マイナンバーカードを使って申し込みを行い、キャッシュレス決済サービスでチャージやお買い物をすると最大5000円分のポイントが付与される「マイナポイント」。実はATMから簡単に手続きを行えることをご存じだろうか。ATMが窓口になった意味と、そのメリットをセブン銀行に聞いた。

  • ATMでも手続きできるマイナポイント

9⽉から付与が始まったマイナポイント事業

マイナンバーカードとキャッシュレス決済の普及、そして2019年10月の消費税率引き上げに伴う需要の平準化対策として、総務省が2020年9月1日から2021年3月31日までの期限付きサービスとして始めたマイナポイント事業。

マイナンバーカードを持っていて、キャッシュレス決済サービスの登録があれば、スマホやPCですぐにでも手続きを進めることができる。すでに申し込みを終えた方の多くは、お手元の端末を利用したことだろう。だが、スマホやPCが苦手で手続きを始められない、という方もまだまだ少なくないはず。

そういった方のためのセーフティネットとして設置されたのが、コンビニ(ATM・マルチコピー機)・市区町村窓口・郵便局・携帯ショップなど、約9万箇所(※開設予定も含む)のマイナポイント手続きスポットだ。

コンビニを中心として、日本全国に2万5000台以上のATMを設置しているセブン銀行も民間事業者として採択された一社。マイナポイント事業のあらましと、ATMで手続きするメリットについて聞いてみよう。

  • 日本全国に2万5000台以上のATM設置し、一日230万人が利用するセブン銀行

そもそもマイナポイントとは?

セブン銀行の山本尚美氏は、「マイナポイント事業とはいうものの、『マイナポイント』というポイントがあるわけではありません」と前置きし、マイナポイントについて解説してくれた。

「マイナポイントとは、マイナンバーカードを通じて申し込みを行ったユーザーが、nanacoやSuicaのような電子マネー、PayPayなどのQRコード決済、クレジットカードやデビットカード、プリペイドカードといったキャッシュレス決済サービスでチャージや買い物をすると、その決済サービスで上限を5000円分として支払額の25%を付与する制度を指します。マイナポイントは、この決済サービスから付与されるポイントの総称です」(山本氏)。

  • 株式会社セブン銀行 戦略事業部 山本尚美氏

ATMでマイナポイントを申し込むメリット

このマイナポイント申し込みの窓口の1つとなっているのが、セブン銀行ATMだ。だが、スマホやPCなら、自宅に居ながら手続きが行える。ATMを利用するメリットはどんな点にあるのだろうか。

「マイナポイントの手続きはスマホやPCでも行えますが、スマホの場合、そもそもマイナンバーカードを読める機種と読めない機種があるという制限があります。またPCの場合、ICカードリーダー/ライターが必要になったり、それを使えるようにセッティングしたりするといった知識や準備が求められます。もちろん、アプリやソフトのインストールも必要です。これらを省略できるという点は、ATMの大きなメリットだと思います」(山本氏)。

さらに、ATMでの申し込みは手続き面でもメリットがあるとセブン銀行の野本琢也氏は話す。実際にスマホやPCで申し込みを行った方はすでに経験していると思うが、これらを利用する場合はまず予約が必要となる。手続きを行おうと思っても一度で完結させることができないのだ。

「ATMならば、マイナンバーカードを所持していて決済サービスを決めていれば、その場で申し込みが完了します。このような手続きはスーパーや郵便局、携帯ショップなどのマイナポイント手続きスポットでも同様ですが、コンビニのATMであれば24時間365日、いつでも申し込みが可能なのです」(野本氏)。

  • 株式会社セブン銀行 ATMソリューション部 野本琢也氏

「SNSなどでの反応を見ると、実際にATMで申し込んだという声がちらほらと聞かれます。例えば『スマホではうまく申し込めなかったが、ATMで簡単にできた』『遠方に住む親はスマホが苦手だが、ATMで申し込めることを教えたらできた』といった声もありました。セブン銀行ATMでは、ATMに設置された受話器から直接コールセンターに問い合わせが行えるのですが、ご高齢の方からのマイナポイントの申し込みに関する問い合わせも増えています」(山本氏)。

セブン銀行ATMならではの工夫

さらに、セブン銀行ATMならではの、手続きのしやすさへの工夫も施されているそうだ。

「マイナポイント申し込み時には決済サービスID、セキュリティコードといった情報の入力が必要です。ですが実は、Felicaの技術を利用しているnanacoや楽天Edy、SuicaやPASMOといった交通系電子マネーを利用すると、必要情報の入力が、かざすだけで完了します。手入力すると2分ほどかかりますし、間違いも少なくないのですが、この手間を省略できるのです」(野本氏)。

セブン銀行は2019年に、新型の第4世代ATM「ATM+」を投入。上下一体型の見やすいデュアルディスプレイ、文字の大きさやアニメーションの工夫などで改善されたユーザーインターフェースを採用し、さらなる使いやすさを追求している。

  • 先進的な技術を詰め込んだ第4世代ATM「ATM+」

コロナ禍で認知度が上がったキャッシュレス決済

新型コロナウイルス流行によって、お金の使い方にも変化がみられる昨今。外出自粛が求められた2020年上半期には、やはりATMの利用頻度には低下がみられたという。

だが一方で、感染予防の観点から「支払い時にレジでの接触を減らしたい」という人も増えており、キャッシュレス決済サービスを利用する人は増加している。これを受け、ATMから現金をキャッシュレス決済サービスにチャージする利用者が増加したそうだ。

「マイナポイントの申し込みと同時にキャッシュレス決済サービスへのチャージを行い、すぐに付与を受ける方も多いですね。既存の決済サービスの利用促進にも繋がっておりますので、当社にとっても、社会全体にとってもメリットがある事業だと感じました」(野本氏)。

「マイナポイントの申し込みは入出金より難しい、という印象を持っている方も少なくないと思いますが、ガイダンスに従って入力すれば難しい操作ではないですし、操作時間にも余裕を持たせています。とくに電子マネーを使っている方は一部の入力が省略でき、操作はより簡単ですので、ぜひATMでの申し込みを検討していただきたいと思います」(山本氏)。

最後に、セブン銀行のATMにかける思いを伺っておきたい。

「我々は、ATMをサービスプラットフォームに進化させていきたいと考えています。昨今デジタル化が進んでおりますが、リアルチャネルを介する需要は必ずあり、マイナポイントでも多くの方に使っていただいております。第4世代ATM『ATM+』には、顔認証やQRコード、非接触IC、本人確認書類の読み取りや、Bluetoothによる通信など、たくさんの先端技術が詰め込まれています。今後はこれらを利用して、お客様の生活をより便利にしていくサービスを提供していきたいと思います」(野本氏)。