「ボキャ貧」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? ボキャ貧とは、「ボキャブラリーが貧困」を略した言葉です。自分の言葉で表現せずに、流行言葉や決まり言葉ばかりを繰り返して使っているうちに、表現するための語彙力が欠如し、ボキャ貧状態になります。
ボキャ貧状態に陥るとさまざまな弊害が発生しますが、もしかすると本人が自身のボキャブラリーの乏しさに気づいていない可能性もあります。そこで本記事では、ボキャ貧の人の特徴やボキャ貧の改善方法などを紹介します。
ボキャ貧がよくないといわれている理由
ボキャ貧と言われようと、「仲間同士で楽しく会話ができているから問題ない」と考えている人も少なくないでしょう。ただ、ボキャ貧の人は楽しく会話ができているつもりになっていたり、場を盛り上げている気分になっていたりしても、知らずに周囲をしらけさせている可能性があります。
ここでは、ボキャ貧がよくないといわれてしまう理由を紹介します。
■自分の伝えたいことを相手に伝えられない
ボキャ貧な人は、自分の想いや考えを伝えるための言葉が豊富ではないため、自身のイメージを正確に相手に伝えられません。結果として自分が伝えたいことを正確に伝えるまでに時間がかかったり、最終的に伝えられずにいらだったりする人が多い傾向にあります。
■ビジネスシーンでは失礼になる
ビジネスシーンで話す際や目上の人と話す際、言い換えの言葉を知らず、とっさに普段と同じカジュアルな言葉遣いをしてしまう可能性があります。
ビジネスシーンでは挨拶から、会話中のあいづち、会話のまとめ、時によっては飲み席での会話に至るまで、ビジネスに適した言葉を使えないと失礼にあたるケースが往々にあります。
■知的好奇心を失ってしまう可能性がある
言葉のバリエーションが少ないので、話の内容を理解できず会話に対する興味を失ってしまったり、会話する気力も萎えてしまったりする可能性があります。また難しい言葉や内容は避けるようになってしまい、知りたいという気持ちが失われやすくなります。
■人間関係の構築が難しくなる
ボキャ貧な人は、想いを他人に伝えることが下手で、コミュニケーションが取りづらいので、他人と親しくなり信頼関係を築くためには通常よりも時間がかかります。特にスピード感を重視されるビジネス社会では、ボキャ貧のままでは置き去りになりかねません。
ボキャ貧になる理由
自分の言葉で表現せず、流行言葉だけを使い続けていると、表現するための言葉が蓄積されていかないためボキャ貧状態に陥ります。
また、ボキャ貧を作り出す要因として、SNSの影響も大きいと言われています。SNSでは言葉を使う代わりにスタンプを使ったり、正しい日本語を使わずにSNS特有の略語をつかったりすることで会話が成り立ってしまうからです。
ボキャ貧の特徴
ちょっと会話をしてみると「この人、ボキャ貧じゃないかな」と感じる人がいます。会話を通じて「ボキャ貧」フラグを立てられてしまう人にはどのような特徴があるのでしょうか。一つずつみていきましょう。
■同じ言葉や単語ばかり使う
会話の中に同じ言葉や単語が頻繁に出てくる場合は、ボキャ貧の可能性があります。1回の会話に限らず、いつも同じ言葉ばかり使っていたり、口癖ともいえる言葉が決まっていたりする人は、ボキャ貧状態と言えるでしょう。ボキャ貧な人は引き出しから言葉を出そうにも、出すべき言葉がストックされていないのです。
■会話や文章を理解しにくい
ボキャ貧の人はボキャブラリーが少ないので、会話や文章から読み取れる情報が少ない傾向にあります。そのため、「何のことを言っているのかわからない」「会話や文章の意図が理解できない」というケースが多くあります。
■会話がスムーズにできない人が多い
ボキャブラリーに乏しいと、表現の仕方が画一的になってしまいがちです。例えば、美しいものを見たときに「美しい」とは言えるものの、どう美しいのか表現できません。
物事の機微を表現できないので会話や文章で状況をうまく伝えられず、会話ややり取りが噛み合わないことが増えます。
■ジェスチャーが多い
ボキャ貧の人は、言葉で表現ができないため、身振り手振りで言葉を補おうとする機会が増えます。
身振り手振りは、言葉の通じない外国に行ったときには有効なコミュニケーション手段となりますが、普段の会話の中でも多用してしまうのであればボキャ貧の可能性があります。
■漢字が苦手な人が多い
