女優の水川あさみが3日、東京・EXシアター六本木で行われた「第33回東京国際映画祭」(TIFF)特別招待作品『滑走路』(11月20日公開)の舞台挨拶に、浅香航大、寄川歌太、大庭功睦監督とともに登壇した。
あふれる才能を遺し、突然この世を去った歌人・萩原慎一郎のデビュー作にして遺作となった「歌集 滑走路」をモチーフに、オリジナルストーリーとして紡いだ本作。水川あさみが扮する翠(みどり)、浅香航大扮する若手官僚・鷹野(たかの)、そして新人・寄川歌太が扮する中学2年生の学級委員長、それぞれ“心の叫び”を抱えて生きる3人の人生が交錯し、現代を生きる若い世代が抱える不安や葛藤、それでもなお希望を求めてもがき生きる姿を鮮烈に描き出す。
コロナ禍において映画が公開される意義を聞かれ、主演の水川は「もしこのまま、この距離感を保ったまま、すべての物事……人との距離感も続いていくと思うと、心が折れそうになる瞬間がある」と不安を告白。「表現するお仕事をしている上で、ソーシャルをとることが当たり前になる世の中を受け入れてしまう怖さと、私たちも向き合いながらということを考えると、いまだにちょっと怖いなと思いながら生きています」と打ち明けた。
その上で、「そんな中でこの映画にひょんなことから出会って、転がるように私のもとへ来てくれて、今やれってことなのかなと思ってこの映画をやると決めて、今ここに立たせてもらっています」と出演を決意した思いを明かし、「今日初披露して皆さんに見ていただくことで、少しでも心をそっとなでてくれるような映画になればいいなと思っています」と願った。
さらに、「今のこの世の中って、人にとっての豊かさとか幸福なことが見えにくくなっていたり、わかりにくい時代だなと思うんですけど、そんな時代でも人のことを救うのは人だと。この映画を見て救われるような気持ちになってもらえたら。寄り添って肩を組んでくれるような映画だといいなと思います」と語った。