消費者に対しては「携帯電話端末の販売価格が店舗ごとに異なるものであることを十分に認識し、支払総額の多寡についてよく確認した上で購入してほしい」と呼びかけている。
なお、以下の表示は景品表示法における有利誤認に当たる可能性があるため、総務省と消費者庁は連携して、携帯電話事業者や販売代理店に対し、不適切な表示が行われないよう是正を促すとしている。
- 実際には割賦払いの額に影響しないにもかかわらず、「頭金」を支払うことでこれが減少すると誤認させる表示
- 実際には一括払いの場合にも「頭金」に相当する額も支払う必要があるにもかかわらず、一括払いの場合には支払う必要がないと誤認させる表示
- 「頭金」を減額したり、「頭金0円」を強調したりすることで、他の店舗よりも安くなるとの事実に反する印象を与える表示