話しているときには感じなくても、文字を書かせてみた途端にボキャ貧が露呈する人もいます。ボキャ貧な人は基本ともいえる簡単な漢字の読み書きができない人が多い傾向にあります。
言葉に対して興味がある人は、わからない漢字に出会ったときにその漢字を調べ、自分のものとして取り込みます。言葉に無頓着な人は、簡単な漢字であっても読めなかったり書けなかったりすることがあります。
■コミュニケーション能力が低い
ボキャ貧な人は、会話を続けることや相手に伝えることが苦手で、コミュニケーションを取るのが下手な傾向にあります。
コミュニケーションには、相手に伝える能力と理解する能力が必要になるので、ボキャ貧の人はコミュニケーション能力が低いと言えるでしょう。
■抽象的な言葉をよく使う
相手に話の内容を理解してもらうには、わかりやすく具体的に伝えなければなりません。ボキャ貧な人は言い換える言葉を持たないので、「あれ」や「これ」などを多用し、抽象的に伝えてしまう傾向にあります。
自分がボキャ貧なのではないかと疑っているのなら、会話の中で抽象的な言葉を使っていないか、相手に伝わりやすい言葉への言い換えができているかを確認してみましょう。
ボキャ貧を改善する方法とは
自分がボキャ貧であることを自覚している場合や、同僚や部下がボキャ貧で手を焼いている場合でもあきらめることはありません。ボキャ貧は努力によって改善できます。
ここでは、ボキャ貧を改善する方法を紹介します。努力すれば改善できる可能性は高まっていくので、参考にしてみてください。
■本や新聞を読む
語彙力の強化には本や新聞を読むことが効果的です。
小説には日常会話が書かれており、会話の中で使うボキャブラリーが意識しなくても頭の中に流れ込んできます。新聞には時事ニュースから地域コラムまで幅広いコンテンツが載っているため、多様なジャンルの言葉を吸収するためにはもってこいのツールと言えます。
単語は知っているだけでは意味がなく、適切な場面で用いれてこそ「知っている」と言えます。本や新聞を読むことで、場面にあった単語とその使い方が自然と身につきます。
■自分の口癖を知る
ボキャ貧脱却のため、自分に口癖がないか、そして口癖があるならば、どのようなときに使っているかを考えてみましょう。己を知ることから、苦手の克服が始まります。
口癖としていつも同じ言葉ばかり使っている人は、その口癖となっている単語を言い換えるための言葉を学びましょう。「ヤバい」が口癖の人は、「危ない」「素晴らしい」「すごくおいしい」など、使っている場面に応じた言葉に言い換える練習をするといいでしょう。
■わからない言葉は調べる
言葉に興味を持っておらず、言葉を調べる機会がないということもボキャ貧に陥る原因の一つです。ボキャ貧を脱却するためには、自分が初めて聞く言葉や知らない言葉に出会ったときに調べる癖をつけることも大切でしょう。
■類語を意識する
ボキャ貧解消のためには、同じものごとや感情をいろいろな言葉を使って表現できるようにしておく必要があります。一つの事象や類似の事象を複数の言葉を使って表現できるように、似た表現ができる類語・類似語を意識するようにしましょう。
会話の中で他人が使った言葉でも、自分の言葉遣いと比較してみたり、自分ではできなかった表現を取り入れたりしてみましょう。
■たとえ話をする
たとえ話は、話を具体化して相手に伝わるようにする工夫として用いられており、話の本質を理解したうえで、適切な話に置き換えるというテクニックが必要です。
たとえ話をするためには、話を具体化するための話題とともに多くのボキャブラリーが必要になるので、ボキャ貧脱却のトレーニングにもなります。
■覚えた言葉はなるべく使う
わからない言葉を調べたり、類似語を意識して覚えたりした後は、できるだけ早く自分で使ってみましょう。
一般知識も短期間で繰り返すことで知識として定着しますが、言葉に関しては単語としての知識だけでなく、使い方も覚えなければなりません。覚えたら使うというインプットとアウトプットの繰り返しでしっかり知識として定着します。
ボキャ貧は改善できる!
自分がボキャ貧にあてはまるとわかった人も、がっかりすることはありません。ボキャ貧は日々のちょっとした努力で改善できます。
自分がなぜボキャ貧になってしまったのかを分析し、ボキャ貧改善のための対策を試してみましょう。ボキャ貧を脱却すれば、今よりもっと会話を楽しめるようになり、自分の世界が広がるはずです